大阪にて(4)

最終日、大阪はやっぱり良く晴れていて、乾いた冬の空気が好もしかった。
朝ご飯をカフェで済まし、チェックアウトした。

11時に梅田で彼氏と待ち合わせしてある。
プレゼントを買うために大丸と阪急を廻ってみたが、これなら似合うだろうなってものを見つけられずに時間切れ。待ち合わせの阪神改札口へ向かった。

大阪名物の「みっくちゅジュース」を初体験。
甘い果実なミルクな複雑な味に当惑しているところに彼氏到着。

(これは一口飲んでしまったあと)

調子の悪い僕を気遣ってくれて彼氏は心配そうな顔をしているけれど、僕の方は彼氏の姿を見つけてからうれしくて仕方ない。彼氏がキャリーバッグを持ってくれたりして、ちょっと移動した先のイタリアンレストランでランチする。大人なんで昼間から白ワインを飲む。彼氏の髪や頬を撫でたりキスしたいんだけど、昼間だし、外だし……ニューヨークだったりしたら外チューとかやるんだけどなあとかぼんやりと考えていた。


で、場所を移してグランヴィア大阪のラウンジでおやつ。
TVの話しとか、ほんとうにとりとめのないバカ話ばかり。でも彼氏といると本当に楽しい。それは話のおもしろい他人とかとはまったく別物で、なにかピタッと納まるべきものが納まっているかのようで、正しいことが正しく行われているような心地良さだ。


15時に見送られて彼氏と別れた。

プラットフォームの反対側には、鹿児島から来た「さくら」が入線する。
すごいなあ、鹿児島まで行けるのか!夢が膨らみまくりだ。



身体を気遣ってグリーン車で帰る。

お腹いっぱいなので車内持ち込みもなくて、車窓を眺め、時々眠りに落ちた。
窓の外が闇に染まる直前に、僕は有名な新幹線の書き込みを思い出した。

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「新幹線は、時計より正確だと聞いています」

1975年5/12、名古屋駅から御乗車の直前、英国エリザベス女王からこのようなお言葉を頂きました。
ところがその日は大雨。
既に上り新幹線が名古屋に到着する時点で2分の遅れが出ていました。
更に女王陛下の172個のお荷物を積み込むのに時間がかかり、名古屋駅を3分遅れで発車となりました。
更に更に、浜名湖付近で徐行し遅れは4分に。
また、女王陛下に富士山をご覧頂く為にスピードダウン。
三島通過までには一分の遅れを回復しましたが、残り120.7キロで3分を取り戻す事は不可能だと全社員が思っていました。(当時の新幹線は最高時即210キロでATCが作動し、自動的に減速されるシステムになっていました)
そこで運転士は「制御がかかるギリギリ手前の“時速209キロ”で走る」事を伝えます。
了承したものの指令室や東京駅には「定時到着」に諦めムードが漂っていました。
しかし、この時運転士だけは「女王陛下のお言葉を違えぬ為に」と、自分の腕を信じて209キロで走らせ続けました。

『品川、定時に通過!!』

その一声に、沈んでいた指令室も東京駅も驚愕と大歓喜に沸き返りました。

13時56分定刻、女王陛下を乗せた新幹線は、まるで何事もなかったように悠々とホームに入っていきました。

「女王陛下と新幹線」から
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