次の予定を意識しながら、忙しくなく歩き回る人たちの姿をぼんやりと眺めている。
異なった時間軸で動いている人たちの意識が漂っているようで、その軽い興奮状態が心地よい。
前日の食事が少し凭れていて、朝食は軽く軽く。
窓の外は遠く梅田スカイビルまでが見えて、蒼と灰白色に色分けされた見慣れない街が広がっている。
部屋に篭ってなにもしなくても良い。
部屋を飛び出して、知らない街を彷徨ってもいい。
その二つの選択を弄びながらしばらく考え、ガイドブックを持たずに散歩に出ることにした。
まずは四天王寺に行く。
そう決めて谷町筋を歩き始めた。
ん……歩いても歩いても四天王寺に到達しない。
Googleマップで現在位置を調べると……真逆やん!
路面電車で天王寺まで戻ろうと最寄の停車場に行くと、近くに安倍清明神社があるという。
ちょっと立ち寄ってみた。
それは住宅街にこぢんまりと臥せっているような小さな神社だった。
あの高名な安倍清明を祀った神社にしては「ちっさ!」とちょっと驚いたほど
路面電車で3駅戻って、改めて四天王寺を目指す。
のんびりとした空気が流れている境内を散歩。
そこから茶臼山に迷い込む。
昼間っから酒盛りしている爺さんたちがいて、ちょっと腰が引ける。
ここは治安の悪い場所?
樹々を抜けると通天閣が見えた。
リアルなシーカータワーだと、なんか心強く感じて新世界へ歩いて行く。
以前から新世界で串カツを食べてみたいと思ってた。
ジャンジャン横丁の立ち食いはちょっと敷居が高すぎて、観光客向けの「だるま」に入ってみる。
狭いカウンターに通されて、昼中からハイボールを飲みながら串カツを食べる。
さっくさくの串カツをソースに浸して、くるっと一回転させてソース切りをして口に運ぶ。
「うまいなあ〜」
で、ハイボールをゴクリと飲む。
2017年10月8日の関西地方は季節外れの暑さが戻って来ていて、ゆっくり歩いていても汗ばむ陽気。
湿度の低いカラッと乾いた空気のなかを歩いていても、やっぱり冷たいものが飲みたくなるもの。
シュワシュワと泡立つ炭酸を舌の上で転がし、嚥下していると汗も引いてくる。
だるまを出た後は、観光客でごった返す新世界を抜けて、難波へ移動。
でもね、自分でもバカだと思うけど、新世界から難波まで歩いて移動していったのだ。
もし夏日に東京駅から秋葉原駅まで歩くつもりだという観光客に出会ったら、僕は止めるだろう。
多分、それに近い距離だと思う。
途中に楽しい場所もないしね。
あ、そーいえばスーパー玉出をのぞいてみた。
なんだろうね、あの弁当の値付けは。
あまりの安さに笑ってしまい、彼氏に報告。
「スーパー『たまいで』に行ってみたよ〜」
「『たまいで』ちゃうで、『たまで』やで〜」
(※彼氏はお仕事柄、関西弁が出ることはほとんどありません)
おっ、そ、そっか。。。
難波に到達。
関西に行って感じることは、関西の駅舎ってどれも立派な作りだということ。
関東にはこういう石造りの重厚な駅舎ってあまりない。
念願の戎橋。
押し寄せる観光客の波。
初めてグリコの看板を生で見れて、なんか感動してしまった。
これで難波花月で吉本の出し物でも見ることができたら「大阪はもういいかな」とか思ってしまったかもしれない。
一旦ホテルに戻って軽く仮眠。
そして、飛田新地探検に出かけたのだった。
ペロペロキャンデーを舐めることなく天王寺駅に戻って来た時、僕はクタクタに疲れきっていた。
一人焼肉も魅力的だったけれど、翌日お腹の調子が悪くなったら最悪ということで、たこ焼きとおにぎりを買って部屋に帰ることにした。
天王寺駅付近で美味しいらしいたこ焼き屋の一つ「やまちゃん」に行ってみた。
天王寺都ホテルの裏手からすぐのところに店はあった。
正直ね、関東人には関西人がたこ焼きにこだわる理由が全くわからなかった。
ただのジャンフクードでしょう?ってくらいで。
部屋に戻って一つ摘まんでみたら「ああ、こういうことなんだね!」と新しい世界が開けた気がした。
関西人のいう「ふわっ、とろっ」てこのことだったのかと。
10個じゃ足りない、もっと食べたいよーと思いつつも、改めて部屋を出る気力は湧かず。
ふらふらと街を彷徨うのは、たまには悪くない。
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