BL漫画レビュー:宝井理人『テンカウント4』

しばらくほったらかしにしていた宝井理人作品テンカウント4。
BLマンガコーナーでは平積みの一押しだったから、相当売れたんだろうな。
ほったらかしにした理由?
「なに!?この底意地が悪くて、野心満々なビッチガマはっ!」とダウントン・アビーのトーマスから目が離せなかったり、それから、テンカウント4にそこはかとなく違和感を感じているせい。

テンカウント4 表紙
「どうして欲しいですか?
 自分で言えたら
 もっと汚してあげます。
 城谷さんの中」

黒瀬の指に、言葉に、翻弄される城谷。
そんな彼に黒瀬は告げる。
「城谷を好きになった理由」を……。
ショックで黒瀬の元を飛び出した城谷は疼く体に自ら手を伸ばしてしまい、ずっと目を背けてきたトラウマを呼び起こされる……。

無愛想なカウンセラーと潔癖症の社長秘書の恋、城谷の過去も紐解かれる激動の第4巻。


んー、、、、。
指、言葉だけじゃないっしょ?
アナルにプラグ突っ込まれてグリグリ、パンパンされてっしょ?
大事なところを省略しちゃ駄目ですよ。

知人に高名な精神科医がいて、ついこのマンガの話をしたくなる誘惑に囚われる。ページをめくっていて気付いたのは、このマンガに精神科医などの監修を受けているという表記がないこと。こういうカウンセリングが正しいのか否か分からないんだよね。専門家の1ページコラムでもあれば腑に落ちるんだけどさ。一応、曝露反応妨害法らしいが。

Sの気持ちは代弁されてるよ。
「俺をコントロールしているのは城谷さんです」

テンカウント4

テンカウント4

テンカウント4

「俺が城谷さんを好きになったのは……城谷さんが潔癖症だったからです」

んー、そりゃねーだろ。
トラウマを抱えて苦しんでいる患者の存在を肯定しているかのようで、でも汚されることを望んでるのは貴男だから、俺はその気持ちに従っているだけ……って。いや、単純にエロイSとMのプレイだったらいいのかもしれないが、一応治療なんだが。。。

で火照った体を慰めるため、きったない公衆便所で自慰に耽る城谷。不衛生耐性は着くのかもしれないけれど、こういうやり方が正しいのだろか?

こんなことを書き続けているのも、切れた城谷が黒瀬をバラバラ死体にするとかのBadEndを目指しているサイコホラーならばともかく、それを同性愛?同性性交?を伴うなかで進行させる不自然さが腑に落ちないんだ。そもそも二人は同性愛者でもないわけで。

人には誰でも不可侵領域みたいなものがあって、それより先に侵入されると壊れる。例えば心なんかもそう。緊急停止したエレベータの暗がりの中で、精神的に動揺している城谷に対し「はっきり城谷さんの意思で」と迫る黒瀬。「強要されてるわけじゃないのに、完全に支配されてるような感覚。俺がなにを考えているのか、なにを求めてるのか、言わなくても、触れなくても、すべて見透かされているような感覚」。

テンカウント4

テンカウント4

テンカウント4

人って、そういう支配をされると人でなくなってしまうと僕は思うのだよね。人には形があって、他人に支配されることや、すべて見透かされるような存在じゃないから、個として存在しうるわけで。
黒瀬は城谷が望んでいることを叶えているだけなら、今後トラウマの傷が広がり、城谷の混乱が進んで城谷が死を望んだら、あるいは心中を希望したらならば、それを叶えてあげるのか?究極、行き着く先はそうなる。

そんな究極な状況を現出させ、城谷のトラウマをすべて受け止め、ハッピーエンドに持ち込む力業が黒瀬の城谷への愛、BoysLoveなのだ、とか言ったら本気で噴飯モノですわ。

1.絵柄
安定の宝井理人だが、ちょっと絵柄が変わったかな?第2巻の頃のスジ筋細マッチョの青年の体から、なんか全体的に子供っぽい感じになった印象。エロを直接描写し始めるにつれて、衣服の下から隠しても隠しきれないエロオーラみたいなものがなくなったとか?

2.ストーリー
まあ、ぐちゃぐちゃしてる。黒崎に浸食される城谷の恐怖感と、トラウマの原因についてのお話。女子高生に仕組まれて性のトラウマを抱え込んでしまった城谷。しかしまあ、BLマンガに出て来る女性は大概ひどい描かれ方している。それが容認されているのが謎だ。

3.エロ度
とっぱじめからプラグを突っ込まれて「ひあっ」とか言ってる城谷のおいなりさんを目にするとは思わなかったぜ。

4.まとめ
急速に興味を失いつつある本シリーズ。
世間では高評価だが、僕は世間からずれているらしい。

絵柄 :★★★★☆
ストーリー:★☆☆☆☆
エロ度 :★★★☆☆
(あくまで個人的主観に基づく★の数です)

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