BL漫画レビュー:おわる『キチク、エンカウント』

おわる第二作目リリースだ。
高まる期待とともに、キチクとエンカウントしてみよう。

社畜SEとして頑張るリーマン佐藤一、25歳。
完徹明けの朝日が眩しい早朝の電車で帰宅中、車内に響き渡るAV女優の喘ぎ声(が、股間に直撃!)。
音漏れの主はどんなDTクンかと思いきや、すっっっごい遊んでそうなイケメンで…。

えっちな音漏れで股間にゴメーワクを掛けたお詫び(!?)にと、イケメンに連れ込まれた先でDTどころかまさかの処女喪失ー!?


うーむ、、、、、。
帯の文句をなぜ入れていないのか。

「俺みて勃ててるとかきもちわりい」

まあさ、男なら誰でも経験しているから今さらだが、完徹明けの朝にゃ疲れマラが半勃なんてよくある話。逆に電車でトラブルにならないように下着でサポートしたり気を遣っているわけですが。




まあ、ここから本音ベースで行きますか。

「キチク、エンカウント」はいろいろと問題あるなあと思う。
巨乳メガネっ娘AV女優ファンの佐藤一、25歳、童貞……最近の「きょうは会社休みます」もそうだけど、童貞処女をネタにするの、やめようよ。10代後半でいつ捨てるのとか悩んでいるうちはカワイイもんだけど、25歳過ぎるとそれは苦悩でしかないから。そして童貞処女=交際経験が無いということで、人生経験の積み上げ的にもどうよってわけで色々とイタイでしょ。リアルボッチ救済プロジェクトじゃないんだから、そういうネタは「××の保健体育」でやれば良いと思うのだよ。

で、BLに話を戻すけど、AVマニアの佐藤くんが、「男性経験豊富」なチヒロとエンカウントして、駅の便所でAVビデオ女優のセリフを叫びながら掘られて処女喪失……。もうどこから突っ込んでいいのか……。実際リアルな世界でこういう経験した人って、そのあとノンケ向け風俗に行くか、アナルに目覚めてニューハーフ風俗に行くんだよね。だから、ノンケがその後もイケメンキチクに抱かれるあえぐって、いろんな意味であり得ないんだわ。ノンケは所詮ノンケなわけで。普通なら駅の便所から肛門外科へ搬送だわ。

で、ふたたび「キチク、エンカウント」に話を戻す。

作者は同人誌の世界ではかなり有名な人だったと聞く。で、キチク役の「千紘」は肌も地黒でぶっちゃけ黒子のバスケの青峰大輝クンが大学生になったらこんな感じ。別にそれをどうこう言う気はない。実際、千紘のキャラクターデザインはよく出来ていて、ゲイファッションをよく分かっているなあと僕は感心したからだ。いまの新宿二丁目ではほとんど見れないクラブ系ゲイのファッションで、過剰な露出、過剰なアクセサリー、おそらく過剰な香り(またはフェロモン)を漂わせているのだろう。そのVネックの胸元、袖からのぞく腕、丈の短い裾から覗く外腹斜筋とか。千紘のキャラクターデザインは満点を差し上げたいと思う。

だからこそ作者に聞きたいのは、なぜウケに佐藤のようなキャラを持ってきたのか?
全てが台無しではないか。

すなおに火神大我のようなガタイのいい25歳リーマンを設定すれば良かったのに。童貞じゃなくてリア充のヤリチン。だけど千紘と出会っていろいろとグルグルして、年下千紘の面倒見の良さに絆されて、ついにカップルになるという王道パターン。
現代腐女子はどうだか知らないが、「エッフェル塔と東京タワーはどっちがタチウケか」というネタで盛り上がっていた腐女子視点では、要はふたりの男がいて「水はどちらに流れるのか」を予想したり、ストーリーを追いかけるのが楽しいのだ。佐藤が千紘にヤられるなんて、ナイアガラの滝を見るように明らかすぎてつまらん。

女っぽいキャラクターってのは、絵柄と作中の発言、行動、考え方にも表れてくるわけで、佐藤がウケをやっている限り「キチク、エンカウント」って別に普通に男女もののラブストーリーでやればいいじゃん!と思うのだよ。小学館のエロ少女マンガ雑誌でいくらでもやれそうだろ??

もったいない……本当にもったいない。

1.絵柄
うまい。文句なく。キチクの千紘の造形は秀逸。千紘には満点つけたい。

2.ストーリー
すでにさんざん語ったので繰り返さないが、普通に男女もので良かったのではないか?そう考えるとヅカ系に振れすぎている。

3.エロ度
とてもエロイ。千紘のボディライン、筋肉の造形文句なし。それに対して佐藤と来たら……千紘は佐藤のイキ顔が好きだと言うが、それじゃただの女のイキ顔と変わらないじゃないか!?

4.まとめ
作者はもっとBLを精進するか、男女ものへ活動場所を移行すべし。
そういえば、千紘の名字と年齢ってなんだっけ??

絵柄 :★★★★★
ストーリー:★★★☆☆
エロ度 :★★★★☆
(あくまで個人的主観に基づく★の数です)

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