『11月9日(日本時間)の大統領選挙結果で、ヒラリーが逃げ切ったならば、親米保守は冷や汗を流しつつも「やれやれ」と留飲を下げ、また「強いアメリカ」に縋りつく機運を再燃させるに違いない。
一方、トランプを「排外主義・ヘイト的」として呪詛してきた日本のリベラルは、ヒラリー政権誕生にオバマ政権誕生の時と同じような興奮と安堵を覚え、「アメリカの良心が排外とヘイトを否定した」とこれまた留飲を下げるだろう。しかし、トランプが敗れても、また4年後には第二のトランプ、第三のトランプが勃興するに違いない。なぜなら排外とヘイトの構造的遠因は、トランプ個人にあるのではなく、アメリカの構造そのものに内包されているからである。ここを見逃してヒラリー政権の誕生を手放しで喜ぶような姿勢は、本質的ではない。むろんその逆、つまりトランプの勝利なら、日本の左右が両に沈黙し、わずかに「イバラの道」を覚悟した反米保守のみが、暗黒と黄昏の中で新時代を決意する展開になる』
ヒラリーorトランプ、どちらが大統領でも日本はイバラの道
古谷経衡
http://bylines.news.yahoo.co.jp/furuyatsunehira/20161107-00064158/
ちょっと自己陶酔的な文章なような気もするが、トランプ新大統領爆誕で日本の政治右派左派が沈黙し、いわゆる「リベラル」一派が発狂している状況を見て、僕は民主主義を殺すのはリベラルではないかと密かに思うのだ。
アメリカ、日本のメディアは常にヒラリー勝利を宣伝し続けた。
トランプが大統領になったら世界の終わり、アメリカ人は愚であるとも言った。
ウォール街・知識人・エリート・セレブがヒラリーについた。
あと、伝統的にマイノリティであるLGBTやら(不法)移民などが民主党の支持基盤だ。
でも、ちょっと考えてみると、ウォール街・知識人・エリート・セレブという階層はグローバリズムの恩恵を最大に受けるいわば特権層。今回のヒラリーが勝利した州は東海岸と西海岸の都市部。一方で、トランプが勝利した州はアメリカの中西部、ディープアメリカと呼ばれるエリアが中心だった。下手をすると州の外にも出たことがない、生まれた場所で人生を過ごしそして死んでゆくような人たちが暮らすエリア。ここには経済的なグローバリズムの恩恵などない。グローバリズムと無関係にこの場所で生きてゆくしかない人たちがトランプに投票したことの意味を、メディア・知識人は良く考えたらいい。自分たちの主張がズレていないか、間違っていないか、と。リベラルの利益が最大化されてきたグローバリズムへの反旗が、イギリスに次いで今回アメリカでも発生したと言うことだ。庶民の生活視点で見た時、グローバリズムは幸せをもたらす思想・手段なのか?について、重大な疑義が提示されているようだ。あわせて、過度な人権とポリティカルコレクトネスをごり押しするリベラル的な考え方についても。
民主党ヒラリーの支持者は終始高飛車に物言うように見えた。
泥臭いトランプを非難し、トランプ支持者を愚か者だと腐した。
トランプ新大統領誕生が決まった途端、リベラル勢力は海外へ移住するだの移民するだの右往左往している。
トランプ新大統領誕生を受けいられず、すでにデモと暴動・掠奪が起こっている。
リベラルは常々「民主主義の死」を口にするが、多数決という民主主義の原則を受け入れない人が「民主主義の死」を叫ぶことの滑稽さに、なぜ彼らは気付くことができないのだろうか。不正投票があったわけでもなく、大統領が執政を始める前であるにもかかわらずトランプを腐すことは、彼らが一番忌避する偏見に基づく個人攻撃ではないのか?
自分たちの気に入らない、受け入れがたい状況になると暴れ、他処に逃げようとするリベラル勢を、僕は彼らを自分勝手、わがまま、社会構成員としての自覚に欠ける人たちと思って眺めている。彼らの唱える民主主義がどうしてもご都合主義な解釈としか思えないのだ。自分たちが気に入らなくても、辛抱強く国と社会を支え、捲土重来に期すことが社会構成員としてリベラルにも課せられる責任であると僕は思ってる。
保守とはその字の通り「保ち、守り続ける」という「継続」を基盤にした、そうだなあ、生活手段のようなものだ。
それに対してリベラルとは「夢」みたいなもの。
ちまちまとした「継続」ばかりに目がいっていると、なんだか気分がふさがる。
実現する目処すら立たない「夢」ばかり追っていると、いつも挫折感に苛まれ、「夢」はいずれカルト化する。
いまの「リベラル」は、リベラル以外の思想に不寛容なカルト宗教に転化しつつあるのではないか?
リベラルは世界連帯を訴えるが、日本のメディア、評論家、とあるコメディアンが「トランプを選ぶアメリカ人はバカ」などと言った言説は差し控えるべきだ。それを言うべき立場ではないし、トランプを選んだ有権者たちに失礼だ。しかも数年前、君たちが熱烈にプッシュした日本の民主党(現在の民進党)がどれだけダメな連中だったか。ダメなものを強烈プッシュした責任すらとらない愚か者たちが、なにを偉そうに与太を飛ばしているのだ。
真正保守ってものは、親米でも反米でもなく、「日本を続ける」ことしか考えない。
誰かを頼りにして自分たちの運命をオールインするのではなくて、仮にアメリカがなくなったとしても「日本を続ける」「日本を続けられる」ことを考え、手を打続けることが真正保守というものなのだろう。古谷氏は「反米保守」のみが決意すると言うが、「アメリカ」が失われた暁には、左右に分かれてポジショントークに終始していた人たちの中からでさえも、真正保守を語り始める人が現れるにちがいないと、僕は信じてる。
願わくは、その時に短慮に方向転換しないこと、激烈な反応とならないことを祈るのみ。
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