車寄せでタクシーを降りて、少しスロープに向かって歩く。
穂高連峰を引き連れているかのような上高地帝国ホテルの赤い屋根をカメラに収め、僕は少し満足した。
過去、上高地帝国ホテルを訪れるたびに雨が降って、穂高は雲に隠れていたからだ。
ツインの部屋にエキストラベッドを用意してもらって3人で利用する。
ディナーの後、ソファをベッドに変えて使用するので、それまではあまり狭く感じることはない。
荷物を解いた後、散歩に出かけることにした。
正面エントランスを出ると、野生の猿が3頭現れた。
花を摘み、なにかを口に運んでいる。
翌日到着する姪が猿を見たがっていたので、明日も出てきてくれると良いなあと思った。
上高地を訪れるベストシーズンは一体いつだろう。
夏山の季節か、カラマツが黄金に輝く十月下旬から十一月か。
いやいや、実は梅雨の季節が一番美しいという人がいる。
雨は降るけれど、新緑が美しいから。
梓川に向かって木立の中を歩いて行く。
ウグイスが力強く鳴いている。
前日雨だった上高地は観光客がほとんどいなくて、静かだった。
河童橋を行き来する人も少なく、支那人の群れすらいなかった。
五千尺ホテルに併設する売店でソフトクリームを買い、母親とともに穂高を眺めながら食べる。
静かでいいね。
また来れてよかったね。
河童橋を渡り、梓川対岸をゆっくりと歩いた。
途中のホテルで母親が蛍が出るという場所を尋ねた。
蛍の出る場所を下見して、甥・姪に見せてやるつもりなのだという。
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