帰国して、オフィス勤務に戻ったけれど、深夜仕事があった翌日彼氏と遊んでいたり、週末は父親の慰安でクルマを走らせたりしているうちに疲れが溜まっていたんだろうと思う。
5月22日、軽井沢へ日帰り出張に出かけた。
はくたか553号の出発を待つ間、上野のカフェで密かに「疲れたな」と感じてはいた。
往復の新幹線内でゼルダして遊んだり、新緑を眺めながらふわふわのオムライスをご馳走になったりして喜んでいたんだけどね。
午後になってくしゃみを連発するようになって。
春の遅い長野県だから、今頃花粉症が出たのかな?とか考えていたのだけれど、帰宅して寝込んだ。
39℃近くの熱を出して二日休んだあと、へろへろな状態で一週間を終えて。
翌週5月30日から最後の茅野シリーズに来た。
3月以来何回か訪れたこの町を、僕はだんだん好きになり始めていた。
初日は僕ひとりで仕事に入った。
スーパーあずさ1号を降りると、都会とは違う澄んだ空気に包まれてうれしくなる。
打ち合わせして、ホテルに戻って荷物を置き、一人晩御飯を求めて彷徨う。
ひとりだと居酒屋も敷居が高くてね。
ドリンクメニューに「プロテイン」がある不思議な蕎麦屋に入って、唐揚げをつまみに生ビールを飲む。
葉ワサビを添えた蕎麦を食べ、ホテルに戻る。
この駅の周りには僕が楽しめるような「夜の遊び場」はなくて、部屋の中から家猫のように窓の外を眺めていた。
1時間に上り下り合わせて6本ほどの電車が走ってゆき、その度に踏切の鐘が鳴る。
早い時間から人影はほとんど見えなくなって、時々クルマが走ってゆくだけの静かな場所だった。
朝ごはんは駅そばを食べていたなー。
コンビニ飯は飽きてしまい、かといって朝から営業しているカフェも見つからず。
駅構内のデジタルサイネージから「年金、年金、JAバンクで年金だ〜」っていう呑気なCMを何回聞いたことか。
今回は信州鹿肉蕎麦というものを食べてみた。
まあまあかな。
でもまー、朝蕎麦はもっとシンプルで軽めのやつにすべきだったかな。
駅そばを食べ終えて、少し散歩して、地元っぽいものを探したりして。
「登山計画書を提出しなさい」とか信州っぽいなあと思ったり。
ちょうど彼氏が仕事で来日していたから、駅前のベンチに座って長電話した。
彼氏はいつも元気だ。
電話が終わったら準備して仕事に向かう。
二日目からは同僚が1人加わって、ふたりで作業進行。
仕事が終えたあとは庄屋で盛り上がって。
ふたりともおっさんだからさ、自分の過去の良かったこと、辛かったこと、失敗談で2時間以上盛り上がる。
ワカモノみたいに流行りの音楽や映画、芸能ネタで盛り上がるんわけじゃないけれど、20年とかのタームで話ができるおっさんも悪くないかなって最近思う。
それはさ、「自分自身」で経験して来たことで、噂話でも、どっかの本に書いてある情報ではなくて。
ふたりとも業界が最高に盛り上がった時期を経験していたので、その空気感を思い出して懐かしくて仕方なかった。
三日目は日帰りでさらにひとり合流。
仕事のトラブルでランチを逃してしまい、早めの晩飯でハルピンラーメンを堪能。
そして最終日。
仕事自体は午前中で終わって、茅野駅までクルマで送ってもらうことになった。
正直なところ、この方の運転が荒っぽくて、僕は乗り物酔いに罹った。
あと5km走り続けていたら、絶対吐いていたと思う。
30分後にスーパーあずさがあったので、それで帰れば良かったのだけれど。
気持ち悪い上にお腹まで痛くなって来たので、駅で同僚と別れ、前から気になっていたカフェに入った。
この町に来てからまともな洋食に出会うことがなくて、このカフェだけに期待していたのだけれど、あいにく定休日だったり、営業時間外だったり、ちょっとお値段の張る店に同行者たちを誘いにくかったりで、縁がなかったのだ。
ビーフシチューハンバーグとアイスティを頼んだ。
うん、想像通りおいしい。
窓の外は鮮やかな新緑と透明度の高い日差しがあふれていて、屋内の暗さと美しいコントラストをなしていた。
90分かけてゆっくりと悪心を退治し、僕も帰京する。
普段とは違う、まだ陽の高いうちに帰宅することはなぜか新鮮な気分。
電車の車内から見る風景も、普段とは違う発見が続いた。
普段は気に留めていない建物、緑地帯の鮮やかさ、意外な近さを感じた隣町とか。
高地から戻ってくると、地上の風景も少し異なって見えるものなのか。
最寄駅からRIMOWAを引っ張って歩く。
家の近くの公園に続く道で、5、6歳の男の子に出会う。
ガラガラと音を立てるRIMOWAを引っ張るおっさんが怖かったのか、小走りで走ってゆく。
背中全部どころか、腿の半分も隠すほどの大きなバックパックを揺らしながら。
本人は走って逃げてるつもりなのかもしれないけれど、途中でスキップしてしまったり。
パステルカラーの揺れるバックを眺めながら僕は、世界は美しいなあと、本当に美しいなあと幸せな気分になった。
5月はそんな日々だった。
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