広島・松山旅行記(7) 岩惣(いわそう)に泊まる そのに

"もみぢだに公園"の石碑の脇を抜けて、山に向かって歩く。
綺麗に掃き清められ、打ち水がされた坂道は、これから待ち構えている驚きへの期待を盛り上げる。

いくつかの建物を通り過ぎ、やがて"錦楓亭"(きんぷうてい)という表札の掛かった建物に案内された。あの玄関をなんと呼ぶのだろう。秘密めいた庭園に続く扉のような、和風建築に住んでいる人しか知らない、あの不思議な扉を開けると、茶室へ入るような小さな障子を開ける。目の前すぐにクローゼットがあって、その前を右に曲がると、一直線に伸びる廊下が続いている。



"錦楓亭"は10畳間、16畳間の和室2部屋と、紅葉谷を眺めるためにしつらえたとしか思えない洋室の3部屋を持つ離れ。廊下の先には古びた懐かしい洗面台があって、その奥がトイレになっている。余計な家具のないすっきりとした各部屋は、僕はとても居心地良く感じられた。プライベート感溢れる空間に僕たちはすぐに馴染み、リラックスした。広い部屋は落ち着かないという人が僕の周りにもいるけれど、どうしてなのだろう。手足を思い切り伸ばして寝転んだり、窓の桟に腰掛けて紅葉谷を眺めたり、狭苦しいホテルの部屋では味わえない開放感を楽しめる。





僕たちを案内してくれた仲居さんに、今夜はよろしく頼む旨を挨拶すると、彼女はいったん部屋の外に引っ込んだ。この離れには食事のための配膳室が完備されている。僕らが寛いでいると抹茶ともみじ饅頭を用意してくれた。もみじ饅頭は、岩惣の女将が菓子匠に発注して誕生したものなのだとか。美味美味。




2 件のコメント:

  1. ここ、たぶんですけど、小学生の時に家族旅行で泊まっています。
    泊まった翌朝、庭みたいなところに白蛇が出て(あまり大きくないやつ)旅館の人が
    白蛇は神様の使い・・って話してくれたのが印象に残っているな~

    返信削除
    返信
    1. 家族旅行で岩惣ですか~いい思い出ですね!
      こういう歴史のあるクラシックホテルは、親子3代で宿泊した記憶があるとか、anupamさんと僕の間で共通の体験となっていたりと、特別感があっていいですね。

      削除