風の強い休日

風の強い日は、外出するには難儀なことこの上ないけれど、幼いころに見た情景に僕を連れて行ってくれる。今日のような、強い南風の吹く9月。海の向こうから夏が便りをよこしてきたような感じがする。

野村史子を知ってるかい?
知ってるよって答えてくれた人は、お互いBL古代種だねと笑いあえるのかもしれない。作家生活わずか3年。彗星のように初期Juneに現れて、いくつかの小説を上梓した後、筆を折った人。古い文庫本が1冊残っている。


……ピカデリー・サーカスの、長い長いエスカレーターを降りながら、俺はそんなことを考えていた。
声をかけようとした時、俺の少し前にいた女の子が、母親からもらった五ペンスを、透さんのヴァイオリン・ケースに投げ入れた。
透さんは、その女の子に微笑みかけた。笑うと、目尻にやさしい小皺ができた。古びたツイードの上着。擦り切れたジーンズ。髪にほんの少し、白いものが混じっている。
俺は顔をそむけ、逃げるように地下鉄にとび乗った。
あの頃、世界で一番きれいだ、と信じていた透さんは、小柄な、やさしい目をした普通の男の人だった。だが、俺にとってショックだったのは、そのことではない。
その普通の男の人を、普通だと知ってなお、息の止まるほど焦がれている俺自身にだった。
『グッバイ・ミスティ・ラブ』より

Juneと呼ばれる小説群は、いまのBoysloveといわれるそれとは少し異なっているような気がする。切実さの度合いがちがったのかな。そのぶんマニアがひっそりと愛読しているような存在だった。この小説を思い出しました。けっこう好きでしたよ。

いまではロンドンの地下鉄のエスカレーターは木製から金属製に変わってしまったそうですが、20数年前にロンドンに滞在していた父親は「あのカタカタカタカタという音がなつかしい」と言います。

来月、1週間ほどロンドンに滞在します。
ホテル代の高さにびっくりしています。うわーって感じ。
定宿のホテルチェーンから見積もりとったら¥350,000だって……さすがにありえん。
そこでロンドンを3日ほどで切り上げて、ユーロスターか飛行機でパリに入ることも考えていますが、大英博物館、テイトギャラリー、テイトモダン、ナショナル ギャラリーだけで4日間は欲しいからな。僕は午前中+午後一位を美術館で過ごして、そのあとに街遊びへ出るパターンなので、、、、むむ、困った。

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