広島・松山旅行記(19) 道後 湯築の杜 うめ乃や その弐

うめ乃やでの夕食は、一階の広間に設えられていた。
部屋食は匂いが部屋に籠もることもあるので、気分展開に宴会場などへ出向くのは全然苦にならない。むしろ期待感が高まってよろしい。

一階有楽の間に向かうと、僕ら二人分の膳の準備が進められていた。
女将が部屋の説明を始めたので、カメラを持って僕らも従う。僕らが食事を摂る部屋には、大日本帝国陸軍 秋山好古大将の揮毫が掲げられている。その隣の部屋には、大日本帝国海軍 秋山真之中将の揮毫がある。真之さんの方が字が上手いかな。お兄さんの木訥な筆遣いは人柄が現れている。まさに歴史が諸君を見下ろしている、といった背筋がスッと伸びる空間だった。





食前酒の梅酒を飲み干したあと、ワインを赤、白それぞれボトルを用意してもらって、食事が始まった。

前菜:いがぐり揚げ 銀杏むかご串 柿玉子 銀杏丸十甘露煮 ピーナッツ豆腐 酢取茗荷

吸物:松茸と鱧 海老土瓶蒸し

造り:平目、縞鰺、障泥烏賊

炊合わせ:伊予美人の揚芋まんじゅう 葛あんかけ

焼物:和牛ロースの朴葉焼

お凌ぎ:シャインマスカットの白和え

揚げ物:瀬戸内鯛の唐揚げ

食事:鯛飯 赤出汁 なめこ 青葱
香物:三種盛

水の物:杏仁豆腐 くこの実

果物:梨 巨峰

大人の隠れ家に相応しい、端正で優しい味付けだった。
僕は最近になって芋饅頭とか、海老真薯などの和食の焚き物の美味さを感じるようになったので、記憶に残る晩ご飯になった。

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