2013年バンコク紀行 (1)

「じゃ、次はスワンナプームで逢おうね」

そう言って、関空に向かう彼氏との電話を終えた。

2013年5月29日、僕たちはそれぞれバンコク行きの飛行機が待つ空港へ向かっていた。彼氏は関空へ、そして僕は成田空港へ。5月29日は全国的に悪天候に向かっていて、成田アクセス特急の車窓に映る田園風景は、どんよりとした雲の重さに喘いでいるようだった。

彼氏と一緒に旅をするようになって、合流から先はすっかり彼のコーディネーションに頼る癖が付いてしまった。楽させてもらっていて申し訳ないのだけれど、やっぱり自分である程度のことができないのは情けない。今回みたいな現地集合は、少なくともイミグレーションを超えて行くところは自力なので、多少はがんばらなきゃという気分になる。

9時前に成田国際空港第一旅客ターミナルに到着。タイ人、インド人らが長い行列を作っているチェックインカウンターの列を横目に、オンラインチェックイン済みのカウンターで荷物を引き渡して楽になる。




朝ご飯は、お茶漬け屋さんで、軽く親子茶漬けを楽しんだ。このあとヘヴィな機内食が待っているのだから、いまからずっしりと胃もたれ状態でいる必要はないから。午前便で出発するとき、このお茶漬け屋さんは重宝している。

イミグレーションを超え、初めて成田空港の免税店で手土産を購入。ゲートへ向かう長い長いコンコースをCAたちが足早に移動して行く姿を眺める。彼氏もこうやって背筋を伸ばして歩いているんだろうなあと想像していたら、関空の彼氏から着信。IDで移動する彼氏も問題なくシートを確保できたそうだ。

成田空港の光は青い。その青い光の中にモノトーンのインテリアがおかれている。その少し無機質な感じが僕は好きで、遮光フィルムの貼られた大きな窓の向こうを移動して行く旅客機を飽かずに眺めた。


今回は初めてタイ国際航空を利用してみた。ただ単に安かったから選んだのだけど、往きは747-400で、復りはA380といううれしい組み合わせ。去年シンガポール航空でA380に搭乗して以来、すっかりあの機体が気に入ってしまっている。その秘密はのちほど。

定刻11:00に離陸した747-400は、ほとんど揺れることなく南下を続けた。約6時間30分の間、絶望的に反応の悪いパーソナルエンタテインメントシステムを放り出して、持ち込んだiPad Miniでドラマを見ていた。イタリア旅行中、ナポリからフランクフルトへ向かう飛行機の中で、iPadの蓋を前席の物入れに引っかけて映画を見ている女性がいた。あのマネをしてみるか……3つに折れるiPad Miniの蓋を、前席の液晶の隙間に差し込んで引っかけると、ちょうどいい感じで目の高さにiPad Miniの液晶が来る。「戻るぜよ、あん世界へ」……いやあ、ほんとにおもしろかった。

ほぼ定刻にスワンナプーム国際空港に着陸した。

イミグレーションすぐ近くのゲートで降ろされたので、降機してからイミグレーションを抜けるまでに15分もかからなかった。ターンテーブルでスーツケースが流れてくるのを待っていると「おつかれさま!」と声が掛かる。振り向くと彼氏がひらひらと手を振っている。

スワンナプームで僕たちは再会した。
短い休暇が始まる。

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