平成26年度 富士総合火力演習 その1

「あ…ありのまま昨日起こった事を話すぜ!」ってポルナレフじゃないけれど。
昨日、平成26年度富士総合火力演習を見学した時のことを、つらつらと書いていく。

富士総合火力演習(略して総火演)とは、富士山の裾野に広がる東富士演習場において陸上自衛隊が行う演習の一つで、国内最大規模で行われる実弾射撃訓練のことだ。

今日8月24日が本番の演習実施日で、その予行演習が数日前から行われている。この予行演習は一般公募ではない形で入場チケットが配布されているらしい。僕も先週人づてでチケット(シート席)を貰い、慌てて準備をしたクチだ。

行くからには写真を撮りたい。
スタンドから写真を撮るには相当の望遠レンズが必要。たぶん300mmとか。
シートはそれに比べれば「現場」に近い。手持ちのレンズでもいけるかもしれない。
ただし、シート席は勾配がほとんどないそうなので、シートの3列目以降は人の頭しか見えないという情報があった。狙うならシート最前列だと。そして最前列を狙うなら、できる限り早く現地入りすることが必要だという。

当日5日前に御殿場駅周辺にホテルがあるはずもなかったが、探しまくって一部屋確保。当初は沼津に宿泊して始発の御殿場線に乗るつもりだったが、6:30頃御殿場駅到着では「出遅れ」だという。野宿する歳でもないし。
御殿場駅までの足は色々悩んだが、金曜日の仕事が終わった後、東京駅前から高速バスに乗ることにした。帰りの足も大混雑かもしれない御殿場線を避け、高速バスの席を確保した。

8月22日金曜日。
終業後、のちに悲劇があるとも知らずラーメンを食べ、1948発の河口湖駅行きの高速バスに乗った。市が尾駅を出た後、東名高速を一気に走り、御殿場駅前に到着したのは2200過ぎだった。バスを降りると生暖かい風が吹いていた。東海地方は大気が不安定で、突然の豪雨に見舞われるかもしれないという予報が出ていた。

駅から徒歩約5分のホテルにチェックインした。近くにコンビニはないと言われ、仕方なく明日の朝食用に自販機でパンを二つ買った。のちに悲劇があるとも知らず。
アサインされた部屋の扉を開けたとたん、吹き出してくるカビの臭い。どうやらバスルームの壁が黒カビに浸食されているらしい。場合が場合だったので仕方なかったが、3日も滞在していたら病気になりそうな気がした。
翌23日は0315に起床することに決めた。シャワーを浴び、翌日の荷物をまとめて寝た。睡眠時間は4時間ほどだった。

0315に起床。
シャワーを浴び、髪を乾かしながらパンを食べた。くしゃくしゃに潰れた小倉あんパン。一口食べた時に「なんか、やだなあ」と感じたが無理して食べた。
0340チェックアウト。フロントでタクシーを呼んでもらおうとしたが断られる。タクシー会社側で受付を止めているという。タクシーは駅前で自分で拾ってくれと。ホテルに荷物を預け、御殿場駅前に向かう。気温は23度ほどで肌寒さは感じなかった。駅前には酔客と、どう見ても総火演に集まった人たちがいて、やや焦る。タクシーは5台ほど客待ちしていて、すぐに総火演会場に向けて出発した。

道々運転手さんと会話する。今日一番早く運んだ客は0000頃。総火演会場近くの富士山はガスがかかっていなくて、山小屋の明かりがよく見えたという。0000から現地入りしている人がいると聞き、内心焦った。会場には0415頃に到着した。

砂利が敷かれたまっくらな空間に、タクシー乗降場はあった。目の前に会場へつながっているらしいブリッジがあったが人影もなく、ロープが張られているみたいだった。明かりもなく、月明かりを頼りに目をこらすと、目の前に道路があり、そこに階段があることが分かった。その上方に目をこらすと、暗闇の中に人影がうごめいている。そちらに向かって歩いて行った。

すでに人が列を作っていた。そこはCスタンドのゲートで、30人近い人がいた。座り込んでいる人、荷物だけ置いている人、テントで野営している人などがいた。「最後尾ですか?」と声をかけて歩く。自分も列の最後尾に並び、地面に座り込んだ。多少風は吹いていたが、薄手のウインドブレーカーを羽織っていたので全然寒くなかった。隣になった人と世間話をしながら行き交う人影を眺める。前後の人はミリタリーマニアか、カメラ爺が多くて、話している内容はあまり分からない。0500過ぎると周囲が明るくなってきて、出店の準備や、自衛隊の案内所立ち上げ、そして3列に並ぶように列の作り直しが始まった。

「あ…ありのまま昨日起こった事を話すぜ!」

0500頃からお腹が痛くなった。
とんこつではなかったが食べたラーメンに胃腸が耐えられなかったのか、あるいはホテル出発前に食べたパンが悪かったのか。何回か痛みがあったけど、我慢してやり過ごしていたら汗がポタポタと垂れてきた。脂汗だ。そのうち目の前がチカチカし始めて、キーンという耳鳴りとともに周囲の音が急に遠くなった。虚血状態?? やばい、倒れるかも。きっと顔色は真っ青だったんだろうと思う。荷物を担いでいるのがつらくて地面に置いたが、立っているのもやっとだった。

そんなことを3回繰り返して、たぶん0545頃だっただろうか。ゲート受付のセットアップが始まり、入場開始0630まであと45分となった。再び倒れそうになって「このまま並んでいれば最前列が取れるかもしれない」という欲と、「このままだと倒れる」という危機意識のあいだで、「最前列に場所が取れても、トイレに向かう前に脱糞して生き恥を曝すんじゃ意味がないではないか」という理性が勝ち、僕は泣く泣く列から離脱したのだった。色々準備はしてきたが、脱糞対策は想定外だ。列の前後の人に場所取りをお願いすることも考えたが、0630までに戻ってこれる保証はなかった。

とにかく倒れそうだったので、案内所で救護所の位置を聞いた。そちらに向かって歩き始めると「すっきりー」という表情の自衛官とすれ違い、トイレを発見。しかも少ない洋式が空いていた。ペーパーも十分あった。そこで「土石流」のように排出して、しばらくうずくまっていると体力回復。正直倒れるかと思ったが、出すものを出してしまえばお腹の痛みも治まり、再び戦列に復帰することにした。

Cスタンドの列は形も変わっていて、再度混ぜてもらうのは無理そうだった。Eゲート入り口からだと最前列が埋まるのが若干遅いというネット情報を知っていた。そこでEゲートに向かうと、朝日の下にすでに横3列に並んだ人が100人はいたと思う。シート席最前列は諦めて、おとなしく入場開始を待つ。シート席を掃除するブローラーを背負った自衛隊員たちの姿が見える。

0630の入場開始直後、「どっかーん、どっかーん」と聞いたことのない大音量の衝撃波に襲われ、「うわー」「きゃー」「なに!?」という悲鳴があがる。「始まったな」とニヤニヤしている人によると、点検射撃という予行演習の予行演習があるのだという。来場者に目覚まし一発の大号砲という感じか。

チケット半券をちぎって貰い、パンフと新聞を手に会場に入る。思ったほど大きいという感じはしない。シート見学者の場所割り当ては、自衛隊員の案内に従って横一列に並ばせられて、横いっぱいになると次の列を作るというやり方を取っていた。すでに1列目は埋まっていて、2列目に人を詰め込んでいた。ところが僕の5~6人前で2列目が埋まり1枚目のシートが埋まった。そこで細い通路に沿ってシート2枚目に列を作ることになった。僕の前に並んでいた5~6人が奥に向かい、そして僕が割り当てられた場所は、たぶん弓形の地形に沿って1枚目のシートが途切れていた場所。2枚目のシートにかかわらず実質最前列。しかも通路があるので足も伸ばせるという悪くないポジションだった。神さまに感謝したよ。

目の前では「どっかん、どっかん……ババババ」と砲弾が射撃され、ヘリも飛んで来るわで、1000のスタート前からお腹いっぱいという状態。

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