はやぶさ グランクラス 2015年ねぶためぐり

最終日8月5日。
五所川原から新青森への移動は、鉄道から路線バスに切り替えた。
川部での乗り換えがめんどくさかったのと、津軽平野を走って行くバスはなんかイイ感じじゃないかと思ったからだ。どこから見ても田舎のバス待合所といった風情の建物が駅前にあった。このご時世にエアコンなしの窓開けっ放し。暑くて仕方ないので、津軽鉄道の駅舎を眺めに行ったりで時間を潰した。



金魚ねぶたには、いつでも愛を感じるなあと。

 定刻に現れたのは、本当の路線バス。後のドアから乗って、前のドアで精算するアレだ。観光バススタイルの車体が来ると勝手に思っていたから、度肝を抜かれた。エアコンはついているので文句は言わない。バスは1時間ほど走って新青森駅に到着した。

旅の締めくくりに、はやぶさグランクラスを予約しておいた。
どんな体験が待っているのだろう。

プラットフォームに上がると、はやぶさが2編成停車していた。
このロングノーズの先には青函トンネルがあり、そして北海道へ続いている。
透明感のある真っ青な空が、なんか愛おしかった。




グランクラスには専任の客室乗務員がいて、ドアの前でチケットの確認を行っている。ちょっと車内を撮影したいとかいうリクエストはできないようだ。



車内は2-1のシート配列。
ゆったりとした感じは、国際線飛行機のビジネスクラス位のクオリティだと思う。
座席の肘掛けに飲食メニューが刺さっている。

定刻通り出発すると、客室乗務員が食事のチョイスを尋ねてくる。
和軽食か、洋軽食のいずれか一つ。いずれかと書かれているのは、両方食ったヤツがいたからだろう。

飲み物はビール、ワイン(赤・白)、日本酒、シードル、コーヒー、緑茶、ハーブティ、アップルジュース、ダイエットコーラ、黒烏龍茶、ミネラルウォーター。

おつまみと茶菓子が供される。

僕は和軽食とシードルを頼んだ。




彩りの美しいお弁当で、味付けも上品。
そのあと、ワインは小ボトルで提供され、赤・白両方を飲んでほろ酔い加減。
八戸を過ぎる頃にはウトウト眠ってしまった。

盛岡駅でははやぶさと秋田新幹線こまちの連結作業を見学。
なにせ10号車なので、ドアを出たすぐそこで作業が行われる。
1号車の人が息を切らせて到着する頃には、こまちがスルスルと近づいてきてガッチャンコ。すぐに出発する。




グランクラスはワゴン販売が来ない。
仙台を過ぎた先で、アイスクリームが食べたくなったので、客室乗務員に買ってきてもらう。烏龍茶とアイスを完食したら、強烈に眠気が襲ってきて、そのまま大宮までぐっすり眠った。ねぶた祭りで疲れがたまっていたのだろうが、グランクラスの快適さは癖になりそうだ。JRのねぶた祭りツアーだと往路に設定されるグランクラスだが、絶対に復路の方がいいと思う。疲れの取れ方が全然ちがう。チャンスがあったらまた乗車したい。

今年、彼氏を連れて人生最後のねぶた祭りを見に行く。
とりあえずホテルの予約は取れた。
条件の良いホテルを探し続けるが、一応会場から歩いて数分の場所だから文句はないだろう。彼氏が喜んでくれると良いな……それが僕の願いだ。

立佞武多 2015年ねぶためぐり

立ちねぷたの初日は地元の英雄吉幾三が景気づけに「たちねぷた」を熱唱。
(イメージということで。お借りした映像です)




「よしさーん!!!」とおばちゃん達が叫んでいるんで、本当に地元の英雄らしい。
吉幾三が移動したところで、お祭り開始。




「ヤッテマーレ、ヤッテマーレ!」というかけ声は軽妙だ。








道もそれほど広くないから、跳人と観客の距離が近くていい感じだ。
弘前ねぶたにも通じる、地元の祭りという素朴さがいい。

巨大立ちねぷたは沿道のどこからでも眺められる。
有料桟敷席は買わなくても良いのかもしれない。






近年立ちねぷたの人気がうなぎ登りだと聞いた。この素朴さは良いなあと感じたが、僕は圧倒的に青森ねぶたが好きなことを思い知った。それは多分、僕が青森ねぶたの跳人たちから零れ出す鈴の音が街に溢れている空間が好きだからだ。より祝祭的な青森ねぶたが好き…これは単に好みの問題だ。

ホテルに戻ってシャワーを浴びた。
かんかん照りの夏の午後、日焼け止めも塗らずに外にいたので、炎症を起こした肌がぴりぴりした。ホテルの前にはバスの車内でラーメンを食わせる地元名物「くどうラーメン」がのれんを出していた。食べに行ってみたかったが、精根尽き果ててベッドに潜り込んだ。

立佞武多の館 2015年ねぶためぐり

サンルートパティオ五所川原は無料で自転車を貸してくれた。
自転車に乗るのは久しぶりだったけど、子供の頃に覚えた操縦技術はすぐに僕を好きなところへ連れて行ってくれた。駅前で食べるところを見つけられず、結局ショッピングモールまで走ってしまい、鎌倉スパゲッティなんてご当地と無関係なランチを摂ってしまったのは失敗だった。

その後あらためて立佞武多の館を訪問。
あいかわらず「クオリティがハンパねぇっ!」と感動させられた。

立佞武多の館の中の様子は、こちらの記事を読んで欲しい。
https://blackarmor.blogspot.jp/2013/09/2013-10.html

今回はたちねぷたが外に引き出されるところを見ようと、僕は立佞武多の館の前に座った。近くでパイプイスをレンタルしているので借りた。アスファルトが焼けているのでレジャーシートなどに座るのは日中はキツイと思う。ペットボトル1本の水をちびちび飲みながら、2時間待った。

ガラス張りの壁がスルスルと移動を始めると、沿道から歓声があがる。
まずは中型サイズと、またお前らかっラブライブ!!




そしてフルサイズ3体の大型立ちねぷたが登場。
沿道のどよめきがハンパない。
すげー、でけぇ!、クオリティハンパねー!!



大型ねぷた3台は、そろりそろりと祭り開始の所定位置へ向かって移動していった。僕が立ち去ろうと準備を始めると周囲の人に驚かれた。こんな良い場所なのに。いや、駅前に有料桟敷を買ってしまっているのです。と言い残し、レンタルしたイスを返却して僕は駅前に向かう。

途中には様々な屋台が並んでいる。
牛串焼き、スペシャルおにぎり、ビールを買って、桟敷席に座る。
もぐもぐとおにぎりを食べていると、立ちねぷた達が所定の位置にセッティングされた。




町のパースがなんだか変だ。(苦笑

五所川原へ行く 2015年ねぶためぐり

8月4日は五所川原へ移動する日。
かつてクルマで五所川原の「立佞武多の館」へ行ったことがあった。
青森ねぶたの臨時駐車場から市内に向かうタクシーの中で「あれはスゴイもんだ」と運転手に薦められたので、弘前から日帰りで行った。

今回は青森駅からローカル線に乗って川部で乗り換え、そこから五所川原へ向かう。
田園風景の中をゴトゴトと走るローカル線に揺られていると、すぐに眠りに落ちた。川部の乗り換えは、青森発の列車の到着が遅れたこともあって、隣ホームまでダッシュするハメになった。

川部を出発してしばらく走ると、風景はりんご畑でいっぱいになった。
林崎駅はりんご畑の中に停車したような感じだった。
コトコトと車両の揺れに身を任せて、車窓を眺めているうちに五所川原駅に着いた。



遠くに来たなあと思った。
駅の看板に「陸奥」という言葉を見つけて、さらに遠くに来たなあと思わずにはいられない。

五所川原の駅前は、アスファルトから夏の暑さが立ち上ってきて、クラクラするほどの熱気だった。初めて青森に来たときは、こんなに暑くはなかった。あとで教えてもらったんだが、この時の青森は記録的な暑さで、皆がぐったりの状態だったのだとか。

駅舎の横に、さっそく立ちねぶたが置かれている。
これは最大級の高さを持つ立ちねぷたではないけれど、それでも青森ねぶたの二倍くらいの高さはある。


五所川原ではサンルートパティオ五所川原に空きを見つけて宿泊する。駅前にもサンルートホテルはあるのだが、そこから離れた少し不思議な場所にある。なぜこんな中途半端な場所にホテルを建てたのだろう。地図で見た感じでは歩けそうな距離だったので歩いてみた。失敗だった。全身汗まみれになってチェックインするハメになった。サンルートパティオ五所川原へはタクシーを使った方がいい。

ねぶた祭りのイケメンたち 2015年ねぶためぐり

お祭りといえば、ヤンキー系のイケメンたちが現れる。
それを眺めるのも楽しみの一つなんだが、みたま祭りとかと異なって、青森の人たちはみんなまじめそうなんだ。いや、それは全然正しいのだけど、僕としてはちょっと残念。

そんな中でも、陸上自衛隊さん、いつも全力投球。かっこいい!

あと、過去3回とも目撃してる、茶髪?金髪イケメン。
「らっせらー、らっせらー」と観客を煽って、場を盛り上げる。
今年も現れるかな?といつも楽しみにしている人なのだ。



ねぶた祭りも終わって、ライトアップされたアスパムを眺める。
まだねぶた囃子の音が遠くから響いてきていて、なんだかもの悲しい気分になる。



この三味線デュオは、すごくモダンな演奏をする。
前回ねぶた祭りを見に来たときも、ワラッセの前で演奏していたことを覚えている。
伝統的とはだいぶずれちゃってる(そうでなかったらゴメン。謝ります)にちがいないが、とにかく楽しい手で、いつまでも聴いていたくなる人たちだ。

ホテルに戻ってベッドに横になる。
祭りの興奮が冷めやらない人たちの歓声が遠くから聞こえてくる。
こんな夜は、幸せな気分に浸って眠ることができる。

ねぶた大回転 2015年ねぶためぐり

2015年のねぶた祭りも有料桟敷席の争奪戦に参加して、今回は見事に勝ち取った。
市役所前イス席最前列。


初めてのねぶた祭りは市役所前の大桟敷だった。
当時は桟敷席を取ることがどれだけ大変なことか理解しておらず、チケット発売日の夕方に購入したら、まともな場所は大桟敷くらいしかなかったのだ。まあ、ちょっと高い場所からねぶたを見下ろすのは悪い経験ではなかった。

そして二度目のねぶた祭りは、前から3列目。悪くはないが、他人の頭は邪魔くさい。

三度目の正直は最前列。
迫力は違うし、他人の頭は気にならないし、跳人から鈴をもらえるわで、良いことずくめ。ねぶた祭り開始二日間は子供ねぶた・町内会ねぶたが参加する。小型ねぶたなので迫力はないのだが、跳人姿の小学校低学年くらいの子が「はい」「あげる」と鈴を配ってくれたりして、めちゃめちゃ楽しかった。鈴は手渡しでくれるときもあるし、跳人が客席に向かって投げることもある。

大回転と正面鎮座。





ねぶた囃子の人たち



ふたたび大回転




最前列の迫力は最高だ。
今回、隣のブロックにどこかの老人ホームの一行がいて、そこのヘルパーが「こっちこっち!」とねぶたを呼ぶ。まあ、ねぶたもお年寄りにはサービスするよなあ。ってことで結構な割合が隣のブロックに止まってくれちゃったのでやや残念。

絶対に楽しいねぶた小屋 2015年ねぶためぐり

ふたたび散歩に出る。
A-FACTORYで地元物産を冷やかしたあと、海を眺めながらねぶた小屋まで歩く。
このプロムナードは気持ちの良い場所で、陸奥湾からそよ風が吹き込んで来ると肌寒さを感じるほど。跳人姿の高校生の姿がちらほら目につくようになる。彼らの身体から涼やかな鈴の音が零れてくる。この鈴の音が通りに溢れるようになると、祭りの時間だ。



アスパムの裏側にねぶた小屋が軒を連ねている。
夜のねぶたは動きを楽しむモノだとしたら、昼間のねぶたは造形を楽しむ機会だ。
「このクオリティ、マジでパネーっす」て言いたくなるような、造形の細かさは眺めていて本当に楽しい。ねぶた師も、見学者もみんな和気藹々としてる。ねぶた師が愛情を込めて造り上げたねぶたから流れ出してくる情熱と、それに対する見物人からの惜しみない賞賛が解け合って、気持ちの良い空気が流れている。










祭り開始の1時間ほど前に、ねぶた小屋からそれぞれの配置に向かって出陣する。


八甲田丸を見に行く 2015年ねぶためぐり

2015年8月3日の朝。
青森市のメインストリートである新町通りは静まりかえっている。
僕はお土産屋さんを冷やかして、さんざん迷って津軽錦をかたどった金魚ねぶたを二つ買った。この造形はとても愛らしく、そして情緒がある。わりといい値段。


午前中はドトールでコーヒーを飲みながらグダグダしていた。青森県立美術館も三の丸遺跡も行ってしまったし、かといって恐山は遠すぎる。行く場所ないなー(ってか弘前行けよ!)と逡巡していて、手近に八甲田丸があったことを思い出した。外側の写真はさんざん撮っていたが、中を見たことなかったなと。

で、駅前を通過して、スターウォーズねぶたをちょい眺めて八甲田丸へ到着。





中がどうなっているかというと、昭和、青森を再現した「青函ワールド」というジオラマがあって、これがなかなか味がある。小学生とかはトラウマになっちゃうかもしれないが、この時代を知っている人にはたまらない懐かしさだろう。




操舵室も見学できる。



そして当時鉄道車両を格納していたエリアも見学可能。




推進システムはディーゼルで、いまも船内はディーゼルスメルがする。石炭の釜を焚いていたタイタニックのようなボイラー室はないんだなあと苦笑した。

砂に描かれた「ねぶた」。
誰の仕事だろう?


お昼ご飯は煮干しラーメンで有名らしい「長尾」という店に行った。
煮干しラーメンは青森の郷土料理の一つらしい。
スープを啜ると濃厚な煮干しの香りがする。
美味いんだが、スープが濃厚なラーメン共通の弱点は、途中で飽きること。