MタイムとPタイム

自分が仕事で失敗したり、ひどく消耗するとき、ひとつ法則があることに気づいた。もちろん、失敗の原因なんて色々あるから……もうちょっと限定して、ひどく消耗させられる場合、その理由の1つに、Mタイムで生きている僕が、Pタイムの他人に振り回されるケースは、だいたい最悪のパターンに陥りやすい。

MタイムとPタイムってのは、こういうこと。

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エドワード・ホール (Edward T. Hall) が"Beyond Culture" (『文化を超えて』)で取り上げたもの。MタイムはMonochronic Time(単一的時間)の略である。Mタイムの時間観念を持つ文化の人間は、物事というものは1つずつ順番に起こると考える傾向がある。行動パターンとしては、一度にひとつのことのみに集中する。

PタイムはPolychronic Time(多元的時間)の略である。Pタイムの時間観念を持つ文化の人間は、複数のことが同時に起こるものだと考える。行動パターンとしては一度に多くのことをする。「タイミングがよい」、「チャンスが巡ってくる」と考える人間は、このPタイムの時間観念を持つ人間に多い。

MタイムとPタイムでは、スケジュールと人間関係において、反対の考え方をもつ。Mタイムの人間はスケジュールを人間関係に優先し、Pタイムの人間は人間関係をスケジュールに優先する。

例えば、Mタイムの人はスケジュールを優先するから、緊急事態でもない限りは先約を優先する。物事が最初の計画通りに進むことを好む。
Pタイムの人間は、「予約」はアバウトな約束に過ぎず、人間関係によってスケジュールを変更することが自然である。また、相手との関係がもたらす結果に従うのを好む。これは生き方の問題だから、優劣はたぶんない。
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こういう異なる感覚の人間がプロジェクトを組まされたらどうなるか。しかもPタイムの人間が上級職だったらどうなるか。綿密に組まれたスケジュールはミーティングのたびに破棄され、鳩山・ルーピー・由紀夫のように、最後に会った人に影響されて目的とゴールがコロコロと変更される。
この状況は、Mタイムの人間にとっては地獄だ。日々前進しているはずのプロジェクトが、ミーティングのたびに破棄されて堂々巡り。いったいこのプロジェクトの着地点はどこにある?しかも相手は課題を全くこなさずにミーティングに出てくる。しかも報告は曖昧で虚偽も少なくない。

で、僕はキレちゃったんですよ。

転覆確実な泥舟プロジェクトの遂行は不可能・無意味。プロデューサー気取りのあいつに全部企画書、計画立案、予算計画書、スケジュール案まで全部紙に落とさせて、それをチェックすることからはじめましょう。スタート地点の間違っているプロジェクトは必ず失敗するから、せめて、いまだったら正しいスタート地点に戻せるかもしれないから、と。

僕の上司はため息をつきながら「彼が紙に落とし込めるなんて、社内の誰も思っちゃない」。もちろん、僕だって彼が紙に落とし込めるなんて信じてはいない。あちこちで妄想をしゃべって回っているだけなのだから。

「だけど、彼の妄想の限界を紙に落とさせないと、私が忖度して何度企画書を書いても無駄になるだけです。せめて言い出しっぺの責任は取らせましょうよ。でなきゃ、危なくて私はこの案件は触れませんよ」

「coolさん、あなたがやってくれないと、この件は頓挫するの」
「彼にガバナンスをめちゃくちゃにされ続けているプロジェクトをやれとおっしゃる?」
「私も、会社も、実現させたいの」

まあ、こんな会話を木曜日・金曜日とやっていたわけです。
結局すごい条件が付いて、全部の会議に社長が同席、Pタイム氏の暴走は責任もって押さえ込む。Pタイム氏の取り巻きは、基本全部排除。Pタイム氏から僕へ個人的な依頼、交渉、要求は一切排除。議事進行、予算管理、スケジュール管理、諸々決定権はすべてこちら持ち、で続行決定。Pタイム氏が暴れなければわざわざ他人に見せる必要もなかった検討事項を急ぎ洗い出して、大項目で100個、ブレイクダウンするとたぶん150個くらいにはなる工程管理表を作り、それを上司が管理することになったんだ。

来週からPタイム氏が、仕事をしてこなかったり、決定を覆したりしたら、上司と僕が「あなた、前回、ちゃんと同意しましたよね。ここに書いてありますよね。なんでできなかったんですか?他の仕事が忙しかった?あなた昨晩寝ましたよね?徹夜したらできたんじゃないですか?いつまでにやれるんですか?」と詰めることになるらしい。まあ、それはそれで修羅場が続くような気がするのですが。┐('~`;)┌

今回はまあ、上司と社長が交通整理をやるから、まあ、なんとかなるかもしれない。実際、たった2週間のあいだに交通整理を3度もしなければならないなんて、すでに異常事態なんだけどね。

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