普段よりゆっくりと起床して、朝風呂に浸かった。
肌に優しくあたる温泉に身体を浸して、視界いっぱいに広がる樹木を眺める。
日頃都会で溜め込んだ毒気を抜いてから、"錦楓亭"(きんぷうてい)に戻った。
フロントに荷物を預けて、直接フェリー乗り場まで届けてもらうことにした。
僕らは手ぶらで大願寺境内をひやかす。
昨日、観光客が歓声を上げていた遠浅の砂浜は水面下。
無骨な足を見せていた厳島神社も水に浮いている船のようだ。
にぎやかな宮島 表参道商店街より1本山寄りの小道を歩いてフェリー乗り場へ行く。当初は宮島口まで戻ってJRか広電に乗って広島市内を目指す予定だった。前夜の屋形船乗り場の近くに、宮島と広島平和公園を結ぶ船があることを知った。所要時間45分だったらこちらの方が早そうだ。僕らはチケットを買い、岩惣からスーツケースが届けられるのを待った。ベンチに座って潮風にあたりながら、僕らは宮島フェリー乗り場と対岸を行き来するフェリーの群れを眺めた。舫い綱の軋む音、岸壁を洗う波音、船のディーゼルスメル、石畳の凹凸に不平を言うスーツケース…旅先の待ち時間は案外記憶に残るものだ。
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