ナポリを見たくらいじゃ死ねない 2011年欧州旅行記-28

ランチで膨れた腹を抱えて、僕たちはマリーナグランデまで戻ってきた。
カプリ島へはソレントとナポリから船が出ている。僕たちはこれからナポリへ向かってフェリーに乗るのだが、出港まで1時間近く時間があった。とりあえずチケットだけ買い、港周辺をブラブラする。ケーブルカー駅周辺は混雑していて、そして土産物屋は南イタリア特有の鮮やかな色使いの陶器などを並べている。彼氏は10euroで帽子を買った。僕と言えば……金物屋に入って多国籍対応のコンセント変換器を買った。カプリ島で、しかも中国製。一体何をやっているのだろう。。。

港には無料で時間をつぶせる日陰はなく、しかも僕らはお腹いっぱいで、土産物屋を梯子しながら時間をつぶした。そして13:10発のフェリーが入港したので、岸壁に向かう。


フェリーは1時間15分ほどの航行で、ぐったりと疲れた僕らはずいぶんうたた寝した。席の近くには売店があったり、同乗のトラピックスツアーの初老のグループが「順番にトイレを済ませないとねっ!」と意気込んでいたりと、けっこううるさかったのだが。


ナポリ港はさすがに大きな港だった。
まるで巨大なマンションが海からそそり立っているようなクルーズ船が停泊していたり、島々へ向かう高速船、フェリーが次々と出入りする。そんな港から、ツアーバスの出るヌォーヴォ城正面に行きたいのだが、一体どこが正面なのか分からない。目の前に城はあるのだが。しかも時々目の前をツアーバスが走ってゆくので、僕たちはアミラリオ・フェルディナンド・アクトン通り(Via Ammiraglio Ferdinando Acton)を走り回る羽目になった。やっと港の片隅にツアーバスが停車しているのを見つけた。係員に話を聞くと、ここはバスの発着所じゃないという。だが、その場所まで車両を回送するので、乗っていっても良いと。こうして僕らはヌォーヴォ城正面にたどり着くことができた。


ここでもバスの出発までにはずいぶん時間があり、しかも「アレクサンドロス大王の戦い」のモザイクが収蔵されている国立考古学博物館に足を伸ばす時間もなく……。ヌォーヴォ城の入り口を冷やかしたあと、僕らはミネラルウォーターをがぶ飲みしながら時間をつぶす。そして、どうやってソレントまで帰ろうかねぇ……ナポリ駅までバスかタクシーで移動して、そこからヴェスヴィーオ周遊鉄道か。あの鉄道はもう乗りたくないなあとか言っているうちに時間は過ぎる。


しばらくたって、バスの搭乗が始まる。今回はサンタルチアを通過する海を望むルートを選んだ。暑かったけれど、2回のオープンシートに腰掛け、オーディオガイドで説明を聞きながらの90分。感想は……サンタルチア周辺は生ゴミ臭くて彼氏はうえぇという顔をしていたなあ。臭いエリアを抜けると、歴史的な町並みや公園の脇を通過し、工場などを見下ろす高台を経て、再びナポリ湾、そして卵城などを眺める。感想は……ナポリを見たくらいじゃ死ねないなあ。


バスが港に差し掛かったとき、電光掲示板をめざとく見つけた彼氏が「ソレント行きの船がある!」と叫ぶ。こうして僕らは安全なソレント行きの高速船に乗り、3度目のナポリ湾を横断したのだった。

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