LGBTが就職難と聞いた件

腰と左下肢の痛みで悲鳴を上げていた大阪の夜。
ベッドに転がってTVをつけていたらNHKバリパラとやらで「LGBTの就労」というテーマを流していた。再放送らしい。

その中で「スカート履くのが苦痛だった」と嘘をつかずにエントリーシートでカミングアウトして30社落ち続けている方が紹介されていた。で、番組レギュラーの捉え方は「ここまで落ちると(LGBTが原因だと)本人は疑ってしまうよね。最後にちょっと喋ったけど、やっぱり国がちゃんとこの問題を捉えられていない。障害者雇用の範疇ではないし。けれど●●さんみたいに就職できない状況がある。国の政策として、なんらかの支援を考えていかないといけないと思う」なんだとか。

人権屋系NPO関係者がコメントしていたりしたけれど、なんて言うか、イデオロギーな発言だなあとやや引き気味で、僕は眺めていたんだけど。

LGBTが居場所を求める切実な気持ちは分かります。

だけど「ありのままの自分をさらけ出したい」という欲、それをさらけ出すのは結構だけど、ありのままの自分をさらけ出して自分らしく生きたいと望むならば、他人が作って運用しているルールの世界、あるいは他人の営みを自分の欲で壊しちゃいけないと僕は思う。「こういう自分を受け入れろ」と他人に要求して受け入れられるのが当たり前だと考えているならば、それはとんでもないエゴだと知った方がいい。

人権屋系のコメントは、なんて言うか自分たちにとっては正論なのかもしれないが、相手の都合はあんまり考えていないというか、身勝手じゃないかと感じることが多い。

悪意はないつもりで例に出してしまうが、この人が「スカートが好きなありのままの私をなぜ会社は受け入れてくれないのですか?希望職種は受付嬢です!」とかアピられたら、シャレの分かるオーナー企業ならともかく、大手町や丸の内界隈の会社としたらどん引きだろう。差別とか言われても困る。アナタの生き様を否定はしませんが、うちの会社に居場所はありませんと告げられてお終いだ。


てか、なぜ誰も「就活は自分を売り込む商談である」と言ってあげないのだろう。以前、優秀な大学に在籍しているのに面接落ちまくってる学生と会ったことがある。彼の悩みを30分ほど聞いて、僕が言ったのは「漠然と国際貢献したいなら、国連機関かNGOを目指したらイイと思うよ」だった。民間企業が求めてるのは人物像はそこじゃねーだろって。モノ作りなどを通じて国際貢献したいというなら、それはアリだと思う。コンサルティングファームで世界を変えて行くという道もあるだろう。だけどなにがしかの正義に取り憑かれて国際貢献をしたいと望んでいるならば、運動家にでもなるしかあるまい、と。その彼は自己PRを変更して、上場企業からいくつも内定を獲った。僕の手柄とは思わないが。

エントリーシートに「スカート履くのが苦痛だった」と書く子だったら、就活なんかしていないでまずカウンセリングへ行ったら?と僕だったらそう思う。採用担当者は人生相談の相手ではないのだから、そのアプローチは下策だろう。
また、エントリーシートにそういう事項を正直に書くことを礼賛する大人に対しては、ちょっと怪しんだ方がいい。採用側としたら一緒に仕事が出来る人、周囲の人と協働出来る人を求めているのであって、きわめて個人的なLGBTという立場をアピってこられても正直当惑するしかない。企業はLGBTを採用したいのではなくて、一緒に仕事を出来る人を探しているのだから。自分を受け入れてくれる場所探しと考える以外に、自分も相手の立場を受け入れなきゃ、ね。

コメンテーターたちは、LGBTを前面に出して仕事をしたいのならば、アパレル、小売り、コスメ、デザイン業など、もともとLGBTと親和性の高い業種で仕事を探すように勧めた方が建設的だと思う。才能を活かした自営業、各種フリーの職業……タレント業なども含めてね。
もしNHKがLGBTだから就職難が発生しているのだと考えているのだとしたら、むしろそれはミスリードの原因じゃないかと思う。覆面座談会でもいいから採用面接とはなんなのか、就活とはなんなのかを人事部目線で教えてあげたらLGBTに限らず役立つだろう。

その一方で、会社内でのLGBTへの当てこすり、差別はやめようという活動はまた別の話。これは広義のセクハラ・パワハラ問題であって、仕事とは関係ない下品なハラスメントはコンプライアンス問題として処理すべき。

でもね、まだ会社・組織の一員になっていない者がLGBT差別云々を語るのは気が早すぎる。世の中に完璧な場所なんてないのだから、周囲と折り合いをつけながら仕事をして自分の居場所を作って行くか、あるいは独立起業して自分で居場所を作るかのどちらかしかないんだよ。

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