雨宮かよう『蜜より甘い毒でお前を支配する』:BL漫画レビュー

んー、なんか小学館Cheese!に掲載されているみたいなタイトルだな。

親の再婚でできた義弟・泰雅に恋してしまった涼。
その想いを彼に見抜かれてしまった涼は泰雅から強引にくちびるを奪われ、甘美な愉悦で官能を煽られ支配されていく。
彼の与える快感に抗えず、咬みつかれ、貪られて堕ちていく涼は……。

雨宮かよう×鳥谷しず、大注目のエロコンビ登場!

んー、もうちょっとあらすじをフォローしよう。

主人公桐原涼(きりはらりょう)は警察庁刑事課企画室に勤務する警視。
父親の再婚相手の連れ子、泰雅(たいが)は憲法学を専攻する大学院生で有名モデル。
しかも、同僚の警視庁捜査一課勤務の来栖の家が経営するモデル事務所に所属している。





涼は泰雅に一目惚れ。
しかし、義弟に恋する気持ちを抱えたまま、悶々と生きている。
で、父親が泰雅の見合いの話を持ってきて、ベッドの中で涼は泣く。。。

はぁ……冒頭の設定を読んだ途端、脱力。
なに、この意味不明な設定は……。

で、セックス。

涼が仕組まれた見合いの席の帰り、女性と二人で歩いている姿を見かけて泰雅激怒。


で、帰宅して制服コスプレセックス。

誤解が解けた後日、裸エプロンでセックス。

パパラッチに取られた写真を来栖にもみ消してもらい、パール産卵セックス。

両親にカミングアウトしてセックス。




んー、なんていうか、セックスだけ描きたかったら、薄い本でやっていればいいと思うんだよ。
むかーし栗本薫が言っていたと思うのだけど、やっぱり読者を引き込むためにリアリティは必要なの。
リアリティが無いのならば、あとは超絶技巧の筆力で読者を引っ張り込むか、狂気迸るような異常な設定でガンガン押してくるか、とにかく高度なテクニックが必要なわけ。

『蜜より甘い毒でお前を支配する』はさ、警察設定でありながらほとんどその設定を活かしていないし、泰雅が有名モデルという設定にもかかわらずモデル・芸能業界への広がりもない。結局、涼は三十前の童貞処女の奥手な公務員であり、泰雅は「イケメンである」からモデルをやってるという、なんてかほとんど後付けの理由。だから弱いんだ。ページを先に進めたいという気が起こらない。たとえエロい細マッチョな美形二人がセックスしていたとしても。

エロ描きたいだけなら、家族の設定とか取っぱずして、ひたすらギシアンさせていた方が潔いと思う。とにかく中途半端というか、物語として雑だ。

1.絵柄
わりとBLらしい絵柄だなあと思う。
脱げは二人とも細マッチョだし、とても肉感のある絵柄。

2.ストーリー
「やおい」の典型みたいな作品。
一応原作付きなんだろ?原作付きでこれはないわぁ……というか、原作あるって言えるのか!?

3.エロ度
蕩ける孔の持ち主涼、ウケが後ずさるほどの巨根の持ち主泰雅。
筋肉質な二人が絡み合って、精液撒き散らして……やってることはエロいんだけど、なんかエロくない。
軽自動車のペタ踏み状態というか、要はパワーが足らないの。
描画は確かにエロいよ。だけど男の体が好きなゲイから見ていて微妙なんだよな。
物語を前に進める力量と、情熱が全く足りていないように思う。
御都合主義のエロは、あんまりエロくないんだよなぁ。

「それは人に挿れていいサイズじゃないだろう。」
「問題ない。どうせあんたは魔法使いになりかけだからな」
「……魔法使い?」
「童貞のまま三十を過ぎたら魔法使い、四十を過ぎたら妖精になるって言うだろう」

笑っていいのやら……???

4.まとめ
表紙と絵柄は悪くないんだけど、物語としてパワーと投入熱量が足りていない。
このレベルでは薄い本の世界に留まるしかない。
ちょっとこれはダメだ。作者は猛省して欲しい。

絵柄 :★★★☆☆
ストーリー:★☆☆☆☆
エロ度 :★★★☆☆
(あくまで個人的主観に基づく★の数です)

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