BL漫画レビュー:月とサンダル

今日の素材は某朝日新聞の松尾慈子女史絶賛の"よしながふみ"だ。

よしながふみ 『月とサンダル』

この方の作品は数年前に滝沢秀明クン主演の"西洋骨董洋菓子店"がドラマ化されて注目された。原作では思いっきりゲイゲイしいシーンが入っているんだが、ドラマではあっさり削られていてがっくし ショボーン(・ω・`)。

さて、"月とサンダル1巻"の奥付をみると初版1996年であった。連載は1994年開始。実は画期的ゲイドラマ"同窓会"が放映されたのがその前年の1993年。新宿2丁目中通りに若いゲイが集結して、毎晩ホコテン状態だったあの暑い夏のあとの話だ。
僕の手元には当時オンエアーされたVTRがある。版権の関係で、その後のDVD版では変更されてしまった挿入歌や映像があるが、やっぱオリジナル版は独特の艶があった。

で、 "月とサンダル"と"同窓会"に共通するのは、まだ同性愛がタブーだった時代の残り香が感じられるところか。よしながふみが描いた世界はこの世の中にはほ とんど死に絶えてしまった。極端に出会いの少なかったあの時代。運命の人とはいわなくても、お仲間が見つかるだけでも幸運だと思えた時代。
いまはネットと携帯でたいていの出会いは手に入ってしまう。ちょっとした暇つぶしと性欲のはけ口にする相手を見つけることは難しい事じゃない。そうやって自分を安売りしがちなんですけどね(苦笑)。

男 同士でつきあう事の社会的な抵抗感、Gayとして生きていく事への希望と絶望、愛おしい人と一緒にいられるだけでせつなくて仕方ないという感情。そしてこ の男と共に生きてゆくという心が弾む、でも頼りない関係性にのみすがって生きてゆくことへの不安……いずれも長く同性愛の世界で語られてきたモチーフだ。 古い時代の同性愛の雰囲気を味わいたい時にはいいかも。
現在僕は"富士山ひょうた"の作品をイチオシしてますんで、社会人男性二人が同棲し、共に穏やかに時間を重ねてゆく物語としては、月とサンダルにくらべて、Dear Greenあたりをオススメします。

1.絵柄
あっさり目の絵柄です。女性はこれくらいのあっさり目の方が受け入れやすいんだろうな。男性というよりは見方によってはおばさん化したように見えなくもないところが気になりますが。

2.ストーリー
オムニバス形式。高校教師と板前の彼氏。男子高校生(教師の教え子)と先輩の二組の話が緩く繋がって進行します。しかしよく泣く男たちだなぁ(苦笑)。

3.エロ度
意外に2巻目はSexシーンが続きます。そんなに必要ない気もしますけど。

4.まとめ
うーん。BL初心者には悪くない作品だと思うが。
もしこれからBLに入ろうとする、あるいは女の子もまともに描かれている作品に接したいのなら桜沢エリカ『サロン』をオススメします。

絵柄 :★★☆☆☆
ストーリー:★★★☆☆
エロ度 :★★☆☆☆
(あくまで個人的主観に基づく★の数です)

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