王者の涙。

なんというか……自分の直感を信じていれば良かったと後悔することがあります。
それが悪い予感であればあるほど。

だけど悪い予感が外れ続ければ狼少年と呼ばれてしまうこともあり、難しいよな。

金曜日、同じグループから異動していった同僚の仕事の進捗具合を確認しに行った。彼は別件の仕事でテンパっていたようで、金曜日に仕上げなければならない彼の分担の仕事が全くの手付かずの状態であることが判明した。「すまん、ほんとうにすまん」と手を合わせる彼。納期を次週の火曜日まで待って欲しいという。正直言えば、仕事を落としそうなとき、まして全く手付かずならば早く言って欲しかった。そうしたら僕がさっさと肩代わりして凌げたのかもしれないから。実際、僕が肩代わりをして、その仕事は完成した。

別に怒鳴ったりもなかったし、淡々と状況確認をしていただけなんだけど……彼の瞳からは鈍い金色の光が弱々しく零れ落ちているような印象を受けた。それはゆらゆらと風に弄ばれている小さなロウソクの明かりのよう。あるいは、野生動物の老リーダーがその座を降りるときのような……生き物ってなかなか言葉に出来ないような哀しい目をする。僕もかつて経験した、人が命を失うときに「もう俺はダメだ」と無言で訴えかけてくるときのような、静かな絶望が零れ落ちているような感じだった。

悪い予感は的中した。
今朝出社したら、彼はとりあえず2週間の入院することになったと聞かされた。
出血が云々と曖昧な情報が錯綜していて、どれだけシリアスな状況なのか僕にはわからないけれど。なんか脳系のトラブルのような気がする。彼はストレスに潰されちゃったのかもしれないな。

僕が肩代わりできる仕事は順次対応をすすめることにしたけれど。
うーむ、それにしても悪い予感は不思議とあたってしまうものだ。

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