シンガポールスリング (タイ・シンガポール旅行記)

ラッフルズホテルの2階にある"Long Bar"は、薄暗く、気怠い雰囲気を漂わせていた。新嘉坡の周囲から圧迫されるような暑さから逃れて、僕たちは"Long Bar"の扉を開いた。滑りやすい、細かなタイルが貼られた床の上を歩く。たぶん、ステイ客は奥の方に、僕らのようなビジターは入り口近くの席に通される。

テーブルの上に、殻ごと炒ったピーナッツを盛った箱が置かれていた。僕らは名物のシンガポールスリングを注文してから、ピーナッツに手を伸ばした。殻を捨てる皿は置かれていない。ここではピーナッツの殻を床にそのまま投げ捨てるのが流儀。僕らもコロニアル時代からの風習にならって、さんざんピーナッツの殻を床に散らかすことになった。

シンガポールスリングは甘めのカクテル。
一口、二口口に含むと、身体から汗が引いてゆくような気がした。
彼氏共々それぞれ二杯ずつ飲むことになった。

僕らがカクテルを楽しんでいる間も、店内の写真だけ撮って去って行く観光客が続く。ラッフルズホテルはとてもすてきな場所なのだが、僕らも含めビジターが多すぎる。高級ホテルはもっとexclusiveな空間にした方が良いのではないだろうか。

天井には物憂げに空気をかき回している団扇が並んでいる。
たまに翼を持つお客さんも入店するらしい。








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