橋本あおい『いつもの時間、いつもの場所で。』:BL漫画レビュー

女子ウケしそうなカフェ系BLマンガ。

自分のお店を持つ事を夢に見ながら移動販売車でカフェをしている菜摘。
そんな菜摘のお店には、幸せそうに甘いものを食べるイケメンの男性常連客が通ってくれている。
ある日彼の名前が“ササイ”であること、職場から20分かけて通ってくれていることを知った菜摘は、事ある毎に彼の事を思い出すようになる。そんなササイには、誰にも言えないヒミツがあって――…。


まあなんでしょう。
あらすじだけ読んでると「菜摘」は女の子の名前だよなあと最初に思った。

お話的には王道BLというか、まあ、イケメンに迫られてるのも夢オチという、とても清い第1巻。
『きこえる?』(ホーム社/集英社)が、BLAWARD2017ビキナー部門1位を獲得の実力派作家、らしいけど、僕が最初に手に取ったのがどエロな「between the sheets」だったんで、あれ?そうなの??って感じだ。

1巻目は移動カフェを営んでいる菜摘が、ランチに現れるイケメンデザイナー篠井との出会いがメイン。菜摘はバイン・ミーとパンケーキを食べる篠井が気になってしまう。

第1巻はBLって言えるのか?的1冊。
誰にもいえない秘密とは、篠井が甘い物好きで、しかしそれを女性にからかわれたり、「残念なイケメンってやつー?」「なんかさーイメージと違うよねー顔はいいし自慢できるから我慢するけどさー!」と陰口を言われた過去がトラウマになっていること。










まあなんていうか。
イメケンがスイーツ好きだろうが、ブサメンがスイーツ好きだろうが、本来どうでもいいことでさ。
本人が幸せならばそれでいいと思うのよ。
「イケメン」って人たちは、周囲から勝手なイメージを押し付けられて苦労することもあるだろう。
一方で女性にこういうことを言わせるのもBL的だなあと思うわけ。
パレンタインチョコを持って帰ろうとする男の子に「やーだー男が甘いものそんなに食べるって変じゃなーい?」と喧嘩をふっかけるのは、小学生女子らしい嫉妬の一種なのかもしれないし。
彼氏を自分のアクセサリーのように扱っているひどい女性は実際にいるだろうけど、一方でスイーツ好き男子をほんわりと眺めているのも好きって女性もいるだろうし。
別に女性を悪者にする必要はあまり感じないよな。

「イケメンはこうあるべき」というステレオタイプを否定してくれよ、自分の内面を、ありのままの自分を見て欲しいという「イケメンの叫び」にはとっても同情する。だけど「ステレオタイプの否定」は、例のフェミニスト系の方々の好物でもあったりして、まあBLを取り巻く思惑はなかなかめんどくさい。

ちなみに本編とは全く関係ないが、女性の「ずるーい!」という言葉は女性の発する言葉の中で最も下品な感情だと僕は思ってるんだ。この言葉が口から出ると一気に冷めますね。


1.絵柄
ほんわかとしてるけど、嫌いじゃない。
橋本あおい作品は脱がせればすごいことになるので、それは大丈夫かと。

2.ストーリー
食べ物と恋の話。失敗する方が稀だ。
王道中の王道だ。

3.エロ度
エロなし。

4.まとめ
読んでいて、気づいたら随分時間が過ぎていた。
情報がたっぷり詰まっているせいなのか、ストーリーが濃密なのか、どちらにしてもいい読書体験だった。
良作。

絵柄 :★★★⭐︎⭐︎
ストーリー:★★★★⭐︎
エロ度 :⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
(あくまで個人的主観に基づく★の数です)

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