ポンペイ遺跡で気をつけなければならないのは、強い日差し、迷子にならないように地図とガイドブック。そして風の強い日は、なにか目を覆う物。特にコンタクト使用の人は要注意。火山灰の降り積もった土地だから、容赦なく細かい埃が目に飛び込んでくる。彼氏は目薬を差しながら歩いていたけれど、横で見ていてつらそうだった。僕は目の脇までしっかり覆うサングラスで、UVカットと埃よけを同時に実現していたけれど。
ポンペイ遺跡は、現在は石の壁が残るかつて栄えた町の面影に過ぎない。
美しい工芸品などの発掘された物は、博物館か、あるいは「大ポンペイ展」で巡業中だから、そこはあらかじめ理解しておいた方がよいかもしれない。町の中心部、大通りからはヴェスヴィオ火山を遠くに望む。2000年近く前に、あの火山から駆け下りてきた火砕流に飲み込まれ、滅んだ町を弔いながら、僕たちは秘儀荘から遺跡を出た。
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