「世界の中心で愛をさけぶ」や「とんび」のロケ地だった松崎。
この二作品のロケ地のほかは、なまこ壁の家が残る静かな漁師町だ。
お土産屋もほとんどない静かな田舎町と、きれいな砂浜。
なにもないのが好もしくて、年に一度は海を眺めに滞在したくなる町だ。
今回も「まつざき荘」に連泊した。
海の見える、心地良い部屋だった。
砂浜に出て、打ち寄せる波を飽かずに眺める。
夜は、布団の中で波の音を聴いた。
日が暮れたあと、強い雨が降った。
駿河湾を分厚い雲が覆い、明け方、窓を叩く雨音で目を覚ました。
風が唸り、波が岸壁を洗う。
そんな荒天が日が昇るにつれて収まり、そのあとは目が覚めるような碧い空が広がった。
松崎には甥姪を引き連れていった。
海に足を浸し、押し寄せる波をぴょんぴょんと飛び越える幼児達を眺めていた。
なんの捻りもない遊びだけれど、深く深く記憶に残る時間だった。
松崎はとてもいい町だ。
今度は一人でもいいから、静かに数日過ごしてみたいと思う。
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