新千歳空港から洞爺湖サービスエリアまで 北海道紀行2014 (1)

成田空港を出発したのは、飛行機が夏ダイヤで飛ぶ最後の日。
午前中の透明感のある空を眺めながら、僕は国内線出発ロビーにいた。


GWが終わる頃、スカイマークの予約を取って、その後A380キャンセル騒動で会社が倒産するか否かみたいな話があって。出発の2週間前くらいだっただろうか、僕のフライトの日をもって成田空港からスカイマークが撤退することが決まったのは。ボーディングゲート近くのソファに座ってぼんやりしていると、TV局のインタビューアが来て鬱陶しかったことを覚えている。

新千歳空港へ着陸したとき、窓の外、滑走路の向こうに広がっていたのはブラウンの、秋の王国だった。そりゃ夏ダイヤの最後の日だと分かってはいたけれど、まだ紅葉も始まっていない関東者の目には、遮るもののない広い空の下、晩秋が伏せっている光景は外国に来たような気分だった。

ロビーで彼氏と待ち合わせをして、レンタカー会社のバスにピックアップされる。
バスに乗っている時間は15分程度だったと思うが、知らない土地の風景を眺めているのは楽しかった。運転が始まると、あまり景色に気を飛ばしているわけにも行かないからね。
借り出したホンダFitハイブリッドは、条件付き走行。出発数日前にFitハイブリッドに大規模リコールが発生したと電話連絡があった。最悪の事態ではエンジンが止まってしまうバグがあるとかないとか。なんかめちゃくちゃおもしろそうだったので、そのまま借りることにした。レンタカー屋のサービスでJAFフルロードサービスを無料でつけてもらったが、結局それを使うことはなかった。単にハイブリッドカーを運転してみたかったのだよ。


車を借りるとルタオのお菓子サービス券をもらった。レンタカー屋の向かい側にあるルタオでお菓子をもらって、僕らは洞爺湖へ向かって出発した。

北海道の地理感覚がなかったので、高速道路で洞爺湖をめざすことにした。
北海道の秋の王国だった。晩秋の紅葉が道路の両脇に広がっていて、時折強い風に煽られた枯れ葉が鳥の群れのように空を舞った。室蘭を過ぎる頃から海と併走する。右も左も広大な空間が開けていて、なんかゆったりとした気分で西をめざした。
昼ご飯を摂り損なったので、途中のサービスエリアで食べようとした。走っても、走っても、サービスエリアが現れない。パーキングエリアはいくつもあったのに。「そうか、北海道にはサービスエリアがほとんどないらしい」と気づいたのは、有珠山サービスエリアに着いてからだった。

豊浦湾に降り注ぐ天使の梯子を眺めながらハンバーグ定食を食べたのが、北海道に上陸して最初の食事だった。ああ、施設の外で食べた牛串もうまかったなあ。外に出て有珠山と昭和新山の写真を撮った。吐く息が白い。あの日の北海道は、秋と冬の狭間にあった。




0 件のコメント:

コメントを投稿