さて、中学生の頃、遠足で筑波山に山登りをしたのが最後という中年オヤジが、いきなり富士登山に挑戦した。まったく登山未経験者がなにをトチ狂ったんだろうね。周囲にはだいぶ呆れられたのだけれど、僕は願掛け登山がしたかったのだ。
ぐずぐずしていても埒があかない。とにかく動かなきゃということで、5月26日に富士山ツアーに申し込んだ。それから「登山ってなにをどうやったら良いのか」を知りたくて、登山経験のある両親や同僚に聞きまくったり、ネットで情報を探したりしているうちにあっという間に1ヶ月が過ぎていった。6月14日にトレッキングシューズを買い、何回か履きならしのために歩き回った。そのおかげで、5本指ソックスの上に登山用ソックスを重ね履きしたら良いことに気づいたりとか、本当に手探りだった。
ずーっと気にしていたのは当日の天気。一週間前から長期予報を毎日チェックした。天気予報は良くなったり、悪くなったり。2日前のウエザーニュースでは、7月7日は夕方までは晴れ、19時以降は雨の予報だった。それが直前には15時から雨、翌日は霧または落雷を伴う雨というとんでもないものに変わっていった。
天気予報といい、手探りの知識といい、出発前はなかなか憂鬱だった。前夜はほとんど眠れず……たぶん1時間くらいしか寝ていなかったと思う、朝4時に起床してシャワーを浴び身支度を調えた。5時過ぎに家を出て、始発電車で東京駅を目指す。八重洲に6:15頃に到着。ぽつぽつと雨が降っていた。近くの7-11でおにぎり2コと、500mlの"いろはす"を2本買い、鍛冶橋駐車場で迎えのバスが来るのを待った。すでに登山ファッションの人たちが集まってくる。普段着で、しかもただのナイロンバックをぶら下げている僕は、まったく場違いのような気がした。
バスは添乗員とともに西新宿に向かう。ここでレンタル品の登山用具を受け取った。内容は、雨具、フリースの防寒着、ザック、ヘッドランプ、ストックの5点。実際、僕以外のレンタル品を借りていたのはカップルが1組だけ。あとは皆マイ登山用品持ち込みで臨んでいるわけで、かなり不安な気分になる。
新宿から中央道に乗ったバスは、週末の割には渋滞もなく順調に走る。途中、談合坂サービスエリアで休憩に入る。サービスエリアから見える景色は雲に覆われる山ばかりだった。「富士山はやっぱり悪天候なんだろうか……」不安に押し流されそうになった。
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