カオションの空気

日付が変わる直前、ベランダをたたく雨の音で目が覚めてしまった。
そして眠れなくなった。

細く開けた窓から吹き込んでくる空気は、カオションに滞在していた記憶を呼び起こす。それは、少しひやりとした、湿った空気だ。カーテンを開ければ、港を照らす鈍い明かりが見えるような気がした。

僕と彼氏がカオションを訪ねたのは1月。
22~3℃の気温は、寒い日本から来た人間にとっては5月頃の気候で、薄手のシャツか半袖のポロシャツで過ごすこともできた。現地の人にとっては、一番寒い時期。外出している人たちは皆、ダウンジャケットを羽織っている。その奇妙なコントラストがなんだかとても愉快で、カオションでの記憶はそればかりだったりする。

ベッドで寝返りを打っているうちに、炸裂弾を打ち出したような雷鳴と、その後を追う大気のどよめきで、ますます眠れなくなった。雷は夜明け前まで続いた。

すっかり寝不足のまま、こうしてPCに向かっている。

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