今日は大寒。九州旅行記をタイピングしていると、指先が凍えてタイプミスするほど。まったくなんて寒い日なんだろう。フィットネスクラブで走ってきたら、シャワーを浴びたあとの髪が冷えて風邪を引きそうになったくらいだ。
さて、富士山ひょうた"不測ノ恋情"
出版社のデスクでゲイの宮田は、恋人に過去の恋愛への未練を指摘され、振られてしまう。思った以上の痛手に二丁目で自棄酒していた宮田だが、偶然仕事相手でレザーブランドの代表・伊倉と出くわす。バイだと言う伊倉に飲みに誘われるが、すげなく断る宮田。後日、仕事への支障を心配する宮田だが、逆に伊倉は気に入ったと、プライベートでのつきあいを求めてきて——!?
ひさしぶりのBL書評なので、勘が全く狂っている。まあ、戯れ言だと思って読んでください。
評論家の内田樹が指摘しているけれど、「この世の中に私を待っている赤い糸で結ばれた運命の人がいる」という思い込みが、男女の結婚の阻害になっているそうです。「私だけの」というある種のオンリーワン思想って、就活、婚活などのハードルを上げている主要因であるという指摘は、なかなか言い得て妙だと思う。「適当なところで手を打っておきなよ」というおっちゃん・おばちゃんの知恵は、ある一面真理なんですよ。「運命の人だと思える人」なんて、そう簡単には出会えないし、「運命の人だった」とあとでわかっても覆水盆に返らずということが多々あります。夢を追いすぎるのもほどほどにね、と。
こんな前振りをしたのは、"不測ノ恋情"のテーマがおもしろいから。BL好きの腐女子の中に「男同士は対等につきあえる関係性が好きだから」という人たちがいます。ですが、実は彼女らは男同士の中に男女の関係を投影していたり、ウケがチ○コのついた女と脳内変換していたりするそうです。
ゲイの世界では「男同士は対等につきあえる関係性が好き」と言えるほど簡単ではないですよ。そうでなくてもマイノリティの世界で、やっとくどき落とした相手をベッドに引きずり込んでみたら「ちょっとー、二人ともネコだったのよ。しかたないからレズってきたわ〜」とかいう会話を新宿二丁目では飽きるほど聞けます。運命の相手だと思ったのにね。
タチ×ネコは男役・女役が自然に役割分担できるからカップルになれます。ところがタチ×タチ、ネコ×ネコの場合、話がややこしくなる。それこそタチ同士、ネコ同士でどーすんのよ、ってわけで。それでも付き合うことを決めたら、役割を決めなければならない。フェミニストのババァたちが喜びそうな、「ジェンダーはどういうきっかけで決まるのか」ということに真剣に悩まなければならなくなる。でも、現実は難しいようだ。タチ同士で付き合っているという話はあまり聞いたことがない。タチ同士だから友達という話は時々聞くけどね。
1.絵柄
富士山ひょうたのキャラクターは、僕は好きですね。清潔感のある今風イケメン。
女ウケするけれど、新宿二丁目では一番もてるタイプではないかも。
2.ストーリー
"純情"のスピンオフ作品です。彼氏が"純情"にはまっていたから、たぶんこれも喜ぶにちがいありません。"不測ノ恋情"は、"乙女BL"と"ゲイマンガ"の中間に立ち、他のBLマンガと一線を画す作品になる可能性を感じています。キーは"伊倉"です。彼の口説き方、振る舞いはすてきだと思いますよ。
3.エロ度
かなりエロいです。
4.まとめ
注目作品だと思います。新しい形の"ツンデレ"、リアリティのある"BL"作品となるかもしれません。
絵柄 :★★★★★
ストーリー:★★★★☆
エロ度 :★★★★☆
(あくまで個人的主観に基づく★の数です)
はじめまして、ゴリラと申します。
返信削除不測ノ恋情2巻を読んだ後、ネットで感想を探していたところ、cool.october2007様のブログに辿り着きました。
ゲイの世界の話に興味深くて、面白いと思います。自分は「男女の関係を投影する」ことができるような作品にあまり好きではありませんし、昔はゲイの友達たちの悩みを聞いたことがありますので、cool.october2007様の感想を読んで同感します。
最近は井上佐藤という作家の《10DANCE》を読みました。主人公の二人とも186-187cmという身長の体格が似ている男性です。今は連載中で1巻出ましたが、未だにどっちがタチかどっちがネコかわからないままです。社交ダンスを語る漫画で、面白いと思います。cool.october2007様もしまだ読んでいなかったらお薦めします。
上記のコメントに、もし日本語がうまく伝わらなかったり、失礼なところがありましたら、どうかお許してください。(ちなみに台湾人です)
はじめまして、ゴリラさん!(^^)/
削除辺境ブログにようこそお出でくださいました。
不測ノ恋情はおもしろいですよね。
"純情"の方はお話として楽しめましたが、"不測"の方は攻×攻カップルなので、やや複雑な気分。過去、僕も攻×攻カップルやってみたことがありますが、すぐに破綻しましたよ。どちらかが折れれば良かったんですが、意地を張り合ったのが敗因です。あはは。
10DANCEは書店で平積みになっていますね。
機会があったら読んでみます。
日本語、とてもお上手でしたよ。
台湾の方と書かれなかったら、まったくわかりません。
台湾大好きです。
羽田と桃園空港にAir ASIAが就航しましたね。
サーチャージ込みで片道12,000円を切るそうで、ますます台北が身近になりそうです。
またブログに遊びに来てくださいね。