高雄まで 高雄・台北紀行2015(2)

LCCはボーディング・ブリッジを使わない場合が多い。バスでの移動は正直面倒くさいのだけど、水平尾翼の下から機体を見上げたりなど、普段とは違うアングルから飛行機を眺められるのは楽しいと思うことにしている。ヴァニラ・エア JW-01便は成田空港を最初に飛び立って行く機体。駐機中のJAL、ANAを見上げながらバスは滑走路を突っ走る。


今回は追加料金を払って、足下の広い座席に座った。どのくらい広いかというと、通常のシートがちょっと大柄な女性の膝が前席にぴったりくっついてしまうのに対し、僕くらいのおっさんでも膝の先は余裕。しかも前席下に手荷物を入れてはならない設定なので、ずーっと足を伸ばせば、新幹線普通席には及ばないものの、狭いと感じることはなかった。



LCCだから機内食は有料だ。買えるかどうか分からないものに期待できない。
成田空港でコンビニおにぎりを食べて搭乗し、彼氏の到着を待つ間、桃園空港でランチを食べることにした。飛行機は揺れもなく桃園空港を目指していた。通常ならば入国カードは機内で記入するが、今回僕はボールペンを忘れて来た。CAにペンを貸してくれと頼むと断られる。LCCってこういうところが世知辛いなあと思いつつ、手持ち無沙汰のまま桃園空港に着陸。イミグレーションカウンターの前で、入国カードを書いた。これも生まれて初めて。

彼氏の到着まで2時間。両替の後、ターミナル2のレストランコーナーでローカルフードを食べる。甘辛い豚挽肉のそぼろがかかったご飯。うめぇなぁ。写真を撮っていると掃除のおばさんがカメラをのぞき込んできたり、なんかアジアに来た気分が盛り上がってくる。お腹が満たされて、そして彼氏と合流。



バスで台湾高鉄桃園駅を目指す。そこから台湾高速鉄道に乗り、嘉南平野を眺めながら左営へ移動。270kmの高速運転で快適な移動。この鉄道が破綻寸前の経営になっているとは信じがたかった。台湾人も今さら高雄までバスや飛行機で移動する気にはならないと思うのだけどなあ。

左営の駅では、なぜかダイキンの看板に歓迎され、乗り換えたMRTの萌えポスターに驚きつつ、今日宿泊のサンシャインホテルに到着。フロントには日本語の通じるスタッフがおり、部屋に入ると、ベッドの硬さ、水回りの清潔さは問題なし。窓の外には高雄港が見えた。






成田空港にて 高雄・台北紀行2015(1)

恒例の誕生日祝いを兼ねた彼氏との旅行は、今回はおひさしぶりの台湾。
一時台北に通い詰めた彼氏ほどではないものの、渡航歴は数回ある地。
緊張感のなさは、後半、いろいろとトラブル発生の原因になるのだけれど、ふたりでゆるゆると台湾に向かった。

彼氏と僕は、ここしばらく現地集合が続いている。
もちろん利用する飛行機は別。
今回はフライト時間が短いこともあって、僕はヴァニラ・エアで移動することにした。

だがしかし、ヴァニラ・エアは成田7:30フライトという鬼スケジュールで、始発電車では間に合わない。東京発の深夜バスを利用するか、自宅から車で移動か。あるいは成田前泊…千葉者には一番考えられない手段なのだけど。

木曜日、定時を90分もオーバーする会議を入れやがったクライアントを恨みながら、僕は京成上野駅を目指していた。スカイライナーが終わっていることに驚いたけれど、イブニングライナーというヤツに飛び乗った。イブニングライナーってのは通勤電車らしく、乗客は途中でどんどん降りて行く。空港一駅前の成田駅で、車両に残っていたのは僕だけ。心細い思いをしながら第二旅客ターミナル駅で下車。生まれて初めてカプセルホテルってやつに宿泊するのだ。

9h(ナインアワーズ)というカプセルホテルが第二旅客ターミナルにある。費用は3千円台だったから、出発ロビーのソファで野宿したり、ネカフェで寝るよりはましだろうと思ったんだ。フロントでキーを受け取り、左右どちらかの扉の先へ進む。男女でまったく別エリアに宿泊するので、そういう意味で女性は安心できるだろうと思う。フロントで手渡されたのは簡易パジャマ、タオル2点、歯ブラシ。
扉の先には大型ロッカー室があって、鍵の番号に従ってロッカーにスーツケースを納め、簡易パジャマみたいな服に着替える。その先に洗面とトイレゾーンがあり、さらに先にはシャワーブースがあった。カプセルが並んでいるのは別エリア。宇宙船のクルーレストのような幻想的な光景が広がっている。



カプセルはお世辞にも広いものではないけれど、シェードを下ろすと案外落ち着く。布団は軽くふかふかで、寝心地は悪くない。コンセントが一つあるので、スマホなどの充電が可能。モーニングコールはないので、持参スマホなどの目覚ましを利用する。

空港内のコンビニで買ったおにぎりを食べた後、歯磨きをして布団に潜り込んだ。寝心地は悪くないが、普段戸建て二階に一人で暮らしている人間には、ちょっとした物音でも目が覚めてしまう。外を歩く人の足音、時々ミシミシいうカプセルの音で、何度も目が覚めた。5:00AMにアラームをセットしていたが、結局4:15には起床してしまう。あちこちのカプセルから目覚ましの音が聞こえてくる。ゆっくりとシャワーを浴び、髪を乾かしてからチェックアウトした。

外は日の出前、空港周辺はまだ闇に包まれている。
寝坊さえしなければ、歩いてチェックインカウンターへ行ける環境は悪くないと思った。


BL漫画レビュー:直野儚羅『泥棒と初恋』

しばらく不作が続いていた直野儚羅。
新作はどうなったか!?

カフェで働く橘 裕(たちばなゆたか)は近所で偶然、高校時代の先輩・桃井篤郎(ももいあつろう)と遭遇した。現在、新進気鋭の画家である桃井は当時から有名人。その他大勢だった自分のことなんて覚えているはずがないと、黙ってその場を立ち去りかけるが名前を呼ばれてパニックに!その後も近所に越してきた桃井を徹底的に避け続ける橘。桃井に決して知られてはならない、過去の「罪」と「秘密」を抱えて--…。

おお、直野成功パターンで来たか!

「過去を引きずる男たちのリベンジ・再会愛シリーズ」3カップル。最初は高校同級生オヤジカップル編。第二弾がタイトルにある「泥棒と初恋」。最初の2カップルはお互い関係はないのだが、3番目のカップルの片割れは、桃井、橘と同窓生で、美術関係者という点で緩くつながっている。

今回、上手いなあと感じたのは、最初にオヤジ・中年カップルを成立させ、彼らが橘裕の恋を後押し(時々厳しいことも言う)つつも、適度にラブラブで登場し続けること。恋を諦めかけていた者に恋が成就したときの幸せをロールプレイし続けているわけで、身近にお手本がいるって大事。それから第一カップルがオヤジ同士で。オヤジねたによくありがちな、「年の差」に卑屈になったり、焦燥する苦しさからフリーなこと。そして全編に渡ってカフェという場所を提供しつつ、ワカモノたちの恋を見守っているのがとても良い。僕自身、やっぱり人間、歳を取ったらワカモノに色々と譲らなきゃならないと思うのだよ。こんな感じで一歩引いて、でも関与し続ける関係性は好きだ。




で、最後のカップルは年の差。ここでは橘裕がサポート役になって絡んでいる。やや年上が卑屈気味だが、まあ悪くない。バックを自主開発済みの美少年にのしかかられるのもファンタジーだろう。

盗まれた絵、誰にも打ち明けられずに抱えてきた秘密と想い、オムニバスとしてバランスと話のつなぎが良くできていて、キヅナツキのリンクスもこんな感じで処理されていたらもう少しわかりやすかったのに、と感じたな。

1.絵柄
直野儚羅クォリティ。脱ぐと結構筋肉質な登場人物たち。彼女のキャラクター造形は何パターンかあるけれど、大型ワンコの橘裕系がもっともカワイイと思う。

2.ストーリー
すでに解説済みだが、最初に中年カップルを処理したのは上手いと思う。年の功、年の幸せ?みたいなラブラブカップルが狂言回しになって、ワカモノの恋愛を見守る感じ。橘と桃井はそれぞれ高校時代に互いの絵を盗んだ過去があり、それで橘は絵を描くことをやめてしまうのだが、コンプレックスの橘に対し「お前の絵を盗んだ時、俺は橘を…世界を手に入れたような気がしたよ」と告白する。絵画って……そういう力があるのか?

3.エロ度
腐女子の皆さんも満足クォリティ。なぜ皆さんバックを開発済みなの??

4.まとめ
直野儚羅ひさびさの良作。登場人物のオヤジが割とイタイ作品が多い中で、これは上手くやってのけた例だと思う。ワカモノはいいの、恋愛に傷つこうが次があるから。おっさんは幸せな姿を曝していた方がいい。それは、希望のある未来だから。

絵柄 :★★★☆☆
ストーリー:★★★☆☆
エロ度 :★★★☆☆
(あくまで個人的主観に基づく★の数です)