"千と千尋の神隠し"にあらわれる、日本人の宗教観。

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自宅のネットワークの調子が悪くて、前から懸案だった無線LANルータを買い換えました。ウチは一戸建てで、無線LANの親機と子機が家の中で最も離れた距離にあり、途中でプチプチ切れる現象に悩まされていました。最近無線LAN機材もこなれて安くなりましたが、スカをつかんじゃいけないということもあり、悩んでAterm WR8700というNEC製を買ってきました。これでダメだったら諦めろと。設定には手こずりましたが、確かに、安定して、しかも若干スピードも良くなった感じがしますね。

今週、海外でこんな話題があったことを知りました。

『日本人って無神論者って聞いたけど何でキリスト教圏の国より犯罪少ないの?何で行儀良いの?』
http://answers.yahoo.com/question/index?qid=20091228045804AAUDgZH

まあ、宗教と犯罪率はあまり関係がないという結論なのですがね。


日本人の多くが無神論者であると外国人は誤解しているようですが、それはたぶん間違いです。八百万の神というくらいにあまり神様が多いので、単純な一神教徒に「あなたの神さまは誰ですか?」と尋ねられた時に「あれだよ」ってスパッと切り返せないだけ。多くの人が片手じゃ足りないくらいの数の神さまとおつきあいがあるのでしょうから。しかも外国人に理解できるようなドグマすらない。「神との契約」が宗教の根底にある一神教徒たちには、あるがままの神さま達とつきあっている日本人が、無神論者に見えてしまうのでしょうね。

この辺の事情を外国人に理解させるのは難しいのですが、わかりやすい例の一つに、宮崎駿監督の"千と千尋の神隠し"の湯屋のシーンを僕はあげます。


こういう神さまが館内を好き勝手にウロウロとしている光景は、あまり論評されていないようです。本当は日本人と神さまの関係性を、わかりやすく描いているのですが。

・神さまはたくさんいて、しかも好き勝手に行動している。
・神さまは集まってきて、宴会をするのが好きだ。
・人間は働いて、神さまをもてなさなければならない。
・神さまはもてなされると喜んで、たまにご褒美をくれることがある。
・もてなされないと、機嫌を損ねて大変な災いが起こるかもしれない。
・神さまは基本的に意地悪ではなく、あまり語りかけてくれないが、ちょっとだけ親切だ。
・直接的な御利益を返してくれる神さまは、疫病神(たとえば顔なしとか)だ。

こんな感じ?

日本の八百万の神さまは言葉を発しないし、その行動もよくわからない。だから、人間は頭を下げて神さまに敬意を表して迎え入れ、勝手気ままな神さまの欲するところを察し、親切にもてなし、粗相なくお帰りいただかなければならない。人間が働くのは神さまへの奉仕であり、神さまに満足してお帰りいただければ、食事と寝場所は確保される。「働く場所がない」というのは、神さまへ奉仕するためのチャンスが失われた状態にある。「働く場所がない」というのは、社会に居場所を失うことだ。出会いと成長のチャンスから遠ざかることだ……こんな風に"千と千尋の神隠し"のあのシーンを解釈してみせても、日本人の多くはあまり違和感を感じないと思う。外国人が日本の社会はマナーが良くて、快適だと感じるのは、それは「神さま」に対するメンタリティでもてなされているからだ。

人間と神さまが雑居しているのが、日本という国。しかも"A Living God"のような生き神と称えられる人も結構いるのが日本という不思議の国。

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