BL漫画レビュー:あずみ京平『うちにおいでよ』

昔「部屋においでよ」っていう同名タイトル作品があったことを思い出した。
前世紀の終わり頃の話だよ。

疲れ果てるまでセックスをしないと眠れない奈月は、後腐れのない相手を選んでは快楽を貪っていた。
ある日、マンションの前で雨に降られていたワケありそうなイケメンを拾い、とある条件を約束に家に住まわせることになり‐。


つうか、セックス依存症のヤツが「とある条件」もなにもねぇーだろ! ( ゚Д゚)ゴルァ!!

ぶっちゃけて言ってしまうと、マンションの入り口で家出少年を拾いました。
少年は高校生で、巨根の持ち主でした。
セックスの覚えが早く、体力も十分だったので奈月を毎晩満足させていました。

でも巨根にもかかわらず、料理家事全般をこなせる心優しい、頭の良い少年でした。
やがてセックス抜きで少年を好きになってしまう奈月でした。
以上。

お、おう……これが腐女子理想の「弟」像なんだろうか!?
と考え込んでしまう良スペックの康成くんなのであった。

康成と出会う前の奈月は、ビッチの鏡のような性生活。
関係の終わった相手とは、スマホの連絡先を消してしまえば即バイバイ。
遊んでいる時期は、こういうドライな関係って便利だよ。


そんなビッチ(本当は違うのだけど)が、巨根純情くんに懐かれて、セックス依存症の生活から徐々に回復して行くというストーリー。巨根フレーズがリフレインしているけれど、「奥に当たってすげえイイ……っ」という身体の関係から始まるから仕方ない。
それからセックス依存症の人って、別にセックスを楽しんでいるわけじゃないんだよな。むしろセックスがないと苦しくて、そしてどうでもイイヤツとセックスしたあとしばしば自己嫌悪にはまったりするわけで。人肌の心地よさは全力で同意するところだが。


まあかわいらしい話ではあると思うのだけど、やや物足りなくも思う。
以前だったら男性同士で恋愛するということ自体が反社会的で、ハードルの高いものだった。いまは「まあ、別に……」程度にクールダウンして来つつあるわけで、男性同性愛自体はすでにロマンスではないのだよね。

以前の記事でホモマンガとBLマンガの違いを僕なりに記述してみた。そのあと、腐女子が「ロマンがあるのがBL、ロマンがないのがホモマンガ」と言っているという話を聞いて、なるほどなあと感心したのだよ。それはセックスの描写があるとかないとか、田亀センセイ作品のように登場人物が毛むくじゃらマッチョであるかないか、ではなくて、ロマンスの濃度だったのね……って、やっぱりそこら辺は少女マンガへの接し方と変わらないのだね。

そして、さらに「ココチン」というすばらしい単語があることを知った。初遭遇した時は目を疑ったけどな。使い方は「ココチンがシコいわ~」「ココチンが勃っちゃう~!」とかだとか。ココチン=心のチンコで、一部腐女子に装着されているらしい。従来の性欲表現が「濡れる」が「シコっちゃう」に進化した腐女子感覚は、後世、学術的に分析されることになるんだろう。で、「うちにおいでよ」はシコい作品なんだろうか??

1.絵柄
同人誌っぽいな。
それからアニメっぽい絵柄で、こういう感じも主流の一つ。

2.ストーリー
すでに書いたとおり。年下男子に心も体も癒やされたい。
その他たぶん幼馴染みの高校生カップル編もイイ感じ。

3.エロ度
でっかいアレが、限界まで押し広げているようなので、読者は中級クラス以上向けかも。

4.まとめ
よくありがちなテーマを、ライトに調理したらこんな感じかと。
高校生とカーデ(あるいはサマーセーター)は最高の取り合わせ……だと思う。

絵柄 :★★★☆☆
ストーリー:★★★☆☆
エロ度 :★★★☆☆
(あくまで個人的主観に基づく★の数です)

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