火にもっと油を注げ!

曇り→雨。

ひどく疲れてしまって、早々に帰宅した。
うーん、燃え落ちそう(藁)

"海辺のカフカ"を読了。満足(*^_^*)
村 上春樹の作品は登場人物の名前がカタカナになっているものが多いと思っていた。外国人の名前ならばともかく、意図的に記号化された名前を使う小説は僕は苦手だ。僕は名前や漢字から音や、匂いや、光を感じるものなんで、記号化されてしまったものが複数並ぶと、それは急速に色あせ、風味を失い、関心をなくしてしまうのだ。我ながら古風だと思う(苦笑)。

"海辺のカフカ"においても、"ナカタさん"と"ホシノくん"というカタカナさんのエピソー ドが物語の半分を占めている。ただし幸いだったのは、常にカタカナなのは不思議な人の"ナカタさん"だけで、"ホシノくん"は対外的な部分では"星野くん"であったこと。星野君は日常と非日常の境界線に立つ狂言廻しで、わりと感情移入しやすい造形のキャラクターだった。読了にこぎ着けられたのは彼のおかげ。


ちなみに星野くんは狂言廻しのわりには、登場人物の中で一番まともで健康的な青年であって、イイヤツなんです。どっかで見かけた造形のキャラクターだなって記憶の中をかき回していたら、彼は古いゲームの"飢狼伝説"の テリーに似ているんですね。ってゲームやったことないんだけどさ(笑)。彼はとても気のイイヤツで、しなやかな肉体と精神の強さを持っている人間として描 かれている。その他のキャラクターが、あの世の影のような仮の姿で彷徨う、漂っているなかで、彼だけが血の通った人間だ。そして彼は非常に短時間で一人の 人間として華開いていく様子が温かい視線で丁寧に描かれている。僕はファンになったよ。

だから。この物語には二つのテーマがあって、主人公"田村カフカ"のエピソードは"オルフェウス神話"が下敷きになっている。もう一つの黄泉の世界(時空)の入り口開閉に関係する"ナカタさんとホシノくん"のエピソードは作者の完全な創作なのか、それとも種本があるのか、気になるところだ。