おわら風の盆 (3) - 戸隠高原とおわら風の盆

高岡市を出て、緑を敷き詰めた田圃を左右に楽しみながら八尾をめざす。
おわら風の盆の期間中、住民を除く車両の通行は禁止され、外からのクルマは富山市八尾スポーツアリーナ駐車場に駐めることになっている。そこからシャトルバスで会場入りする。このスポーツアリーナ駐車場以外にも、少しずつ駐車場は存在する。いずれにしろ、通行禁止エリア内は15:00~25:00まではクルマの出入りは出来ず、下手に規制線の中に入ってしまうと身動きが取れなくなってしまう。

規制線ギリギリのところにある八尾総合病院の駐車場に駐めさせてもらった。
そこからどちらへ行けばいいのか、地図を見てもさっぱり判らない。
道沿いに少し歩くと川にぶつかった。どうやら井田川らしい。
これは逆方向だなということで、方向を変えると道は跨線橋になっているようだった。
側道を歩くとぽつぽつとぼんぼりが立っていて、遠くに駅が見える。

小さな踏切を渡ると「福島」と描かれたぼんぼりが駅に向かって連なっている。
前日と打って変わって日差しの強い晴天。厳しい残暑。
日陰のない道を歩いていると、クラクラしてくる。

猛禽類の嘴のようにぐにゃりと曲がった高山本線。
目の前を富山駅へ向かう短いローカル線が走って行く。
越中八尾駅前はテントが立ち並び、胡弓の優美な音色が漂っている。

疲れやすい両親をコンビニ前に置かれたベンチに座らせ、30分ほど休憩。
目の前は、夜に向けてゆるゆると開店準備に取りかかっている屋台の列。
八尾町内に宿の取れた少数の幸運者を乗せたタクシーが行き交う。
県外ナンバーの乗用車の姿も目につく。

「タクシーで行くか?」という申し出を父が断ったので、僕らは諏訪町をめざして歩き始める。井田川を超え、坂町をゆっくりと歩む。下新町、今町、西町、そして常松寺で力尽きた。諏訪町を少しだけ冷やかす。噂に違わず、美しいたたずまいだった。





越中八尾駅から諏訪町まで、ゆっくり歩いておよそ1時間かかる。
両親、とくに父親がよく歩ききったものだと、内心驚いていた。

近くのカフェで一息ついた。
時刻はまだ13:00。
おわらが始まるまでまだ3時間もあった。

「どこかで休憩できる場所はありませんか?」という問いに、カフェの主人は当惑した表情で和紙文庫は暇つぶしできると言う。騙されたつもりで行ったみたらガラガラで、空調の効いた展示室の椅子を占拠して、僕らは2時間近くぐったりしていた。

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