海洋天堂Ocean Heaven
平凡にして偉大なるすべての父と母へ―。
都内では単館上映。しかも上映は朝10:00から1回だけ。
休日だというのに、普段の出勤時間よりも早く家を出ました。
電車の繋がりが良くて、9:20に渋谷に着いて、10:00からの上映を見てきました。
最初の、タイトルクレジットでいきなり泣けてきます。
クリストファー・ドイルの映像に、久石譲の音楽でしょ。言い方は悪いけれど、あざとすぎる……始まり方でした。それ以降はむしろ淡々とお話は進んで行きます。
弁髪で「アタタタタ」と戦っていたリー・リンチェイ(李 連杰=ジェット・リー。まぎらわしいな)が、すっかり初老のお父さん役を演じていたのが印象的でした。あの自信に満ちた戦闘的な目力の持ち主が、命の終わりを知った弱々しい不安なまなざしの、障害児を育てているお父さんを演じていました。時の流れを感じさせます。
自閉症児と心を通わせるのは難しいと思う。そんなことが簡単にできたら、障害でもなんでもない。近くで、長い間、辛抱強く付き合って初めて気持ちが分かるのだろうな。だから映画の中でも、僕は息子・ターフー(大福)に感情移入できなかった。
その代わり、命の終わりを知り、この子が幸せな人生を送ることができるようにと奔走する父親・ワン・シンチョンがせつなかった。ほんと、せつない。もともと優しい人柄の父親だったのだろうけれど、人は死期が近づくと、こんな風に優しくなれるのかなあって。それから、人としてなにかを伝えなきゃならないこと、なにかを伝えられなきゃならないこと、それを自分もしっかりやってきたかなあ、できたかなあという後ろめたさに押しつぶされそうになる。
映画の作りは淡々と、終始淡々と。
むしろ久石譲の音楽がかぶると、過剰にあざとく感じられる位だった。
60人ほどしか入れない会場には折りたたみ椅子がいくつか出され、地味な内容なのに満席だった。中高年の夫婦の姿が目立ち、終始あちこちから鼻をすする音が聞こえていた。障害児を抱えた両親の鑑賞が多かったのだろうか。
そういえば、主題歌はジェイ・チョウ(周杰倫)だった。
彼とは妙に縁があるなあ。
映画館を出た後、表参道を散歩して、千代田線でお茶の水へ移動。小川町の"二代目つじ田"でつけ麺を食べ、秋葉原から電車に乗って帰ってきた。敬老の日だから、思い出したように手土産のケーキを買って。
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