長野県でひとり

今日は仕事で長野県に来ています。
東京を出て、北陸新幹線はくたかですっ飛ばすこと約1時間。
佐久平は秋の匂いのする高原の風が吹いていました。
すこし肌寒かった。

打ち合わせ前に、佐久平駅前にあるCP最高のそば屋と絶賛される「佐久の草笛」で早めのランチを摂ることにした。一人ランチは結構さみしいけれど、せっかく遠出しているのだからファミレスとかで終わりたくないね。


頼んだのは、名物くるみのおはぎ(これはばらしてもらって1個だけ)と、ざるそば。
くるみのおはぎが先に出てきたので、アペタイザー代わりにモギュモギュと食べる。
甘さ控えめで、くるみの香りと食感がおもしろい。
エスニック料理だとココナッツミルクをぶっかけてあったりするのだけれど、長野県のデザートはあまり自己主張しないおしとやかな感じ。



ざるそばは結構強烈で、普通盛りでそば量400g。
大盛りにすると1Kgのモンスター級になるらしい。
三七蕎麦だそうで、蕎麦の香りはあまり感じられなかったけれど、喉ごしは良かったな。
かなりの人気店なんだそうだ。

そこからタクシーで移動して打ち合わせ。
打ち合わせを終えて佐久平駅に戻ってきたのは16:00頃だった。
雨が降り出していて、傘を差して駅から離れるのはめんどくさかったんだ。
駅ナカの「カフェ グレ猫」でコーヒーを飲みながら約30分時間をつぶした。

16:38佐久平発、小海線に乗り込む。



当初予定より1本前倒しの乗車だけれど、これでも小淵沢まで行く列車は終電を含めて3本という心細さだった。2両編成の車両は下校してきた高校生たちで混み合っている。わりとカップル率が高い。幼なじみか、部活仲間かも知れないけれど、わりとリア充っぽい。

ローカル線として有名らしいと聞いていた僕は、この移動を結構楽しみにしていた。
あいにくの曇り空で、山にはガスがかかり、時折雨が窓をぬらした。
ローカル線と言いながらも、車窓には人家もそれなりにあるし、季節外れのトウモロコシ畑や、白い花を咲かせている蕎麦畑、そして金色に色づき始めた田圃が広がっている。

小海駅で、乗客の半分が降りていった。
小海駅からはズンズンと山に分け入ってゆく感じ。


信濃川上駅でどさっと人が降りた。
窓の外は沿線の樹木の輪郭がほとんど分からないほど闇が迫ってきている。
赤い目玉のお化けのような踏切の赤色灯がたまに現れる以外は、まるで地下鉄で移動しているかのようだった。

野辺山駅の手前で、一瞬視界が開ける。
曇天が広がる空に闇が覆い被さろうとしている。
色と輪郭を失った農場とトラクターがぼんやりと見える視界の最奥、空と地平がふれ合うほんの小さな隙間で雲が切れていて、頼りないほど弱々しい残照の朱が溢れ出していた。闇を切り裂く光がやけに鮮烈で美しかった。

清里駅で男子高校生が降りて行き、とうとう僕はひとりぼっちになった。
低く唸るジーゼルエンジンの音と、規則正しく線路を刻む車輪の音以外はなにも聞こえない。
ひとりぼっちでローカル線に揺られていると、思考は内面に向かい、これからのこととか、普段はなかなか考えられない事柄について、とりとめなく思考が散らばってゆく。こういう時間が持てるのは、実は贅沢なことなのかも知れない。



こうして2時間30分近くかかって小淵沢駅に着いた。





ここで中央線への乗り換えに失敗し、30分あまり小淵沢駅で待つことになった。
ホテルについても近くで飯にありつけそうもないな……と思い、駅弁を買って特急あずさに乗ったのは正解だった。ホテルにチェックインしたあと、ご飯を食べに外へ出る気力はもうない。駅前は閑散としていて、数台のタクシーと、家族か恋人を迎えに来た自家用車がぽつぽつあるだけ。こういうときは早々に部屋に籠もるに限る。

平成28年 祝御柱祭弁当とキリン氷結。
リーマンのひとり飯なんて、これくらい殺伐としていて普通なんだと、なぜか笑ってしまった。




じゃあ、おやすみ♪

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