憧れの上高地、すばらしい晴天 2016年上高地滞在記

最終日、天気予報は快晴になると言っていた。
4:30に目を覚まし、シャワーを浴びた後、部屋を飛び出した。
山に切り取られた空から朝日はまだ差し込んでこないが、素晴らしい青空が広がっていた。

ビジターが来る前の静寂に包まれた上高地。
梓川沿いの遊歩道を大正池まで下って行く。

すれ違う人はなく、ウグイスの声だけが響く森を歩いて行く。

大正池に到達して初めて、三脚を並べるアマチュアカメラマンたちに出会った。

景色があまりに素晴らしかったので一度ホテルに戻り、子供らを連れて散歩に出ることにした。
青空と穂高連峰を背負った上高地帝国ホテルを僕は初めて見た。
美しいなあと思った。




田代橋、穂高橋を渡り、河童橋まで30分かけて歩く。
雨に濡れて青々としたカラマツ林の間を蛇行する梓川。
朝日を反射してキラキラと光る川面を眺めていると、別世界に来たような気がする。




どうして今回の旅行に来る気になったの?と妹に尋ねた。
誘ったときは、正直断ってくるだろうと僕は思っていたのだ。

そうだなあ……お兄ちゃんのチョイスはウチとはちがうからね。
なんかちがうものが見れるんじゃないかなと思って。

妹一家が高原リゾートに滞在するときは、コテージで自炊して楽しむのだという。
ワイワイと楽しいけれど、今回は別の楽しさだったという。

河原で子供達と水切りで遊んでいる旦那を眺めながら「夢のようだね」と彼女は言う。
夢のように美しい場所だと、その言葉を聞いて、僕は誘ってよかったと思った。

河童橋に到着した。
この日、この場所にいた人は、誰もが絵葉書のような美しい写真を手に入れたことだろう。
ただ、ただ美しい風景の前で、僕たちはしばらく無言で立ち尽くす。




バスを使って上高地帝国ホテルに戻り、朝ごはんはパンケーキで済ます。
前夜のフレンチの味は覚えていなかったが、ずっしりと胃もたれしていたことは確か。


荷物をフロントに預け、今度は大正池に向かって子供らを引き連れて散歩。
この時間になるとビジターが続々上がってきて、すれちがうたびに挨拶を交わすようになる。
朝霧のない大正池はあっけらかんとしていて、焼岳を眺め、足元をペタペタと歩く鴨に喜ぶ子供たちを眺め、で終わる。



ホテルに戻り、コーヒーとケーキで軽くお腹を満たして散会。


ベルボーイたちに見送られ、沢渡駐車場に向かうタクシーの中で、運転手とたわいない会話が弾む。
家族旅行ですか?いいですね、という運転手に、招待してもらったんだと返す父親の声が嬉しそうだった。
上高地に来たのは何回目か?という問いに、今回で4回目。たぶん人生最後の上高地でしょうと僕は返した。

そんなこと言わずに、また来年来てくださいよ。
仕事で毎日来ている私らでも、何度来てもいいところだと思うんですから。

また来れるのだろうか?
まだイメージのわかない未来を蒼い木々に投影しながら、僕はひとりごちた。

帰宅して今年のイヤープレートを取り出してみた。
大正池と穂高連峰の図柄……やっぱり来年も来いと誘っているのかな?

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