彼氏と河津桜を眺めにゆく。

お仕事お疲れさま。

土曜日の午後、日の陰り始めたカフェで、僕は彼氏を迎えた。
彼氏が日本に向かって飛行を続けている間、僕は税務署によって確定申告の手続きを行ったあと、カフェ難民になって彷徨い続けていた。1月8日に腰椎の障害を起こして以来、こんなに長く歩いたことはなかったとあとで気付いたくらい。

仕事明けの彼氏はちょっと疲れていて、時差ボケでぼんやりしているように見えた。

普段、ご飯を食べたあと、ゲイバーでワインを飲んで、グダグダになって部屋に戻ることが続いていた。ゲイバーは僕らにとってはくつろげる場所ではあるものの、パブリックスペースであることには変わりない。ついつい店子やほかの客としゃべってしまい、最近ちゃんと向き合っていないなあという反省はあったんだ。

今夜は部屋にいよう。

新宿で気になっていたイタリアンレストランで、晩ご飯を食べる。〆にぷりっぷりの海老のクリームパスタをシェアして、二人とも満足して店を後にした。週末の新宿は歩道に人が溢れていた。日が暮れたあと、冷たい風が吹き付けてきて、ホテル向かう僕たちは思わず頸をすくめた。

(ここのパスタはお安くて、気楽なイタリア料理店だった)

高層階の部屋から見下ろす東京の眺めは、遠く地平線まで光が溢れている。部屋の電気を落とし、彼氏のiPhoneから流れる音楽を聴きながら、とりとめのない話をする。感情を殺したようなサカナクションから始まって、Swallowtail Butterfly ~あいのうたが暗い部屋の中に流れていて、窓の外を眺めながら、ときどき口づけて、ときどき身体を引き寄せて肩を抱き、互いの身体の温かさを確認する。そんなふうに過ごした。

今日2月28日。
地上では東京マラソンが開催されていて、まるで川が流れているかのようにランナーが駆けてゆく。朝ご飯は簡単に済ませる。



次回彼氏が来日するときに桜は咲いているかどうか分からない。ちょっと遠出して花見に行こうということで、JRと京急を乗り継いで三浦海岸まで来た。伊豆の河津まで出かけるのは大変だが、三浦半島ならばだいぶ手軽だ。

三浦海岸駅からてくてく歩く。
京急の線路沿いにピンク色の河津桜が咲いている。
先週が一番の見頃だったのかもしれないが、まだまだきれいな花を咲かせていた。






京急と河津桜の写真は彼氏提供。
車窓から桜を楽しませるためなのか、電車の走るスピードはかなりのんびり。

さらにてくてく歩いて三崎口駅に到達。駅の名前はよく知っていたけれど、駅前になにもないこんなローカル駅だとは想像もしていなかった。ここから横須賀へ。

どぶ板通りで、定番TSUNAMIのネイビーバーガーを食べ。
これはクォーターサイズだから小さい。
レギュラーはかなりのボリュームだ。
佐世保バーガーを食べたことのある人には馴染みのある、ボリュームはあるが優しい味付けのハンバーガーだ。

三笠記念公園へ行き、戦艦三笠を詣で。
連合艦隊解散の辞は何度読んでも名文だと思う。

有楽町に戻って晩ご飯を食べて、彼氏と別れた。
けっこう歩いたから、今夜は二人ともよく眠れるにちがいない。

彼氏と過ごす週末はこんな感じ。

BL漫画レビュー:羽柴みず『孕み薔薇』

AmazonのBLカスタマーレビューを眺めるのが好きだ。
星の数のともかく、レビューが8つ以上ついている批評はだいたい間違いない。
もちろん好みによる揺れはあるけれど。

一方で新作で「人気」というタグがついているにも関わらず、カスタマーレビューが一つもついていない作品が時々ある。つまんない作品なら腐女子はケチをつける。人気があるのにレビューがつかない作品は、腐女子に残った乙女感性がレビュー投下を躊躇わせるほどの「上級コース」なのだ。いいでしょう、その汚れ役引き受けましょう。

神薙三兄弟と運命の男。

この身体はもう、普通じゃない。

島を統治する神薙三兄弟に子づくりを望まれ、魔性の血を開花させてゆく奏日。
最初に奏日の宿命を見抜き、犯した次男・天佑を想いながらも、かつてない感覚、感情、変化に戸惑い、やがて…!?


絶海孤島ものですな。
絶海孤島ものはミステリー仕立てと決まっているが……。
魔性の血を開花させる青年……しかも子づくり可。
三兄弟と4Pなどなど、あらすじの段階で地雷が満載。

で、どうよ??


せぇしをちょうだい!! Σ(・o・;) ハッ!

バカさは紅蓮ナオミ級!

よい子はここで引き返そう。
ここから先はBL上級者コースのはじまりはじまり。

主人公青木奏日は、死んだ母が生まれ育った女腹島(w にやって来る。
海岸沿いの道で出会った神薙天佑と出会う。

天佑の家に連れてこられた奏日はいきなり……。



孕み薔薇だー

ケツの穴が薔薇仕立て???
思いっきり吹いたわ!
バカすぎる!!
さすがにここまでアホな設定を見たのは初めてだ。

そして挿入されて、中だし!


「これであかちゃん…おなかにできたの…?」
ま、魔性の血が発動なのか??

神薙兄弟は三兄弟。天佑は次男。
長男にも中出しされ、末っ子に抜かれ、次男は視姦。

そして、奏日開眼。

ひれ伏せ! (w
女王降臨!!

中出しを繰り返しているうちに奏日の体内に子宮ができ、誰の子供を孕むかで家族会議。「アンタら3人のこどもを産むために孕み薔薇に生まれついたんだと思う」


君臨すれども統治せず!が奏日のポリシーらしい。

そして三日三晩の種付けの後、見事懐妊!


ボテ腹から子どもを出産したあとは、奏日は母乳噴出するわ、乳首をこねられて思わず喜声をあげる奏日に「むせ返るこの薔薇の香り。発情しているヨメを放っておけるか」と襲いかかる三兄弟。「ママの時間はもう終わり。さあ、子づくりの時間だ」。

そして冒頭に戻る。

うーん。
ボーイズラブでも最上級クラスの設定、紅蓮ナオミ級のばかばかしさ、という合わせ技の本作品。ジャンルはオメガバース方面なんだろう。奏日が葛藤なしでスルッと出産を受け入れてしまうのはなんだかなーと思うが、まあ変ないじめの対象にされているよりはナンボかまし。エロエロで、笑えるけれど、これが好きと公言できる腐女子はやっぱり上級者じゃないかと思うわな。

1.絵柄
ちょっと古い印象を受けるが、端正できれいな方だと思う。
BL小説の挿絵とかやってる人らしいね。

2.ストーリー
週に1便しか船の来ない絶海の孤島。女腹島の血筋は孕み薔薇のある女にしか女が生まれない。奏日の母親が島から逃げ出したので、女腹島は絶滅の危機に陥った。そこに薔薇の痣をもつ奏日が現れて……。

末っ子が長男に片想いしているという設定もあるよ。

3.エロ度
エロ、エロ、ドエロ。4Pとか、お外でワンワンスタイルとか、お腹いっぱい。
末っ子の切ない気持ちを察した奏日が「一人ずつなんて言わないでさ、ここに2本一緒にちょうだいよ」というサービスシーンもあるよ。
奏日くんの薔薇は、かなり広がるみたいです。

4.まとめ
とにかくバカバカしさは紅蓮ナオミ級。
天空へと続く高みを目指すBL上級者だけに許される奇書。
いつかコレクターズアイテムになる予感が。。。。。

絵柄 :★★★★☆
ストーリー:★★☆☆☆
エロ度 :★★★★★
(あくまで個人的主観に基づく★の数です)

走れた……

たった30m位だけど、以前のように普通に。
ちょっとうれしい。

ぎっくり腰のペインクリニックの権威という女医さんが、恐怖と不安が神経を過敏にして症状を悪化させると言っていた。
僕も似たような状態なのかもしれないな。

地上波TVがダメになっている理由

単純に、スペック競争に走っているからだと思います。
日本の家電業界がスペック競争で海外に負けたっしょ?
超高学歴者を集めたクイズ番組とか、自分の首を絞めるだけかと思う。
だって、観てるのは老人とB層なんだから、もっと緩くないと。

「兄は夜更け過ぎにユキエに変わるだろう」以来、ボキャ天映像を漁ってみたら、めちゃめちゃおもしろいんだわ。いまだと放送できないレベルのモノばかり(w。

全編おもしろいネタが続くけれど、、これは笑った。


視聴者が参加できるレベルに堕とす。
これが地上波TVに求められていることじゃないんでしょうか。

BL漫画レビュー:宝井理人『テンカウント4』

しばらくほったらかしにしていた宝井理人作品テンカウント4。
BLマンガコーナーでは平積みの一押しだったから、相当売れたんだろうな。
ほったらかしにした理由?
「なに!?この底意地が悪くて、野心満々なビッチガマはっ!」とダウントン・アビーのトーマスから目が離せなかったり、それから、テンカウント4にそこはかとなく違和感を感じているせい。

テンカウント4 表紙
「どうして欲しいですか?
 自分で言えたら
 もっと汚してあげます。
 城谷さんの中」

黒瀬の指に、言葉に、翻弄される城谷。
そんな彼に黒瀬は告げる。
「城谷を好きになった理由」を……。
ショックで黒瀬の元を飛び出した城谷は疼く体に自ら手を伸ばしてしまい、ずっと目を背けてきたトラウマを呼び起こされる……。

無愛想なカウンセラーと潔癖症の社長秘書の恋、城谷の過去も紐解かれる激動の第4巻。


んー、、、、。
指、言葉だけじゃないっしょ?
アナルにプラグ突っ込まれてグリグリ、パンパンされてっしょ?
大事なところを省略しちゃ駄目ですよ。

知人に高名な精神科医がいて、ついこのマンガの話をしたくなる誘惑に囚われる。ページをめくっていて気付いたのは、このマンガに精神科医などの監修を受けているという表記がないこと。こういうカウンセリングが正しいのか否か分からないんだよね。専門家の1ページコラムでもあれば腑に落ちるんだけどさ。一応、曝露反応妨害法らしいが。

Sの気持ちは代弁されてるよ。
「俺をコントロールしているのは城谷さんです」

テンカウント4

テンカウント4

テンカウント4

「俺が城谷さんを好きになったのは……城谷さんが潔癖症だったからです」

んー、そりゃねーだろ。
トラウマを抱えて苦しんでいる患者の存在を肯定しているかのようで、でも汚されることを望んでるのは貴男だから、俺はその気持ちに従っているだけ……って。いや、単純にエロイSとMのプレイだったらいいのかもしれないが、一応治療なんだが。。。

で火照った体を慰めるため、きったない公衆便所で自慰に耽る城谷。不衛生耐性は着くのかもしれないけれど、こういうやり方が正しいのだろか?

こんなことを書き続けているのも、切れた城谷が黒瀬をバラバラ死体にするとかのBadEndを目指しているサイコホラーならばともかく、それを同性愛?同性性交?を伴うなかで進行させる不自然さが腑に落ちないんだ。そもそも二人は同性愛者でもないわけで。

人には誰でも不可侵領域みたいなものがあって、それより先に侵入されると壊れる。例えば心なんかもそう。緊急停止したエレベータの暗がりの中で、精神的に動揺している城谷に対し「はっきり城谷さんの意思で」と迫る黒瀬。「強要されてるわけじゃないのに、完全に支配されてるような感覚。俺がなにを考えているのか、なにを求めてるのか、言わなくても、触れなくても、すべて見透かされているような感覚」。

テンカウント4

テンカウント4

テンカウント4

人って、そういう支配をされると人でなくなってしまうと僕は思うのだよね。人には形があって、他人に支配されることや、すべて見透かされるような存在じゃないから、個として存在しうるわけで。
黒瀬は城谷が望んでいることを叶えているだけなら、今後トラウマの傷が広がり、城谷の混乱が進んで城谷が死を望んだら、あるいは心中を希望したらならば、それを叶えてあげるのか?究極、行き着く先はそうなる。

そんな究極な状況を現出させ、城谷のトラウマをすべて受け止め、ハッピーエンドに持ち込む力業が黒瀬の城谷への愛、BoysLoveなのだ、とか言ったら本気で噴飯モノですわ。

1.絵柄
安定の宝井理人だが、ちょっと絵柄が変わったかな?第2巻の頃のスジ筋細マッチョの青年の体から、なんか全体的に子供っぽい感じになった印象。エロを直接描写し始めるにつれて、衣服の下から隠しても隠しきれないエロオーラみたいなものがなくなったとか?

2.ストーリー
まあ、ぐちゃぐちゃしてる。黒崎に浸食される城谷の恐怖感と、トラウマの原因についてのお話。女子高生に仕組まれて性のトラウマを抱え込んでしまった城谷。しかしまあ、BLマンガに出て来る女性は大概ひどい描かれ方している。それが容認されているのが謎だ。

3.エロ度
とっぱじめからプラグを突っ込まれて「ひあっ」とか言ってる城谷のおいなりさんを目にするとは思わなかったぜ。

4.まとめ
急速に興味を失いつつある本シリーズ。
世間では高評価だが、僕は世間からずれているらしい。

絵柄 :★★★★☆
ストーリー:★☆☆☆☆
エロ度 :★★★☆☆
(あくまで個人的主観に基づく★の数です)

上高地帝国ホテルには幽霊がいる

と言っても僕が目撃したわけではないし、そういう噂があるわけでもない。

上高地帝国ホテルのすばらしさは、文章では表しにくい。
絶賛される一方で、部屋は狭いし、料理も古くさくて平凡、ブランドに寄っかかったぼったくりホテルじゃないか、と感想を残す人もいる。

上高地帝国ホテルの良さを伝えるのは難しいね。
あの車寄せに降り立ち、ドアボーイ達に招き入れられると、僕は上高地帝国ホテルという生き物の胎内に進んでゆくような気分になる。

ホテルの中を支配している独特の空気感…それは泊まり込みで勤務しているスタッフ達の一体感、体育会系の合宿所に流れているような濃密な連帯感が半分。スタッフの間には家族のような空気が漂っている。

そして、残り半分は幽霊さん達。それはもうこの世にいない人たちかもしれないし、今はこの場にいないだけの人たちかもしれないが、その人達の残していった想いみたいなもの。このホテルを愛して、後ろ髪を引かれるような想いで去って行った人たちの切ない名残惜しさみたいなもの。それは建物のあらゆる所に漂い、ホテルを温め続けている。車寄せへ続くスロープの先、穂高連峰を従えた赤いとんがり屋根が視界に入ると、気分が高揚してくる。そこには終始上品で、上質な空間が待ち構えている。上高地帝国ホテルはそういう場所だ。

そういう特別な空気を持つホテルを、僕はほとんど知らない。新しくて、立派なホテルはいくつも体験してきたのだけれど。上高地帝国ホテルが特別なのは、目に見えない、心のどこかが感応するなにかがあるから。

上高地帝国ホテルの宿泊者名簿に名前を記すということは、たぶん、過去から積み重ねられてきたこのホテルの仲間の一人になるという特別な意味がある。そんな気がする。

最近父親の衰えが目立って進んできた。
もう海外へ連れ出すことは無理だろう。
緊張しぃの母親がくつろげるホテルがハワイ島と上高地帝国ホテルしかないという事情もあって、今年の夏、親孝行のために上高地帝国ホテルを連泊で予約を入れた。7年ぶりの宿泊になる。きっとすばらしい思い出になるだろう。

旅行の計画はできるだけ早く立てた方がいい。
計画を立てたその日から、ずっと幸福な気分が続くのだから。
それが半年先でも、1年先でも、旅から戻ってくるまでの間、ずっと幸せな気分が続くなんて最高の贅沢だと思う。


軽井沢を抜けて、戸隠高原へ(3)

翌朝、朝ご飯を食べたあと、戸隠神社奥社を訪ねた。
ここはもう、晩秋を通り越して初冬だった。
ブナや樫などは落葉を終え、枯れ枝の向こうに青空が広がっている。
屏風のようにそそり立つ戸隠連峰から、ときどき強い風が吹き下ろしてくる。
子供の頃に覚えた「大寒、小寒、山から小僧が飛んで出た」という唄を思い出した。

朱い随神門を超えたあとは、杉並木を眺めながら奥へと進む。
2度目の来訪なので、きつい階段も楽さを感じる。



空がやたらに美しかった。

参拝を終えて、駐車場近くの茶屋で休んでいるとき、ちょっとしたつむじ風を見た。道路に散らかった唐松の枝を巻き上げ、茶屋の幟をなぎ倒すくらいの勢い。山に神がいるのかどうかは知らないが、秋の終わり、冬の到来を予感させる光景だった。

クルマを移動させて、うずら家で早めのランチを摂った。
リストに名前を載せるため、僕は5時台に宿を抜け出してうずら家に行った。まだ薄暗い明け方で、すでに自分がリスト5番目だったことがすごく悔しい。というか、誰だ、こんな朝っぱらから名前を書きに来たヤツは!?

蕎麦掻き

天ぷらの盛り合わせ

大権現盛りの蕎麦を彼氏とシェア。

定番のおいしさ。
ごま油でカラッと揚げられた天ぷらはクオリティ高い。
口の悪い客は、蕎麦の味は悪くなったが、天ぷらの味は良くなったと言うほど。


うずら家を出て、クルマを東京へ向ける。
中央道を経由して、羽田空港まで走って彼氏を送る。
羽田空港でハンバーガーを食べながら、とりとめのない話をした。
空港レストランの、別れと出会いが混じり合っているあの空気感はとても好きだ。

保安場の向こうへ彼氏が姿を消すまで手を振ってから、僕は家路につく。

軽井沢を抜けて、戸隠高原へ(2)

長野市内から戸隠高原までは1時間ほどのドライブ。
ループ橋を上り、だんだん山深くなる道をひたすら進んでゆく。

宿に着いたのは3時頃だったように思う。
晩秋午後の中社を訪れる人は少なくて、ややさみしい光景だった。


戸隠神社中社を参拝したあと、僕らは鏡池まで散歩した。
これが結構距離があってつらかった。
人気の少ない唐松林の森を30分近く歩いた。




ここは循環バスで行くべきところだったね。

夜は辻旅館に投宿。
皇室も利用する小綺麗な旅館だった。
手打ちそばが供されたり、料理をがんばっている印象。
地酒を飲んで、彼氏と四方山話で盛り上がる。




軽井沢を抜けて、戸隠高原へ(1)

これも去年の蔵出し写真。
2015年10月下旬の週末、彼氏と長野県内を旅した。

上信越道の横川SAで峠の釜飯を食べたあと、軽井沢で高速道路を降りた。
晩秋の軽井沢の空気はひんやりと冷たかった。

旧軽井沢のFrench Bakeryでコーヒーを飲んで身体を温めたあと、軽井沢ショー記念礼拝堂を見学して、しばし古の軽井沢に想いを馳せる。
白糸の滝を経由して、白糸ハイランドウェイ、鬼押ハイウェー、そこから万座ハイウェーを走破し、万座道路を経て長野市内に入った。唐松の枯れ枝がハラハラと雪のように降り注ぐ道路をひたすら走って行く、そんなドライブだった。

お昼過ぎに善光寺に到達した。
いつも通り、善光寺周辺は駐車場入庫待ちで渋滞。
途中でコインパーキングが空いたのでスルッとクルマを駐めた。
その場所は山門の手前で、初めてかな、山門を潜ってから本堂へ入ったのは。

真っ暗闇のお戒壇めぐりでは、後ろに続くおばさんに腹の肉をつままれて困惑しっぱなしだけど、闇の中で戸惑う彼氏の声はかわいらしかった。極楽のお錠前をガチャガチャ鳴らして地上に出ると、二人とも上気した顔つきだったことを覚えている。

山門に上がり、四国48カ所を模した仏像群に参拝したあと、眼下になだらかに広がる長野市内を僕らは眺めた。秋の午後、本当に穏やかな日差しに包まれた週末だった。

歩き疲れて、参道の茶屋であんみつを食べた。


BL漫画レビュー:倉橋トモ『いただきます、ごちそうさま』

書店のBLコーナーで一押しされていた倉橋トモ『いただきます、ごちそうさま』。
たしかに、このカバーで見つめられたら、つい手に取ってしまうよな。

彼氏もいないクリスマスの夜ーー
天使みたいな顔をした男の子に手を握られて
「天使だ…!」と言われる御年31歳の俺。
これはサンタさんがくれた贈り物でしょうか?

道で拾った19歳のイケメン・春をシェアハウスに連れ帰り、手料理を与えた弘人。
うっかり胃袋をつかんでしまったばかりに、若さゆえの勢いでキスを奪われ迫られる。
年甲斐もなくときめいてしまうけれど、弘人には想いを受け入れられない理由があって…

(゜Д゜) ハア??
クリスマスの夜に道ばたで年下イケメンを拾っただと?
夢見るのもいい加減にしなさいよっ!って言いたいところだが。

クリスマスが近づくと、彼氏は電話で「兄は夜更け過ぎにユキエに変わるだろう」の話を振ってくる。山下達郎のあの名曲は、よく考えるとかなり悲惨なんだが、このネタはいつも僕らを笑わせてくれる。



あら、死んだ山口美江がいるじゃないの。
タモさんわっかー!

さておき、クリスマスが近づくとゲイの出会い系アプリも「彼氏募集」「よかったら……」系のメッセージであふれかえる。それくらいクリスマスはアツイイベントだ。

そんな恋人達の夜に、お店を閉めて家路につく31歳のオッサンの元に、天使が舞い降りた。全米が泣いた、究極の愛の物語……てなわきゃないだろっと。美味いメシを作る男、年下の一途な美青年、出会った日の晩に「じゃあいま恋人は?俺にもチャンスあるってことでいい?」で、流されてキスしてしまう。




ここまで都合よくテンプレ進行でいいのか!?

いいんだよ、もう。
春がかわいい男の子で、弘人が乙女系オヤジで、毎日胃袋鷲づかみのオイシイ飯が出てくれば、それだけで成立するの、BLってヤツは。きれいな男の子が、おいしそうに食べているだけで、世の人は幸せになる。イケメンって大事やね。

1.絵柄
今風だ。おげれつたなかとか、その一派だね。

2.ストーリー
恋人のいない31歳の弘人は、お腹を空かして道に倒れていたイケメン19歳の春を拾う。ご飯を食べさせてやり、シェアハウスの1室に住まわせ、そして恋人関係になる。以上。

3.エロ度
19歳の溢れる性欲に溺れる31歳。いいねぇ~♪
ややマッチョな春くんはオイシイそうだ。

4.まとめ
安直と言えばこれ以上の安直はないほどの王道BL。これはまあキャラクター、特に春のかわいらしさが説得力のすべてと言っても良い。たまには良いんじゃないか、王道BL。ゲイに限らず男をつなぎ止めるには手料理が一番効果的ってことで。

絵柄 :★★★★☆
ストーリー:★☆☆☆☆
エロ度 :★★★☆☆
(あくまで個人的主観に基づく★の数です)

アートアクアリウムに行ったときのこと。

これも蔵出し写真。

「江戸のお人は、お金払ろうて金魚眺めるのかぇ? なんとも物好きなことよ」

なんて感じで行列を眺めていた2015年夏。
アートアクアリウムは大繁盛。
おばさま達が連れだって来ていたほかに、若いカップルも結構いた。

入場まで1時間待ちという長い長い行列を冷ややかに眺めていたんだが、会期の終わりに彼氏を誘って行ってみたら、これがなかなかアートだった。










なんか、いろいろ楽しいぞ!
日本酒好きの人は会場内で獺祭バーがあって、金魚を眺めながら冷酒を楽しめる趣向だった。

会場を後にした僕らは、ワインバルでグダグダに酔っ払っていたような気が……。
サラリーマンの町神田は、彼氏にとっては目新しかったらしい。