一人で祝い酒した夜

すでに3月9日に書いたとおり。
先月から5月くらいまでは泊りがけの出張が何本か入る予定。

「やったー!作業終了!!
 みんなありがとうございました!!
 じゃあ撤収作業開始!!!」

とハイタッチして、機材を片付ける時の疲れと充実感はとても心地よい。
夢中になって作業した結果が、ちゃんと出て来るとたまらない喜びがある。

二十代の頃、徹夜仕事して、それがうまく行った時、みんなと別れ、一人でビールを飲むのが好きだった。
ヘラヘラ、ニヤニヤしながらビールを啜っている姿は、側から見ると相当気持ち悪かっただろうな。
だけど、僕にとっては最高のご褒美だったんだ。
子供の頃から僕の憧れは、マーティンを未来に送って、一人小躍りするドクなのだ。

軽井沢駅前は、本当に食べるところが少なくて。
しかも寒くて、寒くて。

初日の夜は計画上もっともキーとなるツールにトラブルが見つかり、僕はパニクっていた。
かなりストレスもあったんだろう。
昼ごはんに食べられなかった一風堂のラーメンを平らげたあと、ホテルのレストランへ行く。

メニューにカツカレーがあったが、さすがにカツは入らなくて。
だけどワインを飲みながらグダグダつまみを食べるのには、時間も精神的余裕もなく。

「すみません、カツカレー『カツ抜き』でお願いします」

スタッフは妙な注文に戸惑っていたようだが、メニューにはなかった野菜の素揚げの乗ったカレーが出てきた。



その時はまだ翌日の対処方法が決められなくて、涙目で食ったカレー。
でも、カレーはやる気とスタミナをつける食事だからね。
戦う前に力をつけて……だけどカツまで食べてお腹を壊さないように。。。

その晩はほとんど眠らずにリカバリープランを作り、本番当日に挑む。

実際午前中はトラブりにトラブって茫然自失だったけれど、お昼頃からリカバリープランに切り替えてから進展が始まる。
「東京の人は、お昼ご飯も食べずに仕事すんのね〜」と現地人に冷やかされながら、左手におにぎり、右手でキーボードを操る。そして午後はガンガンと作業が進み、18時に撤収。

他のスタッフを駅で見送ったあと、近くの7−11でスパークリングワインと白ワインを買い、コンコースで「峠の釜飯」を買って部屋に戻った。一人で祝杯、狭いビジネスホテルのベッドに足を引っ掛け、酒を飲んでは「ふうぅ」とため息をつく。なんだろうね、戦い終わって、今日も生きて戻って来れたみたいな奇妙な虚脱感。






こんな戦いがまだまだ続く。
今週もリモワに荷物を詰めて、戦場へ向かうよ。

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