さよなら、イタリア 2011年欧州旅行記-40

緑の深いアンジェリーナ・ラウロ広場を抜けて、グランドホテルロイヤルに荷物を取りに戻る。この門の向こう、ティレニア海を望むあの庭には戻れないのだと思うと、少し寂しい。好きになりかけた土地を去るときは、いつも後ろ髪を引かれる思いがする。


フロントの男性スタッフは僕らの顔を見ると、部屋の鍵を渡そうとする。「僕たちはもうチェックアウトしたよ」と告げると、彼は「もう一泊してくれるんだと思った」と笑う。このホテルのスタッフは、本当にフレンドリーで、気持ちの良い人たちが多かった。嫌な思いをすることは全然なかった。スーツケースはロビーの一角に仕舞われていて、それを引き出す。フロントマンに別れを告げて、僕らは帽子を持ってドアを抜ける。

ソレントからナポリ空港へ向かうバスは一日何本か出ていて、僕らはソレント駅前から16時台のバスに乗った。バスはずいぶん長い間海岸線に沿って一般道を走り、ヴェスヴィオ火山を通り過ぎ、ナポリがだいぶ近づいたところから高速道路に乗って突っ走った。


ナポリ国際空港は近代的な、いかにもイタリア的なおしゃれなデザインの空港だった。今回はLCCの"エア・ベルリン"を利用。気の毒な彼氏は、僕と付き合ってから妙なエアラインに乗せられてばかりいる。ハワイの時といい、今度の旅行といい……。
チェックインカウンターはなかなか開かないしで、お茶を飲みながら時間をつぶしたりする。無事にチェックインを済ませ、機内食は有料なので離陸前にご飯を食べることにした。最後のイタリアだから……パニーニ、やっぱりワインは飲む。国際空港なのに英語が通じず、隣にいた英語の分かる男性が助けてくれて、イタリア語で通訳してくれた。彼氏と男性が英語で会話しているのを聴きながら、僕はほっこりまったりしていた。窓の外はだんだん日が傾いて、オレンジ色に染め上げられて行くさまをながめていた。


搭乗時刻になり、バスに揺られて滑走路を移動する。


昔の旅人のように、タラップの上から一度振り返る。
南イタリアの乾いた熱い空気を大きく吸い込んでから、勢いをつけて機内に入った。

さよなら、イタリア。
楽しかった、イタリア。

2011年欧州旅行記イタリア編終了。

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