ソレントの夜 2011年欧州旅行記-22

食事を終えて、L'Antica Trattoria(ランティカ・トラットリア)を出た。道なりに海岸へ続く緩い坂道を下る。道の両脇の店からは、真っ白い光があふれ出し、オープンテーブルで食事を摂る人、ワイングラスを揺らしながら見つめ合っているカップルで賑わっている。道の突き当たりは海で、僕らはヴットリーア広場に出た。


太陽はすでに水平線の向こうに姿を消し、紫色の残照がティレニア海に今日最後の彩りを添えている。ソレント半島は黒い塊となって闇に沈み、ホテルの窓から漏れ出すオレンジ色の明かりが漁り火のようにまたたく。そして対岸のヴェスヴィオ火山と、その裾野を首飾りのように飾っている町々、ナポリにしばらく見惚れていた。

再びタッソ広場を目指して僕らは歩き始めた。
途中、サン・フランチェスコ通りで、ユニークな形のレモンチェロを商う店を見つけた。星形、ギターの形、イタリア半島をハイヒールを履いた女性の足に見立てた形、ゆらゆらと踊っているかのような形。中身もレモン以外にマンゴー、ストロベリー、メロンなどがあるようだ。


タッソ広場にもどったら、光のイルミネーションで美しく飾られている。思いがけず、僕らはすっかりうれしくなってしまった。道を歩いている人たちは皆リラックスして、少し涼しくなった夜風を楽しみながら、のんびりと歩いている。こんなふうにヨーロッパでリラックスして歩けるなんて、僕は想像もしていなかった。


光のイルミネーションはソレント駅近くの、アンジェリーナ・ラウロ広場まで続いている。
僕らは広場を突っ切って、ホテルに戻った。

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