BL漫画レビュー:鴨川ツナ『LOVEコンプレックス』

タイトルが中原アヤの『ラブ★コン』と被るなぁ……。
しかも「鴨川」と来れば「ホルモー」だろうとか突っ込んでしまった。
は、さておき。



第一印象からキライでした。

地味な風貌に華やかな名前の早乙女薫。
帰国子女のイケメンリア充、鈴木翔太。
ただでさえリア充で気に入らないのに
仕事で容赦なくリテイクを出してくる
リア充鈴木にブチ切れ寸前の早乙女。
さらに弱みを握られて、
あんなことやこんなことまで……。
戻ってきてくれ俺の日常生活ーー……!!!
 
買った後、表紙の2人がアートディレクターとWebデザイナーということを知った。
いや、この表紙はねぇだろうと思ったけれど、中身を読み進めてみると、鴨川ツナという作家、ひょっとして広告代理店、Web系のデザインプロダクション、またはWebサービス系のIT企業に関係している人じゃないかなと感じた。
というのも、リアリティとは取材や勉強だけで生まれてくるものではなくて、何気ない描写のなかに自然と現れてくるものなのだから。
僕の推測ではWebサービス系のIT企業っぽいのだけど。



というのも、鈴木翔太のようなアートディレクターは存在するし、早乙女薫のようなWebデザイナー(コーディング系の人の感じがするけど)も実在する。
もしこの2人が町の工務店に勤務するという設定だったら、絵柄と併せて「????」という違和感を感じたはずだ。

内容としては、モテないメガネ男子(しかも童貞)にあの手この手で迫るリア充ホモ(鬼畜ドS、チャラそうに見えて意外と硬派)の話。


しかも、壁ドン!!!

年に何回かヒカリエの某企業の人たちと仕事するのだが、こういう感じの人がチラホラいる。そういう意味で今風の作品。しかも「画像が対象のロジックボム式マルウェア」とかのセリフがサラッと出てくるところも今風だ。いろいろと今風。

1.絵柄
あっさり、デッサンの破綻もなくて美麗。表題の早乙女薫と鈴木翔太の他、司法浪人生とホストの2編が納められている。どちらも上手い。

2.ストーリー
Webデザインプロダクションが舞台の「LOVEコンプレックス」(早乙女薫と鈴木翔太編)は絵柄、設定が上手く嵌まったのが成功要因。喪男拗らせている早乙女は実在してそうだし、人の話も聞かないで早乙女をホモの道に引きずり込もうとする鈴木翔太もいそうだ。実は早乙女も鈴木も仕事をしているシーンはほとんど描写されていない。だけど彼らが座っているデスクの感じや、オフィス執務室の感じが妙にリアリティがあっておもしろかった。大卒の鈴木と専門出の早乙女の関係とかも、うん、よくあるわ。
他方、司法浪人生とホストの「レンアイ条約」はリアリティなし。作者はホストと言えばキャッチに精を出しているホストを眺めたくらいの経験しか無いのではないか?

3.エロ度
竹書房から出ているわりにはおとなしめ。もっと暴れても良いと思うのだが。
「僕の結構大きいんですよ。向こうのゲイにも人気で」という鈴木翔太の「Japanese Fujiyama」をもっと酷使していただきたかった。

4.まとめ
「LOVEコンプレックス」はおもしろかった。エロだけじゃなくて、久しぶりになんかリアリティを感じさせる内容に好感をもった。BL初心者、とくにOLのおねーさん方にはウケるんじゃないかと思う。オススメ。
ただし、今回が初コミックスでビギナーズラックの可能性もあるので、作家鴨川ツナの実力は2冊目以降じゃないと評価できないと思う。

絵柄 :★★★★★
ストーリー:★★★★☆
エロ度 :★★☆☆☆
(あくまで個人的主観に基づく★の数です)

2 件のコメント:

  1. 「Japanese Fujiyama」!!めっさ笑えました!

    にしても、そんなにサイズって関係あるんすかね~

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    1. いやいやいやいや〜、大きいことは良いことでしょ! (笑
      二丁目のジャスティスではないかと。

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