BL漫画レビュー:富士山ひょうた『年下の彼の彼』

こちらもおひさしぶりの富士山ひょうた作品。
不測ノ恋情を酷評したけれど、ふたたび富士山作品に魅了されるのか!?

五歳年下の大学生・赤松の純粋な瞳が眩しくて、ストレートな言葉が可愛いと思っている国吉。素直な気持ちを伝えあうふたりはいつでもラブラブ。
照れも恥ずかしさも超えてまっすぐに想いを言葉にするふたりのピュア甘恋愛物語(ハート)

なんじゃ、この緊張感のないシノプシスは!!! (w

まあさ、なんというか。
「たぶん私史上いちばんふわふわお花畑な2人。照れたら負けを合い言葉に描いておりました(笑)」と作家が述べてるように、甘いよ。甘すぎるよ。「1ページ目からクライマックス」じゃないけれど、「1ページ目から痴話ゲンカ」だし。



昔ならば、告白する、思いが通じてベッドインする、つきあい始める……順番はともかくとして、ゲイカップルのおつきあいをスタートさせること自体がハードルの高いものだった。その想いが通じたあとグダグタになるのは新田祐克の例の長編なのだけど。「年下の彼の彼」に至っては、最初から晩飯食いながら誕生日を一緒に過ごせなくて痴話ゲンカになっているカップルだ。そして台所で洗い物をしながら拗ねている年下彼氏と仲直り……なんということでしょう、この生活感は!!

でもね、これもBLの行き着いた一つの形ではないかと思うのだよ。
つきあい始めるよりも、関係を継続させることの方が難しい。
昔ゲイバーのママが連載していた「やっぱり・ふたり」という記事を読んでいた。長く続いているカップルにインタビューして、良きロールモデルを探そう的な企画だった。
BL読者の平均年齢がどんどん上がっているらしい現状では、恋を探そうという従来路線以外に、幸せな生活を送ろう的な企画が上がってきても不思議ではない。や、本当は苦労しながら幸せな生活を続ける方が尊いのだと僕も思うし。主人公のこだわりがややウザイよしながふみ路線を追求しすぎない程度で、この路線はアリなんだと思う。だけど、前回紹介したレビューのように、BLってどこへ向かうのだろうという危惧はあるのかもね。

1.絵柄
ふわふわ富士山ひょうた路線。

2.ストーリー
5歳年の差カップルの幸せな日常。痴話ゲンカで始まり、大学内で赤松に横恋慕している友人との絡みがあり、二人の出会いの頃の話があり、最後は浴衣姿でガッツリH。まあ良いんじゃないでしょうか。

3.エロ度
富士山ひょうたお得意の、脱ぐと結構すごいのよ。大学生の赤松くんが、国吉さんをガッツリ掘っております。「痛い…熱い、苦しい……けどこれが赤松くんなんだ…」…ごちそうさま。

4.まとめ
まあ、アリだとは思う。だけどストーリーがあるよでないような、ある意味やおいのような気がしてきた。しかし「年下の彼の彼」ってタイトルは、いったい誰目線なんだ??

絵柄 :★★★☆☆
ストーリー:★★★☆☆
エロ度 :★★★☆☆
(あくまで個人的主観に基づく★の数です)

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