BLマンガ温故知新:東城麻美『XY』

僕はこんなBLマンガを読んできた Chapter1
東城麻美「XY」は竹書房麗人創刊号に掲載されていた作品。

タカヤとナギサは従兄弟同士。
ナギサの母が妹であるタカヤの母親にナギサを託し、投身自殺して以来、二人は同じ家で兄弟のように育てられた。
10年後、高校生になった二人。
重い過去と暗い秘密を背負うナギサは自分とは違う世界に生きるタカヤを避けるようになっていく。
しかし、心ではタカヤを強く求め続けていた。


なにが衝撃だったかといえば、ナギサくんがタカヤの母親の性の慰み者にされているという設定だった。それまでのJUNEの世界では、嫌々男性相手のセックスを強いられる登場人物は多々あったが、異性間セックスを嫌々強いられているキャラは始めて見た。タカヤの母親に奉仕させられ、でかいディルドを突っ込まれアナルから出血するナギサ。

タカヤの家は母子家庭。母一人子一人の家庭に妹の子どもを引き取ることになった。
タカヤの母親がなかなか欲求不満で、 ちんぽ酷使させるわ、アナルを開発するわでナギサにやりたい放題。しかもナギサの身体自体が巨根のアダルト仕様。こんな高校生、エロ過ぎでしょ。



 ナギサの色っぽさを意識して、ドギマギするタカヤ。

ナギサの母親が投身自殺したのは、ナギサの父親がゲイで、子ども欲しさに結婚したため。どこまでも不幸体質のナギサ。

そのあと彼女と別れ、自分の母親とセックスしているナギサを目撃して動揺するタカヤ。走り去るタカヤを追いかけてナギサはいう「死んだ方がよかったか?俺なんか……」。そのあとは仲直りセックスに流れるんだが、「かあさんが……おまえの身体をこんなふうにしたのか……?気持ちいいのか?」というタカヤのセリフに萎えたわ~。

麗人はかなりアダルティにスタートを切った。
例えばパート3では、ナギサの実の父親が二人の関係を裂きにかかって、タカヤを呼び出して抱こうとしたり、学校でビアンのセックスを目撃してしまったタカヤが、ビアンの協力者の先輩に強姦されたり、まあいろいろとハード。だけど、なぜ同性愛なのか、なぜタカヤとナギサは愛し合うようになったのか、という動機付けがイマイチ弱い。



その理由はたぶん、アダルティな路線を確立するために、レディースコミックから作家を引っ張ってきたからなのだろう。

当時の既刊コミックスリストを見ると魔木子、由良環、水城ケイ、矢萩貴子などレディスコミックの作家が多い。だから男性の裸体を描くのは慣れているのだろうが、ボーイズラブがなんなのかは、書き手にとってもまだ手探り状態であったのかもしれない。


それにしても、この時代からボーイズラブにおける女性の描写は大概酷かった。女性が描き女性が読むジャンルのマンガがどうしてこうなったのか、興味は尽きないな。

1.絵柄
薔薇族やバディに掲載されているホモマンガに比べたら、クオリティの高さは比較にならない。いま見ると、高口里純っぽい絵柄だな。

2.ストーリー
まだボーイズラブじゃない。腐女子が萌えるポイントないよ。

3.エロ度
簡単に言うと従兄弟相姦。おばちゃんの相手をさせられたり、ホースディルドを突っ込んだりとナギサくんの下半身大活躍。タカヤも掘られているしで、いろいろと大変。
コマ割はさすがにレディコミ系出身なだけあって、修正多すぎて載せられない。

4.まとめ
ボーイズラブマンガにプロ作家が確立してゆく黎明期の作品と言えるかな。まだ全然ボーイズラブじゃない。エロはあるけれど、素人役者の学芸会といった感じ。

東城麻美の晩年の作品とはかなり絵柄が変わっているから、その変化を追いかけると東城麻美なりのボーイズラブ成長物語を知ることができるかもしれない。

東城麻美「XY」(1995年コミックス化)
絵柄 :★★★☆☆
ストーリー :★★☆☆☆
エロ度 :★★★★☆
コレクターズアイテム度 :★★☆☆☆
(あくまで個人的主観に基づく★の数です)

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