朝早くに目覚めてしまい、僕はプールサイドのウッドデッキに座って、徐々に青みを増してくる空を眺めていた。海から流れてくる雲は幾重に重なったリボンのように細く棚引き、ざわざわと風に身をゆだねている椰子の木々を飛び回る小鳥の声がにぎやかで、ビーチリゾートの朝らしい光景だった。
彼氏共々身支度を調えてヴィラを出た。
「朝食を摂る前に、海を眺めに行こうよ」と彼氏を誘い、戸締まりのあと、小径を右に曲がり、ビーチへ向かって歩き出した。
ビーチの手前には、ステイ客用の大型プールがあった。
それを横目に、まず僕たちは砂浜を目指して歩いた。
黄色い旗が立てられている。
今日は、波に注意しながらも泳げる状況のようだ。
マイカオ・ビーチから眺める雨期の終わりのアンダマン海は、しっとりと湿った空気を含んで霞みがかり、足元をやさしく波が洗う。自然の音しか耳に届かない世界にいると、ビーチで海を眺めている人たちの姿も無音の影絵劇の登場人物たちのようで、なんだかこの世の光景ではないような気がした。
ビーチをあとにした僕たちは、パブリックプールの周辺を散策する。
プールで泳いだあと、一休みするためのキングサイズベッドくらいの大きさのあるソファが並べられている。こんなところでのんびりと本でも読んでいたら楽しいだろう。
朝食ビュフェを食べに、ラ・サラへ向かう。
途中の小径は、前夜の雨に洗われて、清々しい緑を取り戻した竹の植え込みに縁取られている。
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