BL漫画レビュー:井上佐藤『10DANCE』 第2巻

さあ、待ちに待っていた井上佐藤『10DANCE』第2巻。
仕事を終えて、本屋へかっ飛んできました。

ほとんどファーストインプレッションだけど、この感動を誰かに伝えたい。

鈴木信也と杉木信也はそれぞれラテンダンスとスタンダードの日本チャンピオン。杉木からの提案で二人は互いのダンスを教え合い、10種類のダンスで競う「10ダンス」に挑戦することになった。正反対の二人は衝突を繰り返しながらも、その都度カベを乗り越えて練習は軌道に乗り始める。
そんな時、本場・イギリスの世界戦で踊る杉本を間近で見た鈴木の中に、杉本と同じ舞台に立ちたいという強烈な欲求と身に覚えのあるヤバい感情が芽生え…!?


第2巻で、それはほぼ確信に近づきつつあるのだけれど、10DANCEは名作の風格を漂わせ始めているなあと感じる。それなりにBLマンガを読んできたけれど、作中の「空気感」に包まれる経験は初めてかもしれない。

今回は杉本も結構かわいい感じになってきた。目の前にいない相手を想って、ベッドでゴロゴロしてしまう。数時間前までこの手の中にあった相手の体温を思い出してしまう。恋という形になる前の、こういう淡い熱さって、人の気持ちをほこほこさせる。



今回、鈴木信也(ラティーノ)が、ソーシャルダンスの本場イギリスで杉本信也(スタンダード)の踊りを見るわけです。これって実はすごく大事なエピソードで、ラティーノの踊りを先に見初めたのはスタンダードだった。ラティーノも映像では見ていたけれど、ライブで見るのは初めてなわけで。その舞台で圧倒的な存在感を見せつけるスタンダードに恋に落ちちゃう。まあ、ラティーノはもともと惚れっぽいようですが。

BLマンガって、性格のかわいいウケは圧倒的に読者に愛される。話が進行するにつれて、ラティーノ鈴木のかわいいところがぼんぼん出てくる。舌っ足らずなラテンなまりの英語がネイティブたちには色仕掛けに聞こえてくる事。大家族の長男だったから料理ができる事。そして謎のタトゥ。。。堅物杉本が崩されてゆくさまを期待している読者も多いのだろうけど、ラティーノ鈴木のかわいらしさをトコトン愛でるのもアリでしょう。

あと一つ。

「矢上さん
 本当の彼はどこまで踊る事ができるんでしょうね。
 人の身体は 
 精神は
 どこまで動いて挑戦する事ができるんでしょうか」

これは杉本がラティーノ鈴木の演舞を見たときのセリフ。第1巻ですでに出てきたセリフですが、改めてこの言葉に接すると、実は人間の可能性に対する深い深い愛に溢れた言葉だった事に気づいたよ。

「空気感」って書いたけれど、僕はバズ・ラーマンの「ダンシングヒーロー」を思い出した。主人公のポール・マーキュリオとタラ・モーリスが、スタジオの屋上、コカコーラのネオンサインの前で踊っているシーン。シンディ・ローパーのTime After Timeがかかっててさ。あのシーンは良かったな。

1.絵柄
1巻に引き続き絶好調。大胆な構図も自在に扱い、そしてラティーノ鈴木がすごくかわいくなってきた。

2.ストーリー
今回杉本の演技を間近で見た鈴木の感情の揺れがメインかな。相変わらず競技ダンスは華やかで、その華やかな舞台裏でいろいろなことがある事も匂わせつつ。鈴木、杉本の私生活も徐々に明らかにされたりして、かなり満足。

3.エロ度
まだキス止まり。ベロは入った!

4.まとめ
名作・大作の風格が出てきた!もはやBLマンガの枠にとどめておくにはもったいない。是非買って読むべし、損はない!、と思う。

絵柄 :★★★★☆
ストーリー:★★★★★
エロ度 :★☆☆☆☆
(あくまで個人的主観に基づく★の数です)

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