そして、悲劇的な後半。

そして後半……11月5日の夜に、どんな事件が発生したのか……。。。。

最近、夜はあまり食べない生活をしていた僕の胃は、ちょっと弱っていたようだ。温泉宿のどーんと品数が並べられる料理を食べた後、紅葉のライトアップされている場所まで宿の車に送ってもらったとき、悲劇は起こった。

宿の車は僕と母親を下ろすと、30分後に拾いに来ると言い残して去って行った。
雨がシトシト降っているなか、傘を差して川沿いに植えられた紅葉がライトアップされている光景を眺めて5分後……腹部に不穏な膨満感を感じた。もう立って歩いているのも辛く、簡単なお土産品を売っているテントの椅子に腰掛ける。お腹はゴロゴロと唸り、おならも出る。やばい。クルマはあと25分は戻ってこない……。

テントの裏手を見ると、仮設トイレが3つ並んでいた。
レンタルの××とかで貸し出しているようなアレだ。
たまらずドアを開けた。

が~ん!和式だ。Σ(゚Д゚)ガーン
人生の3大天敵の1つが和式トイレだっつーに。

背に腹は代えられない。
僕は覚悟を決めて、そのトイレに入っていった。

以下、尾籠(びろう)な記述が盛りだくさんなので、食事中の人、ウ●コの話が嫌いな人は絶対見ないこと!



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その扉の向こうには、思わずたじろぐような光景が広がっていた。
自宅の広いトイレに比べ、1/3程度しかないような小さな空間。
外は雨が降っていたから床は泥だらけで、そこにぽっかりと口を開いている憎き和式便器。幼少期から洋式便座しか使っていない僕は、和式と対峙するのは人生両手足があれば足りるほどの回数しかない。そもそも恐ろしいのだ、あの存在が。

トイレットペーパーは潤沢にあって、ほっとしたけれど、足下にはなぜか4~5L位ある巨大なペットボトルがあった。きっと焼酎大五郎のリサイクル品に違いない。後で調べたら、大五郎には取っ手はないらしいことがわかったが、とにかく、そのときは大五郎だと思ったのだ。壁に張り紙が……。

「水が流れないときは、ペットボトルの水で流してください」

が~ん!! Σ(゚Д゚)ガーン

そんな不衛生な…………。
呆然と立ち尽くす僕の脳みそとは無関係に、腹部の圧力は刻々と高まって行く。放置していたら決壊は時間の問題だ。

仕方ねぇ、やるか。

ジーンズを膝まで下ろしたとき、絶望が僕を襲った。
デニムの布地は硬い。あかん、これじゃジーンズに引っかけて、糞まみれになっちまう。。。。

この危機をどーして切り抜けたか!?
覚悟を決めて、身体をよじるのも厳しい狭い空間で脱ぎましたよ、下半身まっ裸!
で、上着をたくし上げて便器にまたがって力もうとした瞬間……後ろから「あ、失礼!」と男の声が!!!

トイレの鍵がしっかりかかっていなくて、丸出しの尻を他人に見られてしまった。

が~ん!! ガ━━ΣΣ(゚Д゚;)━━ン

恥じらう年頃じゃないけれど、軽くショックだった。
一瞬気が遠くなったけれど、そのとき思ったこと……。
「しっぽが生えてなくてよかった……」
危機に陥ると、人はバカバカしいことを考えるものだ。

後ろ手で鍵をかけ、続行。

最初はノーマルのが出て、重みが加わるとパタンと底が開いて下に落ちていった。良くできているなあと感心しているのもつかの間、洪水本体が襲ってくる。

ひ~~、くるしい!!
水、水を流したい。。。なんと!排水レバーは一段下がった便器の下(タンクが便器の下のあるため)。片足を後ろに伸ばしてレバーを踏むなんてアクロバティックな体位は、ダンサーじゃないんだから無理!!第一、足が攣ったらどうすんだ!?尻餅事故を起こして、糞まみれのオッサンが仮設トイレのドアを破って外に転げ出るなんてことになったら、舌かみ切って死ぬしかない!!

立ちこめる強烈な臭気にクラクラしながら、閃いたのは「ああっ!大五郎!!!」。水を使えば良いんだ。中途半端に底が開いていると、発酵したすてきなアンモニア臭が立ち上ってきて、目にしみる。とにかく早くどうにかしないと。ペットボトルに手を伸ばしてドバドバ水を流すと、パタンと底が抜けた。はぁ~一難去った。ありがとうよ、大五郎!

間断なく下腹部を襲ってくる痛みと戦う。
僕には腹痛3レベルというのがある。レベル1は普通の腹痛。辛いけれど、まあ、出せばなんとかなるノーマルレベル。レベル2になると間断ない痛みで悲鳴が上がる状況。かなり辛いが、まあ、まだなんとかなる。レベル3はもう服を着けているのも辛くて、トイレでまっ裸になってのたうつ。そして放心。人間って本当に辛くなると、肌にあたる布の感触や、首にあたる襟の締めつけだけでも嘔吐してしまうという。今回はレベル2。それでも外出先、仮設トイレ、しかも和式という3重ピンチ。

一方外で待っている母親は、トイレの中で悲鳴を上げ続けている僕の声を聞いて、あの子は泣いているんじゃないか?と思ったらしい。実際、狭いトイレの中で壁に頭をぶつけながらのたうっていたんだけど。この頃20:15。

そしてこのかわいそうな母子に声をかけてきたのが、お土産屋のオヤジ。
「そろそろ時間なので、電気切りたいんですけど」

ヒィー(((゚Д゚)))ガタガタ

その声を聞いたとき、狭い個室の中で、僕は絶望の谷に突き落とされましたよ。
「は、はい…………」

後で聞いた話だと、母親が必死で「電気だけは……」と頼み込んでくれたらしい。さすがに電気を止められることはなかったが、そのオヤジと母親はいったいこの後どうなるのだろうと固唾をのんでトイレを眺めていたらしい。オヤジは単に早く帰りたかったらしいけど。トイレの外まで響く荒い息と、低いうなり声で、周囲はどん引きだったらしい。この頃20:20。残り時間10分。スマートフォンの時計を見ながら、今晩、もしこの下痢が止まらなかったらどうしよう。無理矢理宿のクルマに乗って、車内でぶち撒くことなんてあったらどうしようと、そればかり悩んでいた。てか、そもそもこの汚いトイレの外に出られるのだろうか……おっと、大五郎、大五郎。

そして奇跡は起こったんだ。
20:25過ぎに、最後の波が過ぎていった後、嘘のように痛みは引いた。
ヨロヨロと後始末をして、ふたたびジーンズを穿く。1/3ほど使い残した大五郎の水に感謝して、僕はトイレから生還したのだった。

宿から差し回しのクルマに乗り込む。
運転手さんに「宿までどのくらい走りますか?」と尋ねると、10分かからないという。それならばなんとかなるだろう……河口湖大橋を渡ればもうすぐだ。

という僕の安堵も虚しく、運転手さん、サービスでわざわざ遠回りして湖畔を巡ってゆくし!内心「ひいぃぃぃぃぃぃ~」と思ったけれど、まあなんとか宿までは無事にたどり着くことができた。部屋に戻ってからも日付が変わる位まではトイレに通ったけれど。

そんなわけで、旅行後半はぐったり。
翌朝、おっかなびっくり朝ご飯を食べて、さっさと河口湖から帰ってきたのだ。

2 件のコメント:

  1. ごめんよ〜〜

    爆笑しちゃいました〜〜それにしても超すごい体験だったですな〜〜

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  2. > anupamさん

    ほんと、情けない体験でしたよ (T-T)
    まるでマンガみたいだってことが、現実に起こるもんなんですねー。

    人生って不可解だわ。

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