フランス旅行記(2015年) ポン・デュ・ガール(Pont du Gard)

ibisでは朝食を頼まなかった僕らは、ふたたび城壁の中の、法王庁へと続く通りを歩く。この時期の南仏は異様な暑さで、日中ふらふらと歩き回っているとすぐに服の中がドロドロになるほど汗をかいた。外気温39℃の表示を見た時は頭がクラクラしたっけ。

祭りの明けたアヴィニョン中央駅は、気の抜けた炭酸水のような穏やかさだった。抜けるような夏の青空と、ひんやりとした空気が流れる旧市街地で、僕らはオープンカフェで朝食を摂る。オレンジジュースとエスプレッソ、そしてサクサクと歯触りの良いクロワッサン。目の前はバス、清掃車が忙しく走り回り、老女がバゲットを買いに小型車を止めたり、完全な日常風景が広がる。爽やかな風を楽しみながらおしゃべりに興じていた僕らも、日が高くなり、汗ばむ前にアヴィニョンを去ることを決めた。





アヴィニョンからリヨンへ向かう途中に、いくつか寄り道をするプランを考えていた。一方で、彼氏がグルメの街リヨンに期待するところもあって、あまり時間はとれない。オランジュのローマ劇場訪問プランは放棄し、ポン・デュ・ガールへ向かうことに決めた。

車をサン=ミッシェル通りに乗りだし、ローヌ川に架かる大きな橋を越えて、僕らはアヴィニョンを離れる。カーナビの指示に従いひたすらN100号線を西進する。ガルドン川を超え、美しいプラタナスの並木道を潜った先に、ポン・デュ・ガールがある。

車から降りると、夏の朝の、これから気温が上がるぞと予告しているような強い日差しを感じる。蝉の声が夕立のように降ってくる。公園の中を歩いて行く。こぢんまりとしたミュージアムショップの前を通過すると河原に出る。そして、その先にポン・デュ・ガールがそびえている。







日中は子供たちの歓声でいっぱいになるのだろうなと予感させる河原は、まだ静かだった。夏の川遊びなんて絶対に楽しいに決まっている。その緑溢れる風景の中に、ふわっと巨大な構造物が現れた。3層構造の水道橋は歩いて渡ることもできる。最上部は水を渡すための導水路が切ってあった。眺めているだけでローマ人の偉大さがわかる。

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