アナンタラ・プーケット・ヴィラ 1 (タイ・シンガポール旅行記)

僕たちが旅に出るときは「メリハリ」をつけることにしている。平均して良いホテルに泊まるのではなくて、「今回の旅行はここが一番!」というホテルを用意する。今回はプーケット島マイカオビーチにある、とても閑かなアナンタラ・プーケット・ヴィラ(Anantara Phuket Villas)に滞在することにした。目的は「なにもしないこと」。

プーケット国際空港を出発したタクシーは右手に曲がり、うっそうと茂るゴムの林の間を切り拓いた高速道路を走る。ガイドブックに書かれていたよりも長い間走っていたような気がする。

ビーチリゾートホテルというと、開放感のあるエントランスを抜けて、目の前にビーチが広がる……といった光景を期待するのだが、アナンタラはちょっとちがった。外からの侵入者を拒むような高い塀と狭い通路がそびえている。ゲートキーパーに誰何され、滞在者であることを告げると先に進むことが出来る。



壁をくぐるとすぐにフロントがある。広い池が目の前に広がっている。
左手にはメインダイニングのラ・サラ(La Sala)の建物がある。




ソファに案内されて、冷たいお茶とおしぼりが供される。
もちろん立ったままでチェックインなどあり得ない。

チェックインを済ますと、僕たちはゴルフ場のカートのようなヴィークルに乗って、池の中に渡された石橋をゴトゴトと移動する。そしてこれから滞在するヴィラに案内された。

プライベートプール付きのヴィラ。



母屋はベッドルーム。


L字型につながった部分はクローゼット、パウダールーム。
そしてシャワールームとトイレはその先にある。
プールから上がって、そのままシャワーを使ったり出来るように考えられているのだろう。



そして二人で使うためのプール。
バスタブはプールとくっついている。
プライベート空間は全裸で過ごしても良いということなのだ。


プールサイドにはサラがあって、ワインクーラーもこの中にあった。

アナンタラ・プーケット・ヴィラ
http://phuket.anantara.jp/

ドンムアン空港からプーケットへ (タイ・シンガポール旅行記)

スワンナプーム国際空港からドンムアン空港へ向かうバスは、エアポート・レール・リンクの線路に併走する高速道路を走る。僕たちと一緒に揺られている乗客たち…正直なところバックパッカー率が高いような気がする。それもそのはずで、かつてバンコクの空の玄関だったドンムアン空港は、現在はLCCが利用する空港になっているのだという。シャトルバスは市内中心部近くのジャンクションを曲がり、頭を北へ向けた。ここから約20kmの道のりは、おそらく建設中の鉄道の高架線とずっと並行していた。

僕らが搭乗するプーケット行きのAir Asia機は、13:40に離陸する予定だった。予定より1便遅れたため、ドンムアン空港ではずいぶんと時間をもてあますことになった。当初はプーケットでお昼ご飯を食べようという予定だった。

無事にチェックインし、荷物を預けたあと、僕たちはドンムアン空港でお昼ご飯を食べることにした。フードコートにあるタイ料理店。僕はローカルフードを食べることが楽しくなってきていて、トムヤンクン風味のカオ・パットを頬張る。タイ料理にはプリプリのエビがよく似合うと思う。レストランの端っこのテーブルに陣取った僕らは、眼下のコンコースを行き来する旅行客の姿を飽かずにながめ、そしておしゃべりに興じた。遠くを見やると、巨大な国王陛下をはじめとする王族の写真がいくつも並ぶ。ここはタイだった。



やがてレストランで時間をつぶしているのも飽いて、ボーディングゲートの前へ移動した。ドンムアン空港の内装は、近代的なスワンナプーム国際空港とは違い、ずいぶんと古ぼけた感じがする。昔の中正国際空港、現役のホノルル国際空港のようなイメージだ。でも古き良き時代の国際空港……なんとなく兼高かおるさんが世界を旅していた頃の、良い時代の空気が漂っているような気がした。




僕らの搭乗するAir Asiaは、よりにもよって出発ゲートのほぼ一番端っこにあった。売店も何も遙か数100メートルは離れている。コーヒーを買って、僕ら以外誰も乗客のいない待合室でおしゃべりする。やがて乗客たちが集まり、賑やかになったところで例のごとく滑走路を歩いて搭乗する。



レガシーキャリア……というのは失礼で、フルサービスのエアラインに搭乗している彼氏の目に、LCCはどんな風に映っているのだろう。彼氏は僕とつきあい始めてからLCCに乗ることが増えたと思う。エア・ベルリン、エア・アジア、そしてプーケットからシンガポールへ移動するために予約したタイガー・エアとか。着席した彼氏がきょろきょろと辺りを見回している。Expediaの広告が貼られたオーバーヘッドストレージは、彼氏の目にはいろいろな意味で衝撃だったのではないだろうか。

飛行機がいない!? (タイ・シンガポール旅行記)

美男子の、そう、彼はイケメンよりも美男子と言った方が相応しかった、と細面美人のスタッフに見送られて、僕たちはプルマンバンコクホテルGをチェックアウトした。まだ早い午前中の、汗ばむほどでもない日差しの下をスーツケースを引っ張りながら駅を目指す。
僕たちは4日前、バンコクにやってきたのと逆方向に電車を乗り継いでいった。スワンナプーム国際空港へ向かうエアポート・レール・リンクの車両は、どういうわけだかOne Pieceのキャラクターたちで埋め尽くされていた。ナミさん、チョッパー、ルフィと…紙パックに入ったお茶飲料の広告らしい。この広告はタイ人に響くのかな??

パヤータイ駅を出発して、電車はまっすぐに空港を目指して走る。冗談ではなくて、パヤータイ駅を出発して、空港近くまでの距離をほぼ一直線にレールが敷かれているのだ。駅を出発して程なく田園風景が広がる。スーツケースを手で押さえながら「楽しかった。また来たいね」と彼氏とおしゃべりしていると、サムスン電子の巨大な看板が現れたところで線路は右手にカーブして、電車はバンコク・スワンナプーム国際空港に到着した。

地下の駅から出発ロビーを目指す。
どこのカウンターに行けば良いのだろう。僕たちはDepatureスケジュールを表示するモニターの前に立った。「え? Air Asia どこにもいないんですけど??」

この時点で僕は軽くパニクっていた。だって飛行機がいないんだよ?遅延でもキャンセルの表示でもなくて、本当にAir Asiaのロゴがどこにも見当たらない。なんか悪い夢でも見ているようだった。彼氏は「なにかの間違いじゃない?ほら、予約表にはスワンナプームって書いてあるし」と言う。確かにそう書いてはあるけれど、僕は自分の予約表を取り出してみた。「ちょっと!こっちはドンムアン空港って書いてある!」

目眩がした。

同じ曜日の、同じ時刻に出発する、同じ飛行機の、隣り合わせの座席の予約表が、なんで出発空港が別なのだ。そのとき僕は「みぎゃあ!」と変な悲鳴を上げていた。いま考えると笑ってしまうが、人間、パニクると普段とは考えられない行動をするものだ。
それにしても、これからどうすればいいのだろう。僕たちは出発ロビーに向かうエスカレーターを途中で降りて、慌ててスーツケースを開く。地球の歩き方を取り出して確認すると、Air Asiaのカウンターが記載されている。とにかくそこへ行ってみるしかない。エスカレーターが出発ロビーに到着する。遠目からも指定されたカウンターの看板にAir Asiaはない。。。。

その反対側にこぢんまりとした、ほぼ無人のAir Asiaのカウンターがあることに気づいた。そこに女性の係員がいる。彼女は僕らの予約表を見て「ああ。Air Asiaは10月から全部ドンムアン空港に移ったのよ。他の便に振り替えるわ」と言い、カタカタと端末を叩く。幸い僕らが搭乗予定だった次の便に振り替えることが出来るという。「ドンムアン空港へは無料シャトルバスで行って」と指示され、僕らはほっとしたような、奇妙な夢を見ているような不思議な気分で、シャトルバス乗り場に向かって歩き出した。