BL漫画レビュー:金子アコ『ハメられホスト』

「Kissing」のナンバー1の圭吾が自分の指名客にしようと狙っている永瀬医師は、いつも美人ナースたちを引き連れて来店しながらも圭吾を「かわいい」などとからかってくる食えない男。
だけど、生意気な後輩の智也にトップの座を奪われないためにも、絶対モノにしたい…!!
そこで圭吾は、「指名客になること」を賭けての飲み比べを自ら永瀬に持ちかけて-!?

欲望×快感×劣情まみれ、
イケメン三つ巴フィーバーラブ(❤)

Amazonレビューでほったらかしにされている金子アコ作品が今日のお題。
BL読者目線で結論を言うと、絵柄は上級者向け、ストーリーはわりとおざなりというかありきたり。ビジュアルを楽しむにはおもしろい作家だが、ストーリー重視の人は喜ばないだろうなあと思う。

「ハメられホスト」……魅惑的なカバー。前髪系(これは最近二丁目で覚えた)、シャツをはだけて6ブロック腹筋を見せつけるイケメン。ナンバーワンホストという設定。
だが、内容は……。


オンナを貢がせてナンボのホストが……。

太い開業医の指名を獲ろうとして……

ハメたつもりが、ハメられた。

以上!だ。
他に後輩とやっちゃったり、医者と後輩と3Pになったり、プラグ突っ込まれたり、まあいろいろとあるんだが、わりとどうでも良く、最後はハッピーエンド。

エロ好きの腐女子にはウケるのだろうけれど、ややマニア向けなのかなとも思う。というのも、一般的に腐女子って「重い」じゃん。少なくとも僕が出会った腐女子、オコゲは恋愛に対して重たい人が多かった。その重たいカルマを精算できれば、恋愛なんてチョロいもんなのだけど。

で、ホストクラブが舞台のBLっておおざっぱに言うと、すごく重たい過去を背負ってクラブに拾われるパターンと、徹底的にチャライ男がうっかり男にはめられちゃうパターンの二種類しかない。前者は新田祐克の「男が男を愛する時」とかあって、それなりにファンは付くと思う。が、後者はなんてか、腐女子の心に刺さりにくい設定なのだよな。腐女子って頭の悪い男が嫌い、もてていることを鼻に掛ける男は嫌い、頭の悪い男は中身がないから嫌いと、圭吾のようなキャラをいじくってもあまりウケない。

だがしかし。この作品の設定をひっくり返しホスト圭吾が、永瀬医師をひたすら一途に想い続け、バカなのに無謀なアタックを繰り返し、ボロボロになったところで最後に想いは通じる、みたいな展開だったらウケたんじゃないかな。こんな設定の作品はすでにあるはずだけどさ。


1.絵柄
基本的に上手い。だけど最近のWebコミック出身の漫画家の絵柄とは異なる。昔からあるボーイズラブ、青磁ビブロスのころからあるなにかを正常進化させたらこうなった、って感じ。以前のBL漫画はレディスコミックの作家が書いていた時もあったから、そっち方面のデジャヴュ感もある。

2.ストーリー
あらすじと、この記事で紹介した以上でも以下でもなく。エロを描くためにストーリーをくっつけたという程度。ホストならではの世界観、医者側の世界観もなく薄味。エロを楽しむためならそれでもいいと思う、ポルノになっちゃうけどな。

3.エロ度
とにかくエロイ。だけど変に捻っていないので、健康的なエロさとも言えるか。

4.まとめ
やっぱポルノっすかね……。
いい原作者を付けて、濃厚にエロイ作品を描いたら大化けする作家だと思う。例えば大正、戦前の昭和あたりを舞台にした作品とかで、置屋に売られたとか、軍人さんが出てくるとか、学生寮で、とかね。

絵柄 :★★★★☆
ストーリー:★☆☆☆☆
エロ度 :★★★★★
(あくまで個人的主観に基づく★の数です)

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