いまさらですが、『勇気を「与える」』って表現に違和感を感じます。

まちがっていたら、ごめん。
最初から謝っておくよ。

ここしばらくずーっと意識の底で蠢いていた違和感。

ね。

『日本に元気を「与えたい」』って、なにかおかしくはないか??

ぐるぐると記憶をかき回していたら、小学校高学年か中学生の時に読んだ国語教科書を思い出した。その内容は確か……。

「ペットに餌をあげる」は日本語としてまちがいです。
正しい表現は「ペットに餌を与える」です。

ああ。
うんうん。
そういう内容だった。

詳しい使い分けは、下の国語辞典からの抜粋を読んで欲しいけれど、少なくとも「与える」は「目上の者が目下の者に(恩恵的な意味で)授ける」というニュアンスに取れるよなあ。もちろん、最後の「影響を及ぼす」という意味で使っているんだと、無理目な強弁も出来るけれど。でも、言葉にセンシティブな人ならば、「日本に元気を与える」って表現を使うことは、微妙に日本をディスっているように感じられるだろう。

しかも。
「与えたい」って言葉は「ペットに餌を与える」、「植木に水を与える」という使い方に用いるものであるのに、「ペットに餌をあげる」、「植木に水をあげる」と日常的に誤用されている始末。ならば、なぜ「元気を与える」という表現をメディアは選び取ったのかな?僕は少し考え込んでしまう。

たぶん、元々は「元気をあげたい」「元気を差し上げたい」「力づけたい」という動機から生まれた「元気を与えたい」なんだろうけれど。この使い分けをメディアが出来ていないのだとしたら言葉を扱う業界として無知だし、わざとやっているのならばかなり悪質だと思う。師弟関係、先輩後輩、親子関係なんかでは「勇気を与える」で良いでしょう。ただ、メディアが日本人代表を気取って「勇気を与える」を連発するのは誤用だし、スポーツ選手らも後輩を元気づけるとき以外に「勇気を与える」を使うのは不適切だと思います。

ああ、そうか。
ここまで書いていて気づいた。

スポーツ選手らが、たとえば「先輩から勇気を与えられました」とか使うから、逆に「勇気を与えたい」が使われるようになったのかもなあ。受け身から立場逆転みたいな。言葉の発生順序が、従来とは逆なのかもしれないなあ。

僕は、日本に元気をあげたい、と思っているよ。
そして、お礼を言うときは「ありがとう。元気をいただきました」かな。

==========
あ・げる【上げる/揚げる/挙げる】

[動ガ下一][文]あ・ぐ[ガ下二]
1 そのもの全体または部分の位置を低い所から高い方へ動かす、また、移す。
2 所有者や高位の者の手元に収める。
3 上の段階や等級へ進ませる。「息子を大学に―・げる」
4 程度を高める。
5 (注:なぜか空白)
6 物事を終わりにする。
7 人の目についたり、広く知られるようにする。
8 (揚げる)揚げ物を作る。「てんぷらを―・げる」
9 神仏や敬うべき人などに、ある行為がなされる。
 1)神仏に供える。「供物を―・げる」⇔下げる。
 2)「与える」「やる」を、その相手を敬っていう語。「洋服を―・げる」
10 地方から都に行く。上京する。
11 戸や格子を上部に開きあける。
12 勢いよく馬をはねあがらせる。
13 動詞の連用形のあとに付いて複合語をつくる。
14 (補助動詞)動詞の連用形に接続助詞「て」が付いた形に付いて、主体が動詞の表す行為を他者に対し恩恵として行う意を表す。「てやる」の丁寧な言い方。「仕事を手伝って―・げる」「君のかわりに行って―・げよう」
[補説]9②は本来、敬うべき対象に物をさし上げるの意で、「犬にえさをあげる」のような言い方はしなかった。現在では「与える・やる」の丁寧語として使う人が増えている。==========
「デジタル大辞泉」一部抜粋
http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/jn2/3185/m0u/%E3%81%82%E3%81%92%E3%82%8B/


==========
あた・える〔あたへる〕【与える】

[動ア下一][文]あた・ふ[ハ下二]
1 自分の所有物を他の人に渡して、その人の物とする。現在ではやや改まった言い方で、恩恵的な意味で目下の者に授ける場合に多く用いる。「子供におやつを―・える」「賞を―・える」
2 相手のためになるものを提供する。「援助を―・える」「注意を―・える」
3 ある人の判断で人に何かをさせる。
 1)相手に何かができるようにしてやる。配慮して利用することを認める。「発言の自由を―・える」「口実を―・える」
 2)割り当てる。課する。「宿題を―・える」「役割を―・える」
4 影響を及ぼす。
 1)相手に、ある気持ち・感じなどをもたせる。「感銘を―・える」「いい印象を―・える」「苦痛を―・える」
 2)こうむらせる。「損害を―・える」
[補説]室町時代以降はヤ行にも活用した。→与ゆ
==========
「デジタル大辞泉」
http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/jn2/4484/m0u/%E4%B8%8E%E3%81%88%E3%82%8B/

0 件のコメント:

コメントを投稿